ワルター/VPOのマーラー第9に新情報

ブルーノ・ワルターとウィーン・フィルによるマーラーの第9交響曲、と言えば、1938年1月の緊迫したウィーン情勢下でライヴ録音されたSP盤で、一種壮絶な演奏ということで、ワルター・ファン以外にも知られたレコードですが、ここにきて新情報です。
浩瀚なワルター・サイトを運営されているDANNOさんが、自サイト掲示板に投稿したもの。一発ライヴであると思われていたこの録音に、前日リハーサルでの収録分が含まれていたとのことです。
引用します。


従来この録音は1938/1/16とされていましたが、西谷さんからマトリックスナンバーについて末尾にⅠとⅡがあることを少し前に聞きました、その時はもしかしたら前日の物が含まれているんじゃないかと思っていましたが、確証が無く、その後当時の録音担当していたガイスバーグの録音時の回想が残っていて、2台の録音機を切り替えるリハーサルを前日やっていたことが判りました。しかし15日のテスト時の録音を使ったかどうかまだ判明していなかったのですが。昨日EMIのBOXを何気なく見ていたら録音データーに15&(live recording)16.1.1938となっていました。解説書もよく読んだら15日の日付も入っていました。こうなるとマトリックスのⅠは15日の録音分ではないかと推測されます。EMIの15日のレコーディングシートがあることは判っていましたのでつじつまがあいます。

マトリックス  2VH7027~2VH7046のうち2VH7039と2VH7046が末尾にⅠが付いておりそれ以外はⅡとなっています。SP二面分は15日の演奏のようです。そうなると、それ以外の15日の録音はどうなっているのでしょう、破棄されたのか何処かにひっそりと眠っているのか興味が尽きません。

0001257M.jpg

おそらく正しい情報と思われます。2VH7039と2VH7046、2面分およそ10分間がライヴではなく前日のリハーサルでの録音だったということですね。
驚くのは、現在では一般的な「編集ライヴ」によるレコーディングが、1938年の段階で早くも行われていたということです。ライヴ録音といっても記録ではなく、商品化を前提とした収録であったこともはっきりとわかります。
今も昔も、商品として世に出るということはこういうことで、ファンは間違っても「そのままの記録」を期待してはならない、ということなのでしょう。

このボックスセットはネコパパも架蔵していますが、「田園」と「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」を聴いただけで頓挫したため、ブックレットもまともに見ず、記載は見落としていました。全体に強いノイズカットが施され、鼻のつまったような音に感じられたからです。でも、資料としては重要だったのですね。
さて、聴衆なしのリハーサル録音という2VH7039と2VH7046は、曲のどのあたりなんでしょう。
はたして前後の演奏と違いはあるのでしょうか。
SP盤は架蔵していませんし、そもそも稀覯盤の部類です。DUTTON盤CDか復刻LPで確かめたい気持ちもありますが、ネコパパには無理な作業です。聴き始めると音楽に集中してしまうので…どなたか、やっていただけないかな?




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コメント

コメント(6)
そうだったのですね
伝説的演奏会というと、ワルターのこれ、メンゲルベルクのマタイ、フルトヴェングラーの第5と第9。同率首位? フルトヴェングラーは戦後だから実際あったという記事を読んだ記憶あります。
これとまったく違いますが、結果的に2つの録音が混ざっちゃったことがありました。ワーグナーのトリスタンとイゾルデの1930年代のバイロイトライヴ、いつだったか、トスカニーニ指揮の買いました(EMI CD レファレンスシリーズ)そうしたら、どうも中にフリッツ・ライナーのライヴが混じっていたらしい。輸入盤ケースにそんなシールが貼ってありました。(逆だったかしら。しかし、トスカニーニの方が表だったかと)
よく読まないで買っちゃった。
フリッツ・ライナーだったからまあいいか。これがもし、フルトヴェングラーが混じっていたら……。

シュレーゲル雨蛙

2020/02/04 URL 編集返信

yositaka
Re:そうだったのですね
シュレーゲル雨蛙さん
フルトヴェングラーはEMI、DGから出たものは間違いなく編集ものです。マタイも怪しい。「観客のすすり泣き」が収録されていますが、あれももしや演出?とか疑い出すときりがありません。
欠落部分を別録音で補填するケースも多い。TAHARAが出したフルトヴェングラーの39年運命は、欠落をEMI37年盤で補っています。

トリスタンとイゾルデの話は初耳です。1930年代のトスカニーニ・ライヴも記憶にありません。ライナーは、1936年のコヴェントガーデンでのライヴがあったはずです。確かそれも発売目的でEMIが録音し、お蔵入りになったものでした。

yositaka

2020/02/04 URL 編集返信

初耳ですね・・・そうだったんだ~~~
HIROちゃんです。
1938年のマーラー第9番はCDでは持ってはいますが、1938年にすでにライブ録音編集が行われていたのでしょうか・・どの部分かは探るつもりはありません。どうせ駄目耳のHIROちゃんには分かりっこないですからね・・・
でもこの曲のCDの音は1938年にしては結構、いい音で聴けますね・・・それはリハーサル録音???かな???

HIROちゃん

2020/02/04 URL 編集返信

yositaka
Re:初耳ですね・・・そうだったんだ~~~
HIROちゃんさん
演奏時間70分が10枚の原盤に収録され、そのうちの2枚、約10分がリハーサル録音と推定されるとのことです。
会場雑音も入り、臨場感豊かなのでライヴ中心なのは間違いないですが、気に入らないところもあったのでしょう。
音の良さは、金属原盤を使ったトランスファーが行われているからのようです。DUTTONも含めたEMI系が概して良好なのはそれもあるのでしょう。
オーパス蔵が出しているものは、アメリカ盤のSPの現物起こしですが、これはヒスノイズが多いものの、音自体はしっかりしています。当時としては成功した録音ではないでしょうか。
リハーサル部分の検討結果は、いずれ誰かがやってくれるだろうと思っています。他力本願です。

yositaka

2020/02/04 URL 編集返信

なるほど~
> 今も昔も、商品として世に出るということはこういうことで、ファンは間違っても
> 「そのままの記録」を期待してはならない、ということなのでしょう。
なるほどねえ。

DGのバーンスタインやジュリーニの「LIVE」などは、単なる“公称上のライヴ”であると、ある面 だれも納得して聴いているのでは、と思います。
イヴェント性の濃厚な「ライヴ」にも、そういう編集があるというのは、リスナーとしては「ドキュメンタリーの改竄(!^^)じゃないか」という落胆を覚える部分は否めませんが、リスナーが購入・所有し、十分にその内容を鑑賞できるように、ちゃんとプロデュースしているとも言えるかと思います。

ワルターのこの音源では、どのマスタリングがもっとも納得のいく鑑賞をもたらしてくれるのかが私には問題でした。
> 全体に強いノイズカットが施され、鼻のつまったような音に感じられた
欧米のSP復刻は、多くの場合こういう傾向を持つようです。角田忠信氏の左脳・右脳論でしたか、欧米人は音楽とそれ以外を分けて聞き取る、というのに関係しているのかと思ったり。
Duttonのマスタリングもこの傾向で好きになれず、意外にも東芝EMIの岡崎マスタリングが悪くなかったのですが、ステレオ以降の、バルビローリやバーンスタイン/BPO盤があればそれでいい、と処分しています。

へうたむ

2020/02/05 URL 編集返信

Re:なるほど~
へうたむさん
編集の有無は、ケースバイケースで、なんでも修正なしが最高とまでは言いませんが、さすがにこういう古いものになってくると「もともとの演奏はどうだったのか」を明らかにしてもよさそうだと思います。
もしもリハーサル分と本番分の「コンプリート盤」をつくってもらえたら、ワルター・ファンのネコパパとしては、きっと飛びつきたくなるでしょう。期待したいところです。

Duttonのマスタリング…ダットン氏は、もともとEMIの人なので、復刻傾向も似ていて「ノイズカット派」です。でも個々に出来栄えは違っていて、この曲の場合は、もともとの音源の状態がかなりよかったせいか、リアル感があって成功の部類。ストレスなく聴けて個人的には好きです。

何を残すかは、好みの力点がどこかによりますね。私がこの曲を聴くのは、ほとんどワルターを聴くためなので、他の盤に置き換えることはできません。ほかの人にこの曲を聴いてもらうときには別の、より新しい盤にすると思います。バルビローリもいいですね。



yositaka

2020/02/05 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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