チコちゃんに叱られる~「なぜ指揮者は手を振る?」

時々見ている『チコちゃんに叱られる』、8月21日の回は拡大版で、なかなか終わらないのをついぼーっと見ていたら、こんな質問が飛び出した。
以下、ネットのニュース記事から、内容を引用してみよう。

指揮者の動きにはルールがない? クラシックの謎にチコちゃんが迫る

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『チコちゃんに叱られる』で指揮者の謎について解説。実は細かなルールは存在しないようで…
2020/08/22 09:00

21日に放送された『チコちゃんに叱られる!!』(NHK)で扱われたテーマのひとつ「なぜ指揮者は手を振る?」が話題となっている。チコちゃんのテーマに対する回答は「一瞬先の未来を演じているから」という。指揮者が未来を演じているとはどういうことなのだろうか。

■「一瞬先の未来を演じているから」

指揮者とは、作曲家が書いた楽譜を見て、どんな曲かというのを頭に思い浮かる。そしてそれを演奏者に演奏してもらうため、身振り手振りで自身の解釈を伝えるの役割のようだ。
指揮者の手の振り方には、ルールがあるように思えるが、実はこれといった決まりはなく人によって様々なのだという。解説した先生は、指揮について「そんなに難しくないよ。指揮者は自分勝手にやってる」と回答するほど指揮者によってバラバラなようだ。

■以前は指揮者が必要なかった

力強く、身体と手を大きく振る人や、手だけを最小限に動かす人、踊るように指揮する人など、人それぞれだ。実は、指揮者が誕生したのは、18世紀の終わりから19世紀のはじめごろ。それ以前は、作曲者自身が演奏しながら周囲に指示を出すのが一般的だった。作曲家が演奏会のために曲を作り、演奏したら棚に楽譜が追いやられるといったことも多かったようだ。

しかし、作曲家がいつまでも生きているわけではないため、過去の作曲家の作品を演奏する機会が出てきた。作曲家自身もういないため、その曲を再現する人が必要になった。
その役目を担っているのが指揮者。指揮者が広まったのは、「結婚行進曲」の作曲家として知られるメンデルスゾーンがバッハの「マタイ受難曲」の楽譜を発見し、再現するために猛勉強。自身が指揮者となって演奏会で曲を復活させて世に知らしめたのがはじまりと解説した。指揮者の動きと演奏者の反応には若干のラグがあるため、「指揮者は演奏者より一瞬未来を演奏をしている」という意味を込め、チコちゃんの回答である「一瞬先の未来を演じているから」としたようだ。

チコちゃんの指揮者の解説には、「未来を見てるってめっちゃかっこいいな」「指揮者によって音楽の進行が全然違うの面白いなぁ」「指揮者が勝手にやってるは笑った」と好印象なコメントが多く寄せられていた。

引用終わり。
番組では、「指揮の仕方はいろいろ」ということで、貴重なアーカイブ映像のさわりが次々と紹介された。登場指揮者は

ヘルベルト・フォン・カラヤン
カール・ベーム
レナード・バーンスタイン
レナート・スラトキン
トゥガン・ソヒエフ
シャナンドレア・ノセダ
山田一雄
朝比奈 隆
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など、そうそうたる顔ぶれだ。「指揮者によってこんなに違う」例として、朝比奈隆とシャナンドレア・ノセダの「運命」冒頭を比較。演奏時間は朝比奈41分、ノセダ30分ということで、スタジオの皆さんの驚きを買っていた。
いやー、それにしてもこの二人、極端でしょ。

「指揮者は演奏者より一瞬未来を演奏をしている」の例としては、朝比奈の「運命」冒頭が使われた。なるほど、これならよくわかる。でも、これ「一瞬先」じゃないですよ。2秒くらい遅れている。
N響のみなさん、タイミングを計り兼ねて、ズズ…ダダダダーンと苦しげに出てくる。ここを何度も放送するのは、ちょっと恥ずかしかったかもなあ。

それはともかく「一瞬先の未来」という表現はいいな。
ネコパパも現役教員だった頃は、子どもたちに「なんで勉強しなきゃいけないの?特に算数なんて」と聞かれた。そういうときは「人間はほかの動物と違って未来が見えるんだ。正しく未来を見る力を育てるために、勉強はするんだよ」と答えたものじゃ(お茶をすする)。

そうか!指揮者が演奏する曲の楽譜を分析したり、研究したりすることを「楽譜研究」とか言わず「さらう」とか「勉強する」と言うのは、未来を見つめる謙虚な姿勢があるからかもしれない。
だとしたら教員も授業準備のことを「教材研究」なんて偉そうに言うのはやめなきゃいけないね。

追伸。ノセダの「運命」ありました。これ、尋常な演奏じゃないですよ。話題のクルレンツィスもびっくりです。






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コメント

コメント(9)
載せ田は悪くない。
載せ田の運命、聴きました。
第1楽章冒頭から(これはやり過ぎ、キワモノ演奏か?)と思わされましたが、次第に慣れてしまい、第2楽章以降は気にならなくなりました(笑)
結局最後まで聴いてしまいました。
これは私にしては珍しいことです。
私はこういう快速演奏が好きなのでしょうね。
遅い演奏に有り難みを感じることは殆どありません。
これは私が元ロック少年ということもあるかもしれません。
ロック、特にハードロック・ヘビーメタルではギター等をいかに速く弾くかといった”速弾き礼賛”の傾向が強いんです。

不二家憩希

2020/08/23 URL 編集返信

ノセダは時代のせいだ
ノセダの演奏を初めて視聴。
脳内で補正する前に終わりました。

「運命」を生まれて初めてノセダで聴いたら、早いと感じるか遅いと感じるかは分かりません。
少なくとも、好きな人と過ごす時間は早いと感じるし、嫌いな人と過ごす時間は遅く感じます。

象の時間、ネズミの時間。
19世紀の時間、20世紀の時間、21世紀の時間。
ドイツの時間、日本の時間。
日時計の時間、鳩時計の時間、電波時計の時間。
新型コロナ前の時間、コロナ後の時間・・・

クイズ早押し番組が人気だったり、録画番組を早送りで見る時代。
注文品がすぐ出るドライブスルーが人気の時代。

それにしてもN響の方たちが皆「ゴルゴ13」のような表情でした。
演奏を聴きながら、彼らが、日頃どれだけ電子音やデジタル音を浴びながら生活しているのかも気になりました。
代々木公園に通うまでの音は、森の音でも、石造りの裏路地でも、馬車音や蒸気機関車の音でもないし・・・ (元N響会員のつぶやき)

ひきこ杜

2020/08/23 URL 編集返信

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2020/08/23 編集返信

いやぁ
yositakaさんの記事をみなければ、危うく知らずに消すところでした。
チコちゃんは御多分にもれず家内と毎週録画を散漫にみていたのですが例の岡村の不用意発言から快速再生でほぼ3割見て消すような習慣になっていました。
やっぱりNHKには何人かは切れるディレクターなり放送作家はがいるのかな?

老極の散策クラシック限定篇

2020/08/23 URL 編集返信

yositaka
Re:載せ田は悪くない。
不二家憩希さん
なるほど、こういう演奏をハードロックに例えるのはあたっているかもしれません。クルレンツィスにもそんなことを感じますね。”速弾き礼賛”ですか。
クラシックでも、楽器演奏ではそういう面白さの追求は生きていると思います。
パガニーニ以来のヴァイオリンの超絶技巧はまさにそれですね。皮膚感覚の快感は音楽の大きな要素です。

驚くのは、ノセダの指揮にぴたっとついていくN響の技です。指揮者の信頼度が高いはずです。

yositaka

2020/08/23 URL 編集返信

yositaka
Re:ノセダは時代のせいだ
ひきこ杜さん
>好きな人と過ごす時間は早いと感じるし、嫌いな人と過ごす時間は遅く感じます。
なるほど、その通りです。でも脳内補正する前に、とあるので、ひきこ杜さんには今ひとつだったかもしれませんね。
>N響の方たちが皆「ゴルゴ13」のような表情でした。いつのまにか無敵のスーパーオーケストラになっていたのですね。
はっはっは、命中率100%の技ですか。現代という時代は人間にもデジタル的な技を要求するのかもしれません。しかし、デジタルやAIでカバーできない部分こそ、人間の人間たるところだと思います。
そのスーパーオケをもたつかせてしまう朝比奈傟の棒は、まさにアナログの極致と言えそうですね。私の好みはやはり、こちら寄りです。

yositaka

2020/08/23 URL 編集返信

yositaka
Re:いやぁ
老究さん、こんばんは。
お役に立ててなによりです。
先日の8Kリマスターといい、今回のチコちゃんといい、NHKには根強いクラシック志向があることがよくわかりました。切れるディレクターも。数字や形としては見えにくいですが、クラシック番組は局の趣味ではなく、支持する視聴者も相当多いのでは、という気がします。でなければ、ここまでの手間はかけないでしょう。応援したいと思います。

岡村氏の問題は、確かに私も気になりますが、本人はNHKに続投を懇願したと聞いています。それをNHKが認めたとあれば、あとは視聴者として「仕事」で判断させいてただきましょう…と思っています。

yositaka

2020/08/23 URL 編集返信

なぜ演奏者は、指揮者の手を見ないのか?
私の初歩的な愚門で、演奏をTV・DVDで試聴出来るようになって最初に感じた事。
演奏者は、指揮棒を見ず楽譜や目を閉じ暗譜で演奏しているのに指揮通り?の演奏になっている。

チコちゃんも上から目線のトップ(指揮者)だけでなくボトム(演奏者)の視点で取り上げてくれないかな、でも頭のいいディレクターは、視聴率が稼げないので却下ですね。

チャラン

2020/08/24 URL 編集返信

yositaka
Re:なぜ演奏者は、指揮者の手を見ないのか?
チャランさん

見ていないようで見ている
見ていなくても見ている
見ていても見ていなくてもいつのまにかコントロールされている

楽員もそのへんはよく説明できないようですが、指揮者が前に立つだけで音は変わるという意見もしばしば耳にするので、まあ、手を振らなくてもその指揮者の音楽に、否応なくなってしまうようなところがあると思われます。内田樹によると人間の持つミラー・ニューロンの作用で、武道や舞踊の修行など、弟子は師匠を見なくても、その動きを同時進行で感じ取るそうなので、オーケストラ演奏にも同じことが言えそうですね。

yositaka

2020/08/24 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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