昨日から始まったNHKの連続テレビ小説「エール」は、明治から昭和にかけて生きた作曲家古関裕而(こせき ゆうじ、 1909年(明治42年)8月11日 - 1989年(平成元年)8月18日)夫妻をモデルにしたストーリー。
音楽に関わりあり、蓄音機も登場するとのことで、興味を弾いた。
仕事もまだ始まらず、不要不急の外出も避けて2回続けて視聴。二回目の本日で、蓄音機が登場。
これは…大変立派な個体だ。ドラマ用に新たに制作したものか。
蓄音機の国内製造が開始されたのは1910年(明治43年)、古関が2歳の時である。国産初の蓄音器は日本蓄音器商会(後の日本コロンビア)から発売されたニッポノホンNIPPONOPHONE、価格は35円だったとのこと。
おお、これか。ドラマ版はちょっと箱部分のデザインがゴテゴテしている感じがするけど、上手く再現していると思う。
これで最初は義太夫をならしたりしていたが、2回目は父親が買ってきた舶来レコードで「当家で初めて鳴った洋楽」という名目でエルガーの「威風堂々第1番」が鳴らされた。
主人公の少年はまだ10歳になっていない。とすると、1917、8年といったところか。機械録音時代。はたしてこの曲は録音されていたのか。こういう時は「クラシック名曲初演&初録音事典」平林直哉著(大和書房)を引いてみよう。
初録音。エドワード・エルガー指揮交響楽団。1914年6月26日録音のHMV盤である。
ただしこれは短縮版で、全曲は同じくエルガー指揮ロイヤル・アルバートホール管弦楽団、1926年4月27日録音のものという。
時期的にはギリギリだが、短縮版なら間に合ったかも…スタッフ、なかなかやるな。平林本を参照したのか。
その、1914年短縮版というのは、これらしい。
テレビで流れたのは全曲盤だったが…まあいいか。
たたし、最後でポカありだ。
蓄音機のターンテーブル上を回転するレコード。どう見ても78回転じゃない。33回転が45回転だ。あれじゃ、遅すぎるっ!
追記 4月4日
4月3日放送の第4回を試聴。蓄音機再生のシーンでは、テレフンケン盤と覚しきレーベルのチャイコフスキー「弦楽セレナーデ」が掛かった。テレフンケン盤ならば、ネコパパも架蔵しているウィレム・メンゲルベルク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団(1938年11月7日録音)と思われる。主人公はまだ10歳くらいだから、ドラマの時点では1919年。となるとこれはまだ録音されていないのでは?
残念ながら平林本にはこの曲について記載がない。
蓄音機の回転は第2回と違ってちゃんと78回転で回っていた。改善、ありましたね。ネコパパの記事を見たのかな?まさか。
昨日チャランさんからお聞きした話では、記事に掲載した機種はNo35で、番組で使用されていたのはこれより上位機種のNo50ではないかとのこと。検索してみると「箱部分の装飾」はNo50のものと判明した。価格は50円。品番は価格を意味するようだ。明治42年の50円を現在の価値に換算するのは難しいが、少なくとも50万円にはなると思われる。贅沢品ですね。
- 関連記事
-
スポンサーサイト
コメント
早速、ドラマの蓄音器を調べてみると「日本蓄音器カタログ」よりニッポノホン50号と思います。
ラッパ「10枚花弁 材質 ニッケル」 ターンテーブル脇の調速(回転)摘み
*正面の引き出し部にロゴマーク・銘板が無いので断定は出来ません。
箱の側柱が(好みによりますが)装飾的なので初期の製品と思われます。
放送は、BSの再放送でチラッと見ましたが機械式録音・片面盤の威風堂々第1・第4を「ラッパ式蓄音器」で聴いてみたかったです。
チャラン
2020/04/04 URL 編集返信「日本蓄音器カタログ」を持っていないので検索に手間取りましたがなんとか確認できました。ドラマで流れる音が最新デジタル音なのはいかんともしがたいですが、どこか別の番組であれの出す本当の音というものが聴いてみたいです。
第4回では小学校の音楽の授業の様子とか、小関(作中では小山)少年が教会で聖歌隊の歌う「星の界」(明治42年『教科統合中学唱歌 第二巻』初出の翻訳唱歌)を聞いて感激するシーンが登場します。
授業では、北原白秋の詩に作曲させるという無茶な課題を担任教師が与え、10歳の小関少年が立派にやり遂げることになるのですが、唱歌の授業などまず行われていなかった、当時一般の小学校教育とはかけ離れた状況と思いました。そこで確かめると、古関の出た小学校は福島県師範学校附属小学校という「例外的な」の学校でした。
視聴者が番組を見て当時の学校の様子はあんなものだったのか、と誤解しないか、心配になります。
yositaka
2020/04/04 URL 編集返信