アナログレコードを聴きまくる




8月某日。
bassclef君宅へsige君とともにおじゃまし、一年ぶりにレコードを聴きまくる会。
60年代製造の管球式アンプが繰り出す音は、長時間の聴取にもまったく疲れを感じさせない。

チャーリー・マリアーノにはじまるベツレヘム10インチ盤の旅からはじまり
ソニー・ロリンズ
セロニアス・モンク
アニタ・オデイ
デューク・エリントン
ジェリー・マリガン
レッド・ミッチェル
スタン・ゲッツ
ビル・エヴァンス


bassclef君はアナログ盤中心に、ついに五千枚を超えるコレクションを形成。一年の間にも、その充実はすごい。
オリジナル盤収集にもなかなかのこだわり。
ジャケットの色合いや手触りなど、半世紀のときを経てきたアルバムの存在感は、なんだか聴く前からちがうのだ。

彼はアルバムの中でも、その盤の魅力をいちばんに味わうことができるポイントをぴたりと絞って選曲。
聴き手にとっては
有名、無名にかかわらず、どれも「すばらしい」と感じられる演奏ばかりである。

同じアルバムの、国内盤、海外盤、別バージョン盤の聴き比べもbassclef君得意とするところで、これがまた楽しい。
音は間違いなく、各盤で違う。
マスターの劣化がないだけ、オリジナルに近いものほど良い。
…というのがこの趣味の世界の定説だが、そう単純ではない。
むしろ、ときどきの製作者の価値観が大きく影響していると思う。


私も愛聴しているリヴァーサイド盤『マリガン・ミーツ・モンク』のステレオ・レギュラー盤と別テイク・モノラル盤の音の大きな違い。
同じセッションなのに、まったく別の音!! 別テイク版は手が加えられていない自然さと生々しさがあり、とくにウィルバー・ウェアのベースが輪郭豊かに聴こえる。ステレオ盤はあきらかにピアノやサックスが前面に出ていて、録音方式が違うにしても、全然雰囲気が違う。マイクロフォンの位置すら違うようなのだ。
音の傾向の好き嫌いはあっても、この盤が好きな人なら、どちらも耳にしたくなるのではないか。

デューク・エリントンがボールルームで演奏したライヴ、1940年録音『デューク・アット・ファーゴ』にも感嘆。
短期間だったが音楽的に格調高い「ブラントン、ウェブスター・バンド」の貴重な演奏をとらえた二枚組だ。
エリントン・ファンの青年二人が許可を得て、バッテリー方式のポータブル・ディスク・カッターで録音を行ったとのこと。
一台しかない録音機に次々アセテート盤をかけなおし、必死で録音していく。
昔のエアチェックもそうだった!!
それでこの生々しさ。ベースのジミー・ブラントンの強靭な響がしっかりと伝わるのが嬉しい。
渾身の録音といえるものだ。世界初のテープ収録、ワンポイント録音だったフルトヴェングラーの戦中ライヴに勝るとも劣らない。

いつか触れた、レッドミッチェルのリーダーアルバム『サムホット・サムスイート・サムワイルド』も、しっかりオリジナル盤を入手されていて、初めて聴くような新鮮さだった。
音は問題ないが、盤面に穴は開いているわ、ジャケットに罰点や書き込みはされているわで、さんざんな扱いをされてきたものだが、半世紀以上も残ってきたと思うと…それも歴史の一部なのだなあ。

演奏する側にも、記録する側にも、所有する側にさえもドラマのあって、それを現在に伝えてくれるアナログ盤。
まさにそこにいるだけで心が豊かになってくるようだ。

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コメント

コメント(2)
No title
yositakaくん、こんばんわ。いやあ・・・昨年と変わらず楽しかったですね。なんとなく、マリアーノから始まって、ロリンズ/モンク(1954年10月)を聴き、そしてマリガン/モンクのsweet & lovelyというスタンダード曲つながりで、モンクのピアノトリオ(1952年10月)の同曲まで聴いたりして・・・僕自身も久しぶりに掛けるレコードでそれらの国内盤が意外にいい音で、すごく楽しめました。この頃は、モンクのピアノのタッチの重さ・強さ、それからその音が立っているような感じにすごく惹かれます。そうして、国内盤であれなら、オリジナルはさぞや・・・という気持ちが抑えられません(笑)
レッド・ミッチェルの[サムホット・サムスイート・サムワイルド]・・・楽しめましたね。あれはホント、いい内容です。しなやかなミッチェルのベースワークが自然な音で捉えられてて「ベツレヘムレーベルはベース好きだね」(マックス・ベネットやオスカー・ペティフォードのリーダーアルバムもあるので)というyositakaくんのご指摘には大納得です!(笑)
また、集まりましょう!

bassclef

2009/08/20 URL 編集返信

No title
やあ、うれしいコメントですね。
50年代から60年代にかけては、演奏するほうもそうだけど、記録し、広げていこうとする人々にもすごい意欲と熱気のある時代でしたね。
演奏者ばかりではなくプロデューサーやエンジニアまでもが個性を競い、その結果、機材の限界を超えたすごい音楽がレコードに刻まれていく。
クラシックの分野もまったく同じなのです。スタッフ自体がまるで梁山泊。新しいものも気にはなるのですが、やはり、あの時代にひきつけられてしまいます。量もすごくて、一生かかっても聴ききれんくらいだし…
bassclef君のコレクションから次は何が出てくるか、楽しみですねえ。ぜひ次回もよろしく。

yositaka

2009/08/21 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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