3月11日、談話室香津原で3時から開催された「名古屋蓄音機クラブ」の例会に参加してきました。
疫病蔓延騒ぎの最中でしたが、勝原オーナーは強気です。躊躇なく開催を決意されたようです。もちろん、ネコパパも躊躇なし。
でも、会員の皆様はそうでもなかったようで…総勢7人での開催となりました。なかには奥様の反対を押し切って参加、という方もおられたようです。
まあ、適度な距離感で、コーヒーをいただきながらの懇親会ということで、安全度は高く、いい会になりました。会費不足でオーナーの運営が窮地に追い込まれないといいのですが。
さて、第1部はオーナーのご案内で、タンゴです。
一枚目。エドゥアルト・ビアンコ「田舎貴族」、実は「スンチャレス」という別の曲をタイトルだけ変えて新曲として出してしまったといういわくつき。演奏はユニークなもので、どちらかといえばメロディック、リズムが一定しないで、酔っ払いの踊りのようにふらふらして、勝原オーナーがいつも聴かせてくださっている野趣と活力のタンゴとは一味違います。
二枚目はオーナーには珍しく、コンチネンタル。
ネコパパも好きなドイツのアンサンブル、マレク・ウエーバー楽団の「夢のタンゴ」。
つややかな女声ソロが加わっているのも素敵でした。誰なんでしょう。
YouTubeにあったのは、歌なしの別ヴァージョンでした。
続いて第2部、井上マスターのジャズ。
1 マスカット・ランブル ルイ・アームストロング
2 オール・ザ・シングズ・ユー・アー ディジー・ガレスピー
3 ラブ・ミー・オア・リブ・ミー サラ・ヴォーン
4 恋とは何でしょう ビリー・ホリディ
サッチモは初期の盤で、ベースもドラムスもなく、リズムを受け持つのはバンジョーです。サッチモはコルネットを吹く。後の演奏では聞かれない、野太い響き。音のよさも電気録音最初期とは思えない立派なものです。
ガレスピーは「楽団」名義で、チャーリー・パーカー、「歌うベーシスト」スラム・スチュアート。後のジャズメンがみんな模倣する、特徴的なベースのリズムによるイントロ。おそらくこれが嚆矢とのこと。
すでに、モダンジャズの雰囲気濃厚な演奏です。
若い頃のサラ・ヴォーン、ビリー・ホリディの歌声も瑞々しく、軽やか。ビリーはDecca盤で1945年の録音ということですが、晩年の翳りはありません。
それにしても、いつもながらマスターのコレクションは凄い。
休憩を挟んで第3部、本日のメイン企画は、勝原オーナー編「ジャズ喫茶グッドマン」にも執筆されている、ジャズ盤コレクターの堀さんが登場です。内容は長年収集された秘蔵映像による「動くモダン・ジャズ・ジャイアンツ」。
何しろ世界各国から、録画方式の違いもかまわず、ソースを収集、月給の数倍もするユニバーサル・モード対応の再生装置を備えてライブラリーを作られたとのこと。
データは不明なものが多いようですが、概ね1950年代後半から60年代にかけて放送されたアメリカのTV番組「アート・フォードのジャズ・パーティ」や、パリ、イタリア、北欧など、ヨーロッパのテレビ番組をエアチェックしたものが大半とのことでした。
アニタ・オデイの歌をイントロに流して、あとは堀さんの編集されたベスト盤DVDをつぎつぎに視聴。
アート・ファーマー、リー・コニッツが参加した『オリバー・ネルソン・バンド』
ジョン・コルトレーン・クインテットのヨーロッパ・ツアーから。固定カメラで関係者が収録したもの。バラードを延々一人で吹き続ける。
ディジー・ガレスピーとルイ・アームストロングがコントをしながら吹きまくる。
クリフォード・ブラウンの「メモリーズ・オブ・ユー」ともう一曲。1958年の番組で、動くブラウニーを捕らえた稀少な映像。画像はかなり乱れているものの不思議と音はしっかりしている。
コールマン・ホーキンスとスタン・ゲッツ。
ウィントン・ケリーのピアノに、コルトレーンとスタン・ゲッツが加わる。北欧での映像らしく、アングルが凝っていて演奏も見事。
フィル・ウッズ、クラーク・テリー、サヒブ・シハブ、スタン・ゲッツと凄いメンバーのセッション。
コルトレーン、ゲッツにオスカー・ピーターソンという意外なメンバーの1960年ベルリン・ライヴ。
最後に、ドナルド・バードとスタン・ゲッツ。
ゲッツの出番がとても多いですが、いつもどっしり構えて、変わらぬマイルドな、しかし芯の強いソロを聴かせていました。風格あるなあ。一方コルトレーンは誰とやっても直立不動、ストイックです。フィル・ウッズはトレードマークの鳥打帽姿。
ガレスピーとサッチモのおどけたステージを除いて、モダンの連中は地味です。
モノクロ映像のせいもあるかもしれませんが、一筋に音楽にのめりこんでいる姿が胸を打つ。そのなかで、サックスを横口にくわえて斜めって吹いているリー・コニッツはちょっと異質でした。演奏もしまりがない。
コニッツは、昔sige君宅で、1950年頃の凝縮した、冷たい火を噴くような壮演を見せてもらった記憶がありますが、今回のは1966年。ずいぶん変わるものです。こういう変化を見られるのも、映像の凄さだと思います。
「アメリカではレコード会社の契約の縛りが強く、とても実現できない取り合わせが、ヨーロッパではできてしまう。そこが魅力ですね」と堀さん。次の機会には、お話もじっくり聞かせてください!
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