栄光の蓄音機クレデンザをハイビット・デジタル収録

愛知県図書館で借りたCDのご紹介です。いずれもレコード店の店頭ではあまりお目にかかれない、貴重なディスクでした。

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栄光の蓄音機 ビクトロラ・クレデンザで聴く 
フバーイ、ブーシュリ、ブルメスター 
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Coodination: (株)シェルマン 磯村建文
レコーディング・エンジニア:依田平二
1994.10.7 ビクター青山スタジオにて20bitK2システムにより収録


今回の録音にはビクターエンターテイメント社の所有するクレデンザが使用された。クレデンザが再生する音をデジタルで録音するという今回の試みはSP時代のレコードが、どれほど正確に音楽を記録していて、これが忠実に再生されていたかを知る上でも、大変興味深いものがある。これを機に、SPレコードの再生を巡って活発な論議を期待したい。
クレデンザ(のちに8-30とも呼ばれた)は、1925年に発売された。折り曲げ式ホーンと電気録音にも対応したオルソフォニック・サウンドボックスは、当時の技術の粋を集めて開発されたもので、こうした技術が新規に採用されたクレデンザこそ、ビクトロラの販売した蓄音機の中では、最大の6フィートにも及ぶホーンを内蔵した最高級機である。クレデンザ・サウンドとともにビクターの名前は永遠に語り継がれるであろう。
(鈴木智博・ライナーノーツより)


■豪華な客間で紳士淑女が

CDの音源としては、ヨアヒムの弟子でシゲティ、ヴェーグの師であるイエネ・フーバイや、ベルギー楽派でヌヴー、シェリング、ボベスコの師ジュール・ブーシュリ、それに編曲の名手だったドイツのヴァイオリニスト、ヴィリー・ブルメスターの全録音が選ばれています。
どれも瀟洒な小品を美音を振りまきながら演奏したもので、奏者の個性が際立つというものではありません。それよりも、クレデンザの置かれた豪華な客間で、紳士淑女が典雅な響きを楽しむといった情景を思い浮かべながらノスタルジーに浸る、という趣向でしょう。
収録音質はたいへん芳醇。
でも、ヴァイオリンソロと控えめなピアノ伴奏という編成で、ゆったりとした曲ばかりが続くというのでは、ビクター所有のクレデンザの性能の全てを想像するには、ちょっと物足りない気がします。
個人的にはオーケストラ付きの重厚な響きもぜひ加えて欲しかったですね。

というのも実はネコパパ、先日、井上マスターが入手された「クレデンザ」の生音を間近で聴く機会があったのです。
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諏訪根自子やメニューインのヴァイオリン・ソロに加え、ストコフスキー指揮フィラデルフィア管弦楽団のリスト、ハンガリー狂詩曲第2番や、ブルーノ・ワルター指揮ウイーン・フィルのベートーヴェン「田園」もじっくり拝聴しました。
保存状態の良い個体で、サウンドボックスもオルソフォニックとHMVを付け替えながらの鑑賞。音の違いもはっきりとわかりました。
弦楽器の音色の再生やオーケストラの厚みのある響きなど、再生能力のキャパの大きさに驚嘆しました。これが1925年の技術というのですから驚きです。
この音が、最新の録音技術で収録できるかというと、かなり難しいのではないでしょうか。
「蓄音機の音は貧しいのては」との先入観をお持ちの方は、ぜひ機会をみつけて「生の音」をお聞きになることをおすすめします。

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コメント

コメント(4)
今日からはじめる蓄音機生活
”今日からはじめる蓄音機生活”という本が最近出たようです。
すでにご存知かもしれませんが。
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784906905201
アマゾン等でも扱っていますがリンクが長いので紀伊國屋書店のものを貼っておきます。

こんな本が出るとは静かなブームなのか?

不二家憩希

2021/04/03 URL 編集返信

yositaka
Re:今日からはじめる蓄音機生活
不二家憩希さん
貴重な情報ありがとうございます。
著者は有名な蓄音機専門店「梅屋」の主人で、NHKの蓄音機番組でもよく登場されています。ラジオ番組では蓄音機操作も担当されていました。
本の内容がよく分かりませんが、いくつかの書店ではもう品切れになっているようです。これは驚くべきことで、もしかしたら蓄音機ブームは密かに進行中なのかもしれません。

yositaka

2021/04/03 URL 編集返信

井上マスターが、新たに購入されたクレデンザ
まずは、The Victor Victrola Page (http://victor-victrola.com/index.html )をお読みください。
演奏は、ネコパパさんにお任せして、音キチの…お勉強。
マスターは、能力を引き出そうと各種針とサウンドボックス(HMV5A)と(ビクターオルソフォニック)を用意されてやる気満々、私も便乗してマスターの好きそうな盤と検証用レコードをチョイスして持参しました。
蓄音機と盤に合う針の選択では、太さ、剛性、により音像が歪んだり、ホーンの前に出たり入ったり、針は何回使えるかどうか等を検証しました。極めつけは「初期の機械式録音の再生回転数は、高いのではないか」と言ったらマスターとお兄さん即ストロボをセットして「何回転にセットする」欧州盤は、80rpmが多いのと回転が高いと高域が出るので「79回転」でお願いしたら78回転より伸びのある演奏をしました。(ビクター・トーキング・マシーンは、サンプル数は少ないですが初期欧州の盤と同じ仕様ではないかと思われました。)
お兄さんが「母が好きだった諏訪根自子が、聴きたい」とおしやられて提供した。
諏訪根自子のセレナーデ(シューベルト)15歳HMV5Aと-(ドリゴ)14歳オルソフォニックどちらも私が聴いた中では最良の音色で鳴ってくれ「裏面も聴きたい」と言われて嬉しかったです。
今回どんないい装置・音源でも鳴らし方・メンテナンスを知らなくては良くも悪くも聴き手に感動を与えない事を再確認しました。
井上マスターいい状態のクレデンザを購入されました。聴き会に運ぶには重く運搬による故障・費用・お身体が心配です。

チャラン

2021/04/04 URL 編集返信

yositaka
Re:井上マスターが、新たに購入されたクレデンザ
チャランさん
このような蓄音機はやはり一人で聴くものではなく、複数の「観客」が必要だと感じました。それでマスターも、そうした機会を作りたいとお考えです。
文化遺産の管理方法として真っ当な考えで、ネコパパも賛同しますが、いざ実行となると、高齢者ばかりのグループでは大変なのも事実です。
ボランティアで参加していただける若手フォロワーが欲しいですね。

今回拝聴したターンテーブル電動型は、以前にも別の場所で聞かせていただいたことがありますが、印象はまるで違いました。メンテ次第でここまで変貌するのかと驚きでしたし、適切な方法で使用を続けることも大事だと思います。

yositaka

2021/04/04 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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