子どもたちが待っているサンタクロースは…

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もうすぐクリスマス。子どもたちが毎年楽しみに待っているサンタクロースは、このコロナ禍の中でも来られるのかな。心配になった8歳のモンティからの手紙にジョンソン首相は、確認のために北極に電話したところ「サンタは準備を終えて、今か今かと待ちわびている様子。ルドルフ(赤鼻のトナカイ)やほかのトナカイも同じ」、今年もサンタは英国にやってくると返事を書いたという。

イタリアでも5歳の子どもからの手紙にコンテ首相は「サンタは世界中の子どもに贈り物を届ける許可証がある」「マスクを着け、自分とみんなを守るため、ちゃんと距離を取っているそうだ」と答え、(中略) EUにいたっては「サンタは子どもにプレゼントを届ける必要不可欠な労働者であり、コロナウイルス対策の移動制限から除外することでEU加盟国が合意した」などとツイッターに書き込んだ。

さて日本にはサンタは来るのかな。菅首相、子どもからの手紙も記者からの質問もなかったのかもしれないが、サンタへの言及はいまのところなし。ユーモアのセンスだけではなく、子ども観が違うのだろう。心配している日本の子どもたちが安心できるメッセージを発してもらいたい。(吉田亮子)

—「週刊金曜日」2020.12.18 編集後記より

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サンタの動向について首相に尋ねるというのもどうかと思うのだけれど、そういう質問がしたくなる首相って、ちょっとかっこいいかも。日本の現首相はとてもそんな感じじゃないね。答弁は紋切り型か棒読み。
安倍政権になって圧倒的に増えた答弁に「○○中ですので答弁は控えさせていただきます」というのがあるという。サンタについて聞かれたら「それにつきましては事実確認中ですので、答弁は控えさせていただきます」というのかな。
世の中には確認できない事実がある。確認なんて、決してできない真実も。

今年の3月に突如、義務教育活動が停止になったとき、ネコパパが最初に思ったのは、子どもを保育所に預けて働いている親たちのことだ。そのための環境条件を整える気があるのかどうか、まったく不明なままに、いきなり大きなことを決めてしまう首相の弁に「大丈夫か?」と不安になった。
二番目に思ったことは「これは当然、当事者の子どもに一言あるだろう」ということだった。
その「一言」って、あったっけ。
寡聞にして聞いたことはない。
そういう人に、サンタクロースについて質問する手紙を出そうなんて、ネコパパなら、絶対思わないな。

文科省は、さすがだ。子どもに向けたメッセージを正式に公表している。時期は閉校措置からずいぶん遅れて、8月25日のことだけど。

https://www.mext.go.jp/content/20200825-mxt_kouhou01-000009569_1.pdf

みなさん、読んだことありますか。


児童生徒等や学生の皆さんへ

新型コロナウイルスが広がってから、皆さんは、学校はどうなるのだろう、この先どうなるだろうと、不安だったのではないでしょうか。新しい学期を迎えるに当たって、皆さんに伝えたいことがあります。

まず、感染症にかからないようにするには、いくつかの方法があります。すでに皆さんが取り組んでいるように、話をするときにはマスクをしたり、手を洗ったり、具合が悪い場合には学校を休んだりしてもらうことです。そして何より、健康的な生活を送ることが大切です。それでも、これまでも皆さんは風邪をひいたり、インフルエンザになったりしました。今はさらに新型コロナウイルスが課題になっています。

この三つは、症状がよく似ています。ですから、今後、皆さんの誰もがこうした症状を経験することがあるでしょう。具合が悪い人の中には、新型コロナウイルスに感染したと診断される人も身近な人の中から出るかもしれません。もちろん、それが友達だと分かったら自分は大丈夫かなと不安になることもあるでしょう。

新型コロナウイルスには誰もが感染する可能性があります。感染した人が悪いということではありません。学校やクラスの中で感染することは悪いことだという雰囲気ができてしまうと、新型コロナウイルスに感染したと疑われることをおそれて、具合が悪くなっても、その後は言いだしにくくなったり、病院に行くのが遅くなったりしてしまいます。そうすると、さらに皆さんの地域で感染が広がってしまうかもしれません。

感染した人や症状のある人を責めるのではなく、思いやりの気持ちを持ち、感染した人たちが早く治るよう励まし、治って戻ってきたときには温かく迎えてほしいと思います。もし、自分が感染したり症状があったりしたら、友達にはどうしてほしいかということを考えて行動してほしいと思います。

すでに、感染した人達が心ない言葉をかけられたり、扱いをされたりしているという事例が起きています。こうしたことが皆さんの周りでも起きないように、皆さんにも協力してほしいのです。

また、高齢者や病気がちの人は、感染すると症状が重くなってしまう危険があります。自分は元気だから大丈夫ということではなく、そのような人たちに感染させることがないよう、思いやりの気持ちを持ってほしいと思います。

新型コロナウイルス感染症が広がり、皆さんの日々の生活は一変したと思います。
以前のようには、友達と会いにくくなり、スポーツや文化に触れる機会も少なくなり、将来への不安やストレスを抱えている人も多いでしょう。

これまでも、私たち人間は、新型コロナウイルスのような新しい病気を経験してきました。そのたびに、世界中の研究者が病気の原因を探り、予防方法を見つけたり、薬の開発をしたりしてきました。そうして、私たちは、病気と共存していく。この歴史は繰り返されています。新型コロナウイルスも研究が進んで解明されれば、予防と治療ができるようになり、新たな共存生活が始まります。

私たち大人は、皆さんの応援団として、将来の見通しを持ち、未来の社会の担い手である皆さんが学ぶ機会、遊ぶ機会、交流する機会を最大限作っていきます。それまで、皆さんは今自分ができる予防をしっかり行い、将来の目標を持ち、家庭や学校で日々の学びを続けてほしいと願っています。
令和二年八月
文部科学大臣 萩生田 光一

いかがでしょう?
署名入りのメッセージなので、子どもが見ても、書いた人ははっきりわかる。でも、これを読んだ子どもが、この萩生田さんという人に「今年はサンタクロースきますか」と質問の手紙を出そうって思うだろうか。難しそうだよね。サンタクロースの贈り物が「ほしい」のは子どもなのに、このメッセージときたら「ほしい」「ほしい」「ほしい」そればっかりなんだもんね。
それに比べてイギリスやイタリアやEUの返事に、「ほしい」の言葉は一つもない。こういう人に、子どもは手紙を書こうと思うんじゃないかなあ。
児童観の違いって、こんなところに現れているのかもしれない。

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おまけ。
12月21日朝日新聞夕刊。しりあがり寿「地球防衛家のヒトビト」より。
道徳の授業の資料として使えそうだ。

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四コマ目を想像して、ノートに書きなさい。
書いた内容を発表し合ったあと、実際の4コマ目を見てみよう。

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自分の答えと比べて、考えたことを書こう。
時間が余ったら「コドモのうるうる」とは何かについて話し合ってみよう。
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コメント

コメント(4)
ユーモアの慣わし
ユーモアの慣わし、日本にもあったと思うのですが、近代化の中で、西洋から輸入したのは、ユーモア以外だったようです。
旭川では、七夕のときに幼児から児童までの子ども集団が家々を回って蝋燭をもらう慣わしがありました。
みんなで「蝋燭出せ出せよ、出さないとかっちゃくぞ、おまけに食いつくぞ」という歌を玄関で歌うと、家の奥からおばさんが蝋燭出してきたり、お菓子をくれたりしました。ある時、近所のSさんで歌ったら、お爺さんが上半身裸で出て来て、背中を見せて、さあかっちゃいて食いついてくれ、と言いました。あのときのぼくたちの困った表情は、いま思い返しても傑作でした。ああいう楽しい大人がいなくなったなあと思います。
宇宙防衛家は、道徳教材としての対象年齢が、40歳以上な気がします。おとなの教科書ですね。

シュレーゲル雨蛙

2020/12/23 URL 編集返信

yositaka
Re:ユーモアの慣わし
>旭川では、七夕のときに幼児から児童までの子ども集団が家々を回って蝋燭をもらう慣わしがありました。
これは驚き。ハロウィーンにそっくりです。そういえばアマガエルさんに初めてお会いした東京女子大の学会では、道すがらハロウィーンの紛争をした子どもたちが商店を回っている光景を目にして、東京ではこんなことを…と驚いたものでした。何しろはじめて見る光景でしたからね。
ネコパパの子どもの頃にも、お祭りでお獅子を担いで練り歩くことはありましたが、名古屋の安普請市営住宅の速成長屋で、昔の風習もなかったので、地域の人達との軒先での交流はありませんでした。

しりあがり氏のマンガには「自警団」という言葉も出てきますし、子どもと話し合うと奥行きのある学びができるのではないでしょうか。「コドモのうるうる」と大人は思っていますが、これはもちろん、彼らが大人のステロタイプな思考を見越して、したたかに演じているわけです。我が国には、そうやって子どもが「大人の好む子ども」を演じてきた歴史があり、これを考えるのもひとつの研究課題になり得るのではと思います。

yositaka

2020/12/24 URL 編集返信

サンタねえ…。
> 日本の現首相はとてもそんな感じじゃないね。
歴代、そんな感じじゃありませんねえ^^;;。
小泉さんは、映画版でウルトラマンキングの声をやっったりしていますが。

アメリカには、サンタに手紙を出し、それに郵便局がしかるべく対応する“システム”があるみたいで、アメリカ在住の映画監督・町山智浩氏が YouTube番組で話しているので知りました:
https://youtu.be/TWZf-z9VPnc?t=608
町山氏の紹介するドキュメンタリー映画の予告編はこれ:
https://www.youtube.com/watch?v=0MhSPWfBbtE
です。

日本では‥‥子どもを叱るほうですが、なまはげ、とか…。
こんな記事:
https://hugkum.sho.jp/38906
見ーっけ^^。
が、「嘘を吐く子はいねえが~」とやった途端、閣議決定で文化財指定とかを取り消されそう。

> このメッセージときたら「ほしい」「ほしい」「ほしい」そればっかりなんだもんね。
あっれ~、実に「ほしい」の連発、『「ほしい」の多い料理店』ですね。ミシュランも顔負けの「五つ「ほしい」」?(←「友達にはどうしてほしい」除く;;)
日本の政治の本質は、ある面、「ほしい」のキャッチボールなのでしょうか。
有権者も、「道路、ほしい」、「補助金、ほしい」、「選挙前のばらまき、ほしい~」。

へうたむ

2020/12/27 URL 編集返信

yositaka
Re:サンタねえ…。
へうたむさん、ネコパパの戯言に長いコメントを頂きありがとうございます。
>小泉さんは、映画版でウルトラマンキングの声を…
本当ですか。すぐ確かめなくては…ところで今日年賀状の印刷をしたんですが、たまたま古い画嬢を見てびっくり。わずか数年ではがき代が10円以上値上げされているんです。「これもあの新自由主義の首相が郵政民営化を煽った結果か」と思うと、彼の「童心」も眉唾に思えてきます。

欧米の児童観が必ずしも優れているとは思いませんが、サンタを巡る諸々を見ると「機を見て子どもと同じ視点に立とうとする」器用な所作や、子どもとの「取引き」に長けている一面があるのは確かで、そこは学ぶべきでしょう。

「なまはげ」…伝承には詳しくありませんが、サンタクロースのキャラクターは北欧の伝承に由来するもので、その中には信賞必罰、怖いおじいさんと優しいおじいさんのペアが子どものいる家を訪問して裁定を下すものもあったはずです。伝承とは無条件に甘いものでは決してなく、そこに闇も深みもあるのでしょう。子どもたちにはサンタの暗黒面も見て欲しいですね。

この国では政治家も国民も「ほしい」が多いんですね。互いに寄りかかって、やがて将棋倒しになる。なんとかしてほしいものです。

yositaka

2020/12/27 URL 編集返信

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yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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