音楽を楽しむ会・文学と音楽①シェイクスピア

20200208174258fab_202007112247158dc_20200912154923634.jpg

2020年第4回 9月12日(土)午前10時~12時(毎月第2土曜日開催

4ヶ月のご無沙汰のあと、7月に再開した本会でしたが、第2波の到来で再び8月は延期、今回再再開です。今後も予断を許さぬ状況ながら、可能な限りご案内ができたらと思っております。
さて当館は、今年で開館40周年を迎えるとのこと。
そこで、9月からの3回は特別に本に関連した会といたしました。
CHANDOS3_20200912161028a77.jpg
今月のテーマはシェイクスピアです。
2016年に没後400年を迎えたウィリアム・シェイクスピア(1564年4月26日- 1616年4月23日)は、17世紀初頭のイギリス・ルネサンス演劇を代表する劇作家、詩人です。
出生地はストラトフォード=アポン=エイヴォン、1585年前後にロンドンに進出し劇作家として活躍。1613年ごろまでの約20年間に、四大悲劇『ハムレット』『マクベス』『オセロ』『リア王』をはじめ、『ロミオとジュリエット』『ヴェニスの商人』『夏の夜の夢』『ジュリアス・シーザー』など多くの傑作を残しました。2002年にBBCが行った「100名の最も偉大な英国人」投票で第5位に選ばれています。
彼の作品は、オペラや歌曲の題材としても用いられたほか、作品にインスパイアされた管弦楽曲やバレエなど音楽だけで大小含めて2万点もあるそうです。

今月のテーマ 文学と音楽①シェイクスピア


1. シェイクスピア劇の音楽より~
いかにせば、いつわりの恋しりぞけて(「ハムレット」)
グリーンスリーブズ(「ウィンザーの陽気な女房たち」)
参考※ロミオとジュリエット(映画「ロミオとジュリエット」1968・サウンドトラック)
アルフレッド・デラー(カウンターテナー)デラー・コンソート
1969年録音

現代に至るまで、そんなにも多くの曲が作曲されたわけですが、劇の初演当時の音楽はどんなものだったのでしょうか。
シェイクスピアの劇は一般市民を対象に書かれたもので、道化や羊飼いなどの狂言回し役から王妃など、さまざまな登場人物が劇中で歌う場面が多く、もともと芝居全体が音楽に満ちたものです。
といっても役者の歌なので、大曲や技巧的なものは少なく、基本は二人の弦楽器、三人の撥弦楽器にフルートという6重奏で、シェイクスピア自身はリュート伴奏の歌曲を重要視していたそうです。
そのなかから2曲をお聴きいただきましょう。
最初の曲は「ハムレット」の中で、ヒロインのオフィーリアが狂乱の中で歌うもの。
二曲目は「ウィンザーの陽気な女房たち」中で曲名が登場し、劇全体のテーマ曲のように扱われている流行歌曲です。
そして参考曲として、1968年の映画「ロミオとジュリエット」のテーマ。作曲は「ゴッドファーザー」などで有名な現代作曲家ニノ・ロータですが、上演当時の音楽や楽器編成を考慮した音楽になっていると思います。


2. メンデルスゾーン:劇音楽「真夏の夜の夢」op61より(1843)
スケルツォ
結婚行進曲
フィナーレ
ペーター・マーク指揮 ロンドン交響楽団 コヴェント・ガーデン・ロイヤル・オペラ・ハウス女声合唱団 1957年2月録音

リズミカルな音型や楽器の色彩効果を用いて、妖精たちや動物(獣人)の住む幻想的な世界を描写した名曲です。メンデルスゾーンが17歳で書いた「序曲」に感銘を受けたプロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム4世の勅命により、1843年に序曲の主題も再利用して作曲された「劇付随音楽」です。既に30歳を過ぎていたメンデルスゾーンですが、躊躇なく若書きのモティーフを発展させ、鑑賞用としてもまとまりのある管弦楽曲に仕上げています。

●スケルツォ Scherzo op.61-1
森の中の妖精のささやきを思わせるような軽妙な曲です。木管楽器が軽やかにスケルツォの主題を演奏した後,弦楽器の方に引き継がれていきます。
●結婚行進曲 Wedding March op.61-9
全曲中最もよく知られている曲です。ワーグナーの結婚行進曲と並んで,本当の結婚式でもよく使われています。トランペットのファンファーレをはじめ金管群が活躍しますが、聴き心地はあくまで上品です。
●終曲「ほのかな光」 Finale"Through the house give glimmering light" op.61-13
序曲の開始部分をうまく使い,それに「消えかけた火のそばに精霊や妖精たちよ、来ておくれ」という内容の独唱と合唱が重なります。メルヘンの気分が豊かな終曲です。

■蓄音機コーナー■


3. ニコライ:歌劇「ウィンザーの陽気な女房たち」序曲(1849)
エーリッヒ・クライバー指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 
1934年9月録音
このオペラは若くしてこの世を去ったニコライにとって最後のオペラで、彼の代表作です。ニコライは、音楽史的には「ウィーンフィルの創始者」としても知られています。


4. ヴェルディ 歌劇「オテロ」より(1887)
“喜びの炎よ“(火の合唱)
“無慈悲な神の命ずるままに“(イアーゴの信条)
 “すでに夜もふけた“(愛の二重唱)

クラウディオ・アバド(指揮)ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
アンジェラ・ゲオルギュー(ソプラノ)セルゲイ・ラーリン(テノール)
ブリン・ターフェル(バリトン) 
収録:1996年6月ベルリン、ヴァルトビューネ(ライヴ)

ジュゼッペ・ヴェルディが作曲した全4幕からなるオペラで、1887年、ミラノ・スカラ座で初演されました。ここでは序盤に登場する3曲をご紹介します。

第1幕のあらすじ。
キプロスの港、激しい嵐。島の住民が待ちわびる中、ムーア人の将軍オテロに率いられた船団が帰還する。敵、トルコ艦隊は海の藻屑になったとの勝利報告に、住民は歓喜して歌う。「喜びの火は一瞬に燃え、一瞬で消える…」
ライバルのカッシオが副官になったことを妬み、オテロを憎む旗手ヤーゴは、一計を案じ、酒に弱いカッシオにワインを無理強いして暴力沙汰を起こさせる。騒ぎを聞いたオテロは即座にカッシオを罷免、群衆に帰宅を命ずる。
舞台にはオテロと妻デズデーモナだけが残り、愛情を確かめ合う美しい二重唱が歌われる。歌の内容はオテロの過酷な人生と、将来の不安。デズデモーナの愛を確かめ合いつつも、この幸福の時に死を願う。悲劇の予感が滲む。

5. チャイコフスキー 幻想序曲「ロメオとジュリエット」(1869)
ベルナルト・ハイティンク(指揮)ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
収録:1993年5月1日ロイヤル・アルバート・ホール、ロンドン

ピョートル・チャイコフスキーがシェイクスピアの戯曲『ロミオとジュリエット』を題材として作曲した演奏会用序曲。チャイコフスキーはシェイクスピアを愛読していて、この曲以外にも「ハムレット」「テンペスト」という序曲を作曲しています。幻想序曲は物語の進展を描写する音楽で、交響詩と同じ概念といっていいでしょう。1869年の9月から11月にかけて作曲され、1870年3月16日、モスクワにおいてニコライ・ルビンシテインの指揮によって初演されました。

修道僧ロレンスを表すコラール風の荘重な序奏をクラリネットとファゴットが奏でる。 続くソナタ形式による主部では、モンタギュー家とキャピュレット家のいさかいを表す激情的な第1主題が現れ、やがてコールアングレと弱音器つきのヴィオラによりロメオとジュリエットの恋を描く甘美な第2主題が現れる。
展開部は敵の家の人に恋をしてもいいのかと2人が悩む様子、両家が激しく争っている様子、ロメオとジュリエットの恋の成就から、仮死状態にあるジュリエットを死んでしまったと勘違いしたロミオの気持ちを表すかのように、曲調は激しくなり、ロミオの服毒自殺、つづいて目が覚めたジュリエットがロミオを追いかけて自死したことを表すティンパニの一打へと続く。
ティンパニのロールが終わると終結部へ。葬送行進曲風のティンパニの心臓の音を表す刻みに悲しげな第2主題が重なり、木管楽器が天に召される2人の様子を清らかに奏でると、最後はトゥッティの緊迫した和音で終わる。

昨年2019年、90歳で引退を表明したオランダの指揮者ハイティンクの、全盛期の熱演をお楽しみください。会場はシェイクスピアゆかりのロンドンの大劇場、ロイヤル・アルバート・ホールです。

※参考動画 ハイティンク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団のセッション録音(1964)


さて、次回は…
0001 (2)
関連記事
スポンサーサイト



コメント

コメント(6)
機械マニアの呟き
私より家内が、久しぶりのおでかけの音楽会を楽しみにしていました。
「シェイクスピア劇の音楽より~」(カウンターテナー)のアルフレッド・デラーは、音響装置が無かった中世の舞台を彷彿するようで良かったです。☆☆☆
以下は、機械マニアの呟きです。
「蓄音機コーナー」の蓄音器 ゼンマイモータ修理から生還して7月から音量が大きくなりましたね。
使用盤も日本テレフンケン黒金ラベルの特別盤だったような気がします。
歌劇でも演奏中は、目を閉じている私ですがベルナルト・ハイティンク(指揮)映像をチラ見して指揮者と演奏者のタイムラグを感じ先日のネコパパさんのチコちゃん「指揮者は演奏者より一瞬未来を演奏している」を思い出しました。引退したハイティンクの指揮は、いいですね。

チャラン

2020/09/13 URL 編集返信

yositaka
Re:機械マニアの呟き
チャランさん
毎度ご来場ありがとうございます。再開記念に、チャランさん夫妻、ネコパパ夫婦と遠方から駆けつけてくださった井上マスターも加わり、楽しい昼食会もできました。
チビグラ2号も快調のようです。日テレフンケン盤はどれも音がしっかりしていて、当時のドイツの技術力を感じさせます。
「ロメオとジュリエット」の映像は2種類ありましたが、この1993年のロンドンでの収録、画像はボケ気味でしたが演奏のノリがすごいのでこちらを選びました。
前日に映画「ロミオとジュリエット」(1968)を見たばかりだったので、ストーリーをイメージしながら聞いていましたが、チャイコフスキーの描写力は抜群なだけでなく、交響曲の一楽章としてもいいくらいよくまとまっています。やはり大作曲家!

yositaka

2020/09/13 URL 編集返信

グリーンスリーヴズ…
アルフレッド・デラーの歌う「グリーン・スリーヴズ」、いいですね~♪
この曲、シェークスピアに登場していたんですか。
アリソン・アトリー『時の旅人』(岩波少年文庫)に登場した時、なかなか感動的でした。

> ハイティンクの、全盛期の熱演をお楽しみください。会場はシェイクスピア
> ゆかりのロンドンの大劇場、ロイヤル・アルバート・ホールです。
> 「ロメオとジュリエット」の映像は2種類ありましたが、この1993年のロンドンでの
> 収録、画像はボケ気味でしたが演奏のノリがすごいのでこちらを選びました。
あれれ、ご掲出の YouTube動画は、PHILIPSのセットの箱が映っているだけで、ライヴ動画ではないようですけれど…。
PHILIPSにある、スタジオ録音の、ハイティンク/コンセルトヘボウによるチャイコフスキー交響曲全集+管弦楽曲セットは、よくまとまった選曲なのですが、『ロメオ』も含めて演奏がおとなしすぎて、私にはやっぱりダメでした;;。
『ロメオ』は、アバド/ベルリン・フィル盤に買い換えました。

へうたむ

2020/09/14 URL 編集返信

yositaka
Re:グリーンスリーヴズ…
へうたむさん
あの歌は、よほど流行したんでしょうね。英国人のこころの歌って感じです。昔ロックバンドの「ザ・バンド」の解散コンサートを記録したドキュメンタリー映画「ラスト・ワルツ」の幕切れ、観衆の大喝采の中を静かにこの曲が流れてエンドロールが始まるのに驚いた記憶があります。イギリスでは特別な曲なんでしょう。

「ロメオとジュリエット」、使用したのはベルリン・フィル・ヨーロッパコンサートのロンドン公演です。しかしYouTubeでいくら探しても発見できず、この動画で代用しました。誤解を招く記述でしたので、参考動画の旨、追記しました。

いやー、それにしてもこのDVDに収められた演奏は、ハイティンクとは思えない壮絶さでした。セッション録音とは大変な違いです。機会がありましたら、ぜひどこかでご覧になってください。

yositaka

2020/09/14 URL 編集返信

音楽を楽しむ会の再開・・・良かったですね
音楽を楽しむ会の再開・・・良かったですね。
シェークスピアと音楽・・・シェークスピアはあまりよくわかりませんが・・・
そういえばチャイコフスキーの「ロミオとジュリエット」・・音源は結構あると思うけどあまり聴いていません。
映画の方は大学時代に、オリビア・ハッセーのを見ました。

次回の音楽を楽しむ会では、「田園」をやるんですね・・・誰の田園を流すのか興味ありです。「モルダウ」も「火の鳥」もとても好きな曲ですね。

HIROちゃん

2020/09/17 URL 編集返信

yositaka
Re:音楽を楽しむ会の再開・・・良かったですね
HIROちゃんさん
おひさしぶりです。
オリビア・ハッセー主演の「ロミオとジュリエット」は、私の場合は、中学生時代の封切り。仲間の間で大変な評判となり、男子の中にはすっかり「のぼせてしまった」者もいました。もう、何度でも見に行くんですよ。私は一回でしたが…
実はこの会の少し前に、NHK-BSで放送され、久々に再見したんですが、いやあ、今見ても新鮮でした。
音楽もゴージャスな印象がありましたが、実は、ルネサンス時代の様式に基づく大変シンプルなもので、二人が初めて顔を合わせ、一目ぼれする一瞬、テーマだけが数秒間フルオーケストラで鳴らされるんです。ニノ・ロータのセンスの良さに驚かされました。

次回の宮澤賢治の巻は、曲数が多くなりそうです。
花巻空襲で全焼した彼のレコードコレクションは、想像以上に膨大でした。
「田園」は、賢治自身が聞いていたプフィッツナー指揮のものを用意しようと思いますが、彼の録音だって1923年、1926年、1929年と3種類もあり、賢治はその全部を所有していた可能性があります。どうやって紹介するかが考えどころです。

yositaka

2020/09/17 URL 編集返信

コメント投稿
非公開コメント

プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

ご訪問ありがとうございます

月別アーカイブ

検索フォーム

QRコード

QR