「ギャラリー香津原」あらため「談話室 香津原」として蓄音機サロンの会場がリニューアル・オープン。1月11日(土)本年最初のサロンが開催されました。
オープンした談話室は浮世絵版画専門店・香津原の事務所を兼ねたスペースで、昨年までのギャラリーに比べ幾分こじんまりとしています。
勝原オーナーは定員20名くらいを想定していたようですが、「こけら落とし」の予約は32名の盛況で、スタッフは椅子の用意に奔走されたとのこと。名蓄音機EMG markⅨも十分に鳴らせる環境で、まずは再出発を喜びたいと思います。
さてサロンの内容をご紹介。スタートは意表をついてLPで、B&Wシステムで再生するトミー・フラナガン・トリオ「オーバーシーズ」から「エクリプソ」。
勝原オーナー、19歳で初めて購入した記念すべきジャズLPです。エルヴィン・ジョーンズのブラッシュワークを語るオーナーの口調が熱い。
続いては、当サロン常連のタンゴアカデミー会長YOさんのご案内でミゲル・カロー、アニバル・トロイロ、アルフレッド・ゴビのアルバムから。
3人ともネコパパは初めて聴いたのですが、バンドネオン、ピアノ、ヴァイオリンの唖然とするようなソロが際立つ演奏で、モダンジャズの感覚に近く、勝原オーナーの紹介する古典タンゴとは別の味わいがあって素敵でした。
前半の締めは、井上マスターのご案内でマイルス・デイビス。名盤「カインド・オブ・ブルー」のLPから「ソー・ホワット」を聴き、つづいて、直後に収録された貴重なTV映像が紹介されます。
曲は同じ「ソー・ホワット」。
演奏の素晴らしさもさる事ながら、メンバーがタバコをふかしてリラックスしながら演奏する姿からも、1959年当時のニューヨーク、モダンジャズ界の空気が伝わって来ます。
20分の休憩をはさんで後半は、勝原オーナーの名著「ジャズ喫茶グッドマン」の、落書きをめぐる話題から。当時、同店のマスターを勤めたMさんが、落書きの真意や書いたお客の悲劇的な運命を語る一こまも。本には書かれていない貴重な証言でした。
いよいよEMGの出番となり、まず勝原オーナーが往年の作曲家、原六朗の名歌三曲を紹介します。
東京の門 越路吹雪
お祭りマンボ 美空ひばり
巴里の夜 二葉百合子
どれも歌謡曲の枠を超えた作品で特に「巴里の夜」は「歌謡」の「謡」を取ってもおかしくない名曲と思いますが、今回は若い美空ひばりの超絶的な歌い回しが聴ける2曲目に痺れました。
そしてこの日のトリは、井上マスターご紹介のエラ・フィッツジェラルドです。
Lullaby of Birdland
Can't Help Lovin' Dat Man
How High The Moon
いやあ、素晴らしい歌声が、最高の音質で再現されました。
これこそEMGでなくては聴けない歌です。そして、新生蓄音機サロンの再出発を祝福するような歌にも思えました。
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コメント
sige
2020/01/14 URL 編集返信人を集めるというのは大変なことで、思ったようには集まらなかったり、またキャパを大きく超えることもあります。今回は後者でしたが、却って盛り上がり、上々の再出発になりましたね。あとの夕食会も9人と、いつも以上の参加がありました。ぜひ好調に継続できるよう応援したいと思います。
それにしてもエラの歌は凄かった!
yositaka
2020/01/14 URL 編集返信YOさんのタンゴ解説の名調子や、I氏提供の美空ひばり「お祭りマンボ」、井上マスターの「エラ・フィッツジェラルド」等を私が惚れたEMGで聴くとよかったでしょうね。
前夜祭で勝原オーナーが、「収容人数を増やすためどうすればいいのか」とおっしゃっていましたので、オーナーのポリシーに反して「ソファーを出したら」と言ってしまいましたが・・・。
チャラン
2020/01/14 URL 編集返信京都の名曲喫茶柳月堂みたいですね。すべてソファで、コーヒー一杯千円です。ただし、スペースは広大。談話室では難しいですね。
でも、オーナーの調達した椅子はアンティーク品で雰囲気はとてもよくなりました。次回はぜひご参加ください。EMGの音量も適切に響きます。
yositaka
2020/01/15 URL 編集返信