サマー・ウォーズ


アニメ映画を見に行く。
先日テレビで見た『二十世紀少年』第一部といい、これといい、映像表現のバーチャル化というか、ハイブリッド化というか、
本当に著しいものがある。
現在住んでいる日常生活の空間とはつかず離れずのところに、莫大な情報量のネット空間が存在し、
現実世界に大きく干渉してくるという世界観。
おそらくそれはファンタジーというよりも、すでに現実となっているといってよいのかもしれない。

この映画も、形としては、かろやかな大家族コメディを装う。その一方で、情報化した世界にひそむとほうもない悪意と危険をも描こうとする。欲張った内容なのだ。

高校2年の夏休み、数学の天才で内気な性格の小磯健二は、巨大なネット上仮想空間「オズ」の補修点検のバイトをしている。
そんな折、憧れの先輩、夏希に「実家に同行する」というバイトを頼まれる。
二人が辿りついた先は、長野にある彼女の田舎。
広大な屋敷に集まったのは、総勢27人の大家族。医師、消防士、自衛官、警察官、漁師、科学者と多様な職業に従事する人々とその家族である。
夏希の曾祖母・栄は、室町時代から続くこの家系・陣内(じんのうち)家の当主であり、一族を束ねる大黒柱だ。
栄の誕生日を祝うために集った、個性豊かな「ご親戚」の面々。そこで健二は突然、夏希から「フィアンセのフリをして」と頼まれてしまう。
眠れぬ夜を過ごす健二。そこに数式の書かれた一通のメールが…
そこから、世界の危機に立ち向かう、健二と大家族の戦いが始まったのだ。

栄おばあちゃんを当主とする旧家(九課?)一族が、かつての大家族ものテレビドラマよろしく、生き生きと描かれている。旧家の屋敷の描写や青空と朝顔を背景とした情景描写も鮮やか。
そしてこれとは対照的な、デザイン、色彩、イメージの過剰ともいえる仮想空間「オズ」の表現。
二つの要素を巧妙に組み合わせ、120分を一気に見せる。観客を存分に笑わせ、泣かせる仕掛けはじつにうまく、ついついのせられてしまった。

監督は細田守。2006年の劇場版アニメ「時をかける少女」で名を馳せた。
キャラクターデザインの貞本義行も「ふしぎの海のナディア」や「新世紀エヴァンゲリオン」でおなじみだ。
彼の描く少年少女は、線が細く、気持ちや思いを表現するのがとても不器用である。性的にも未分化。とくに健二や夏希とともにキーパーソンとなるパソコン少年、佳主馬などは最後まで「女の子じゃないの?」という印象が捨てきれない。
しかし、ここぞという場になると、秘めた力を存分に発揮する。
まさに、今に生きる子どもたちが「こうありたい」という夢を、具体的な姿として指し示すものとなっている。

あれっと思ったのは、
「この話、前にも一度見たことがある」と感じたことだ。
それは数年前に家族で見に行った映画版「ワンピース」と併映されていた『デジモンアドベンチャー』という作品だった。
調べると、おなじ細田守の作品。こちらは40分とずっと短い作品だったか、やはりバーチャル世界をとおして出現した世界の危機に、ゲーム少年たちが仲間の力を結集して立ち向かう物語だったと記憶する。
細田としては、これがどうしても言いたいテーマであり、今回はより大規模に、緻密に展開したということなのだろう。

強いて要望するならば…
「敵」として設定されている相手の存在理由に、偶然性が強すぎることが、どうも気になる。そこだけが弱い。
「敵役」が魅力的であるほど、ドラマは厚みを増す。魅力とは「姿」や「強大さ」だけではないはずだ。次回作では、ぜひそこに力点を…

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yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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