聴き比べは楽し③

2019/ 11/ 13
                 
SAさんはクラシックCD愛好家なのですが、
ネコパパたちの嗜好に影響されたのか、いまのところは自宅では聴けないLPを購入されたりして…ヤバい兆候が感じられます。
そのなかから聴いた、パブロ・カザルス指揮マールボロ音楽祭管弦楽団、ハイドン交響曲第95番ハ短調第3楽章(1967年7月8日)。チェロの長いソロを伴った魅力作でした。チェロはおそらく主席のヘルマン・ブッシュと思われます。彼は往年の名ヴァイオリニスト、アドルフ・ブッシュの弟で、ブッシュ四重奏団のチェリストでした。
一方「聴き比べ」のネタも…
ブルーノ・ワルターがピアノ連弾用に編曲したマーラーの交響曲第2番「復活」です。

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第1楽章のはじめを聴いたのですが、あの衝撃的な出だしがピアノだとごく自然なのですね。マーラーがピアノで作曲していたことがよくわかる。と同時に、どこまでがワルターの編曲のせいかわからないのですが、柔らかめのフォルティッシモと優美な第2テーマとの対比をあまり強調しない、ワルター自身の指揮する演奏と共通するものが感じられます。
この日に聴き比べたのは、比較的新しいマリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団(2011)のCDでしたが、こちらも流行の「鮮烈」スタイルとは違う、ワルターにやや近い響きをもっていました。好演です。

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つぎにSU君の比較ネタ。
「バイロイト第九」と一緒に購入して、すっかり心酔してしまったという「アシュケナージ・モーツァルト・リサイタル」(1967年)…ピアノ・ソナタ第8番、第17番、ロンドイ短調。この中から「ロンド」を

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宮沢明子の録音と聞き比べました。例の「赤箱」ピアノ・ソナタ全集には含まれていない「モーツァルト・アンコール」というアルバムで、これも菅野沖彦録音です。

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演奏も録音も、対照的ですね。
アシュケナージはオンマイクで、打鍵は艶やか。磨かれた陶磁器のような玲瓏たる音楽が聞こえてきます。一方宮沢は音の彫琢よりも感情表現を優先し、荒ぶる魂を感じさせます。録音もややマイクを離し、全体の響きを伝えようとする。どちらも捨てがたい。
共通なのは、ふたりのピアニストが30歳頃に成し遂げた、唯一の録音であること。亡くなった宮沢はともかく、膨大な録音があるアシュケナージにも、モーツァルトのソナタ録音はこれしかないのです。

ところで、筋金入りのジャズ盤愛好家のbassclef君、今回はヴォーン・ウィリアムズの交響曲第3番「田園交響曲」をメールでリクエストしてくれました。
当日持参の盤の中にも、ディーリアスや、ヴィラ・ロボスがあったり、いよいよクラシック愛好も板についてきた感があります。
そのなかから、「田園交響曲」。
エイドリアン・ボールト指揮ロンドンフィルの1953年盤は、もしかしてこの曲の初録音だったかも。のどかさよりも、静謐さが漂う作品です。

 (3)

それから、メキシコの作曲家エイトル・ヴィラ=ロボス「ブラジル風バッハBachianas Brasileiras」第5番と第2番。ポール・カポロンゴ指揮パリ管弦楽団(1973)。

 (2)

チェロを愛した作曲家で、この曲集もチェロ合奏を中心としたものが多い。独特の「気温の高い叙情」が漂う逸品。ソプラノ独唱と8つのチェロのための「第5番」が有名ですが、bassclef君はオーケストラ編成の「第2番」がお好みのようです。
クラシックファンも、こういう音楽は結構聴きのがしがちなんですよ。bassclef君、慧眼ですね。
sige君、陶然として「鳥肌ものだ!」と呻いていました。

みなさん、またやりましょう。

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コメント

聞き比べ 何度やっても飽きない楽しみ
何度やっても飽きない楽しみですね。最後の一時間は、なんだかベーシストの聞き比べの感もあり、楽しめました。カザルス、マールボーロは何度かネコパパ氏の部屋で聞きましたが、これは初めて。しかもなんだかじっくりと落ち着いて語る三楽章。力み倒すモーツァルトも楽しんで聞けましたが、包まれる感じが非常によかったです。極めつけはエイトルビラロボスのブラジル風バッハ。初めて聞きました。にもかかわらず、ソプラノの歌が静かに語られると自然に目が潤み、涙が止まりませんでしたね。なんでしょう。今まで聞いたことのない質感。まだ整理できていません。また集まりましょう。今度は何が持ち寄られのか楽しみです。
画期的な一枚
Sige君
カザルスのハイドン聴いてないって?とんでもない。間違いなくうちで聴いていて、チェロのソロのところなんか大げさに感激していたじゃないですか。昔のことは覚えていても、ここ10年くらいだと怪しくなる。人のことは言えない。

ヴィラ・ロボスの「ブラジル風バッハ」も、これが初耳とは思えませんがね。
確かにうちでは聴いていないけれども。
この人、1000曲も作曲しているメキシコの大作曲家で、あらゆる楽器が弾けると言われた才人。
「ブラジル風バッハ」は1930~1945年の曲で、クラシックとしては近年の作ですね。このカポロンゴのレコードはメジャーレーベルから出た初めての録音で、ロボスの名を世界に知らしめた画期的な一枚でした。
ヴィラ・ロボスの「ブラジル風バッハ」・・・あの印象的なジャケットのレコードを、SAさんもyositaka君も持っているとのこと、そしてそしてsigeさんの印象に強く残ったらしいこと・・・嬉しかったですね。
ヴィラ・ロボス・・・なんというかまったく独自な肌合いの作曲家ですね。<1930~1945年の曲で、クラシックとしては近年>ということで、やっぱり新しい響きを持った、広い意味での現代音楽・・・的なカテゴリーに入るのかな、とも思いますが、そんな音楽史的な観点とは、まったく関係なく、その音を聴けば、たちまちその音世界に引き込まれてしまう・・・という感じです。まあそれは、このロボスの曲調・響き方が僕の好みだった・・・というだけのことでしょうけど。女性ソプラノ入りの5番も、、「ちょっと音域の高めの楽器が奏でるバッハ風メロディ」とも聴けて、「歌入り」の苦手な自分にしては、それほど違和感なく聴けるのです。ちょっと未来SFもの映画のBGMみたいにも聞えますが(笑)
「古い様式」と「未来志向の楽想」
ヴィラ・ロボスの曲はそれほど聞いていません。
けれど、どれも親しみやすいエキゾチックな南国の雰囲気が漂って魅力があります。楽器編成が1曲1曲違うのも面白い。

今、この盤には入っていない「第1番」を聴いているところです。3つのチェロだけの合奏。バッハの前奏曲とフーガと同じような、ポリフォニックな構成といい、手が込んでいます。
また、哀愁を秘めたセレナードのような「第4番」は、ピアノ・ソロと弦楽合奏の二通りのヴァージョンかあって、どちらもいい。なんだか、聴き始めたらやめられません。たしかにこれは「古い様式」と「未来志向の楽想」がコラボしたSF的な音楽かもしれません。
アシュケナージのモーツァルトは愛聴していました
と、言ってもLPは高価だったのでFM放送をエアチェックしたものを何回も聴きました。
K310のイ短調のソナタは癖のようなものを感じるのですがK511のロンドとK576のソナタは今でも気に入っています(^^
ただ手元にあるCDに使われている写真が当時のLPとは違ったもので、以前からオリジナルなものが欲しいと思っていてネットで検索しても見つかりませんでした。
ところがこの記事で見つけることができました\(^o^)/
勝手ながら使わせていただきます(__)
記事の趣旨とは外れたコメント、申し訳ありません<(_ _)>
豪華な仕様に込められた期待感
パスピエさん
「思い出のジャケット」というものがあって、それから取り出した盤でないと当時の雰囲気が蘇らない。これもそうなんですね。
データ時代では全くの昔話ですけれど。
私の加増しているのも、SU君が持参されたのも、同じこのジャケットです。

SLC1861という国内盤で、油彩のポートレート、金箔押し、見開き、コーティングと、格別に豪華な仕様です。刻印を見ると、イギリス原盤の1W、ケネス・ウィルキンソン作成の第1スタンパーのようです。
ということは、これは日本先行発売の、本当の意味でのオリジナル盤かもしれません。当時のキングはアシュケナージに大きな期待をかけていたということでしょう。

こういう場合、本国ジャケットは間に合わず、国内でデザインされるケースが多くありました。このレコードの英国盤は絵画をあしらったごく普通のジャケットだったような気がします。