聴き比べは楽し①

2019/ 11/ 11
                 
11月10日、ネコパパ庵に性懲りも無く集まった仲間7人で聴き会。
2階の家電オーディオⅡが備えられた八畳間は、さすがに満員です。それでも、口角泡を飛ばしながら持ち寄ったレコードを聴き、論じ合うのは愉しさの限りです。

さて、今回は何かと「聴き比べ」の多い一日になりました。
名古屋の某中古店で買い求めたLPが素晴らしくて、仕舞いこんだレコードプレーヤーを復活させたというSU君。でも、思ったような音が出ない…

それで、レコードプレーヤーにモノラルカートリッジ「AT-MONO3 LP」を装着して聞いてみると…これがかなりしっかりとした音で鳴って、SU君、呆然。
レコードはこれ。
フルトヴェングラーの「バイロイト第九」です。音質の優れたものと言われる国内エンジェル初期盤HA1012/13(赤盤)でした。

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これを試しに最新リマスタリングのCDと聴き比べてみると…

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CDはノイズカットの効いた、スッキリと細身の音で、聴いた印象はまるで違います。SU君、すぐさまスマホでモノラルカートリッジの検索…レコード再生の罠にハマっていきそうな気配です。
演奏面ではフィナーレ最後の驚くべき加速に注目。バイロイト盤は「だんだん加速」していき最後で破綻するようにも聞こえますが、同じ部分を1954年、最晩年のフィルハーモニアとの演奏(ルツェルン盤)で聴き比べてみると

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こちらはオーケストラが優秀なせいか、「だんだん加速」ではなく「一気呵成」の締めくくりになっています。ことによるとバイロイトでは指揮者の棒に即応できずにああなってしまったのかもしれない。それが効果を発揮しているとするなら「怪我の功名」とも言えそうです。

で、次はクラシックとジャズの聴き比べ。Emoくんのリクエストでまずチャイコフスキーの「悲愴」第4楽章を定評あるマルティノン/ウィーン・フィル盤(1958)で聞いて、

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続いてソニー・ロリンズのピリオド盤「ソニー・ロリンズ・プレイズ」(1957)から「悲愴のテーマ」。ロリンズはときどきクラシック曲を取り上げたりするのです。こちらは第1楽章の第2主題。完全にモノにしていて、違和感が無い。

 (2)

これに収録された「ソニー・ムーン・フォー・トゥー」は同年のブルーノート盤「ヴィレッジ・ヴァンガードの夜」(1957)に収められているので、それも合わせて聴いてみることに。

ダウンロード

名盤と言われるだけあって、こちらは圧倒的な印象。でもピリオド盤にも、室内楽的なアンサンプルの楽しみもあって捨てがたい。ピリオドはクラシックレーベル(ヤーノシュ・シュタルケルのコダーイ無伴奏チェロ・ソナタで有名)なので、音の傾向の違いもはっきり感じられる。どちらも大変な名演奏、かつ高音質録音であることが改めてわかりました。

マイルスの二つの「ラウンド・ミッドナイト」の聴き比べもやってみました。
まずはネコパパ愛蔵の、スペイン製重量復刻LP「マイルス・デイビス・プレイズ・バラード」(コンピ盤)に含まれている、プレスティジ録音。「モダン・ジャズ・ジャイアンツ」に含まれているものです。

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続いて有名なコロムビア録音。SU君持参盤は米盤で、擬似ステレオ表示がありましたが、聴いてみると違和感のない好音質でした。

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これについては、本日sigeくんからメールを頂いたので掲載します。

「ラウンドミッドナイト」録音年月日について、手持ちの「ジャズ批評57コルトレーン全セッション」によれば、但し昭和62年3月刊ですが、CBSは1956.9月10日、Prestigeは56.10月26日でした。「演奏ルーティンはまったく同じだが、スタジオの雰囲気の違いから聴いた印象は多少異なる。例のトレーンが飛び出てくる部分のテンポが多少速く、CBS盤ほどの緊張感はないかわりに、全員に余裕がうかがえる。(大村)」と書かれている。中学生3年の時、ジャズを指南してくれた栗林君とプレスティジ盤について語り合った時、コルトレーンが前に出て生き生きしてるなと言い合ったことが思い出です。

名盤とされているのはコロムビアの方ですが、1ヶ月後のプレスティジ盤は肩の力の抜けた余裕が感じられ、一層自由な感じに仕上がっていると思いました。

ここで一息。
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コメント

yositakaくん、長時間の聴き会、お疲れさまでした。それにしても、全く・・・懲りない我々ですなあ(笑)
今回はSu君の持ち込んだフルトヴェングラー2枚組(東芝)で,会の流れが決まってしまいましたねえ。Su君はジャズでもコルトレーン命みたいなハードでゴリゴリくるジャズを好きで、それでクラシック興味はやはり・・・重くて熱いパッション溢れるフルトヴェングラーのベートーヴェンに感じ入った・・・とのこと。この2枚組は、偶然に見つけた名古屋のタバコ屋&レコード店で入手したとのこと。yositaka君も僕もそのレコード店を知っていて何度か話題にしたこともあったので、この日のレコード聴きは・・・それはもう、Su君の情熱ゲットしたこの東芝・赤盤2枚組から始めるしかなかったのです(笑)
それにしても、あのフルトヴェングラーの1951年録音の第9・・・エンディング部分の指揮者・楽団の、なんというか・・・エネルギーを合致させて盛り上がっていく様というのは・・・ちょっと怖いくらいですね。僕はよく皆さんにも言い訳のように言ってるのですが、ティンパニのあの、雷のように割れたような硬い響きが苦手なので、このエンディング部分辺りで、盛大に強く鳴らされるティンパニの音に、ちょいと腰が引けちゃうのですが、あれは・・・フルトヴェングラー氏が、他の指揮者よりも「もっともっと強く~!」とか指示してる・・・ようなことはあるのでしょうか?
bassclef君
いつも長文のコメントをありがとう!
懲りないです。同感。それにしてもみんな徐々にクラシックにも傾斜していくのは愉快です。
Su君、いきなりクラシックファンの肝であるバイロイト盤にいくとは、やはり天の采配というものはあるんですね。中古店Aは、奥様が店をついで随分になり、仕入れもないと思うのですが、今になってよくこんなものが出てきますね。噂に聞くHA1012/13ネコパパも初めて見ました。しかもオートチェンジャー式の赤盤でほぼ未通針です。

最後の無謀と言える加速はフルトヴェングラーのトレードマークみたいなものですが、あれはほかのどの録音とも違うと思えます。
謎が多い録音で、リハーサル時のトラブル状態のものを、死人に口なしでプロデューサーのレッグがあえて選択したとも言われる。ま、その種の伝説を語ればキリがないのはジャズの逸話にそっくりです。
ティンパニが盛大なのは
つづき。
ティンパニが盛大なのは、この当時ウィーンで流行ったトルコ軍楽隊の響きをベートーヴェンが意識的に使用しているからで、明らかに大衆を鼓舞しようという意識があったと思われます。

こうしたティンパニの強打はフルトヴェングラーの得意技で、明らかに指示してますね。他の録音でも同じように強調しています。
彼もまた、トルコ風の響きを効果的に活かそうとしたのかもしれません。
ただ、譜面にないところにもどんどんティンパニを入れるのはトスカニーニの方が多かった。
クレンペラーのようにいつも抑制する人もいて、いろいろです。指示は口で言うより、あらかじめパート譜に記入してあったり、慣れたオーケストラなら「いつもみたいに」と身振りや目配せて意思疎通している気がします。
レコード/タバコ店の「フルトヴェングラー」
フルトヴェングラーの「バイロイト第九」国内エンジェルHA1012/13(赤盤)は、家内と行くと淹れたてのコヒーを飲ましていただけるレコード/タバコ店で購入されたのですか?
亡くなられたご主人は、フルトヴェングラーが大好きで集められたのを整理されたのですね。
たしか、英文の解説書・解説17cm盤2枚やパンフレットもあったような気がしています。
私は、bassclefさんには悪いけど「フルトヴェングラー」はティンパニの響き・使い方で演奏・録音の判断をしています。演奏に関係ないけど足音・拍手はどうでした。
なるほど・・・ティンパニの使い方にもいろいろあるようですね。譜面に指示ない箇所にも入れてしまう、というトスカニーニ氏にもちょっと興味が湧いてきました(笑)考えてみれば、ジャズではドラマーは、基本的なリズム(例えばswing=4ビート)の「乗り」さえ守っていれば、バスドラム(最も径が大きくて音の低い、そうですね・・・大太鼓みたいな役割の)は、いつどこに鳴らしても奏者の自由な訳ですから(それどころか、スネア(小太鼓みたいなもの)シンバル類も、全て出し入れ(音の発し方)自由なんです。きちんと効果を考えて、ティンパニや大太鼓を、ここぞ!という場面だけに入れるクラシックから見たら・・・ジャズというのは、やっぱり喧(やかま)しい音楽なんでしょうね。
チャランさん、どうもです。
ティンパニの件~まったく「悪いけど」なんてことはありませんよ(笑)チャランさんは、ティンパニ音量が強大でもそれが好み・・・ということかもしれませんね。
で・・・チャランさんのこのコメントで「はっ!」と気づいたのは・・・それは録音の具合、という観点です。そういえば、この東芝2LP赤盤は1951年録音では、エンディング部分で、かなり強大に鳴り響き、それは、録音音響的には、入力オーバー気味、かぶりまくり、こもりまくり・・・という印象だったのですが、続けて聴き比べた1954年録音では、ティンパニ音響はそれほど強すぎず、僕にはその点1954年録音の方が聴きやすく感じました。
まあですので、僕は前コメントで<ティンパニの強大音量=フルトヴェんグラーの音楽的指示か?>のように書きましたが、それだけでなく、音楽の印象というものは、録音の具合(どの楽器の場合でも)によって左右されるものなのだ、ということを再確認したわけです。

ややこしい
チャランさん
指揮者にも好みがあれば、聴き手にもありますよね。それに、録音が悪いとティンパニの轟音が音楽をマスクすることもあって、難儀だと思います。
レコードはオートチェンジャー方式ですが、マトリクス・スタンパー番号はネコパパ所蔵の全集盤AB9117/18と同一。
音も同じと思いますが、なぜか入退場の拍手なしです。
この盤に詳しいsolarisu.sakuraさんのホームページによると、
http://solarisu.sakura.ne.jp/WF/WF-Koment/Bayreuth9-Lebel/Bayreuth9-LP-JP.html
同じ番号の赤盤でも拍手のあるのとないのがあったそうです。ややこしい!
録音できく困難
bassclef君
1954年のフィルハーモニア盤は確かに音質は随分良好になっています。
ルツェルンの会場の響きが良かったのかもしれませんし、3年間の機材の進歩も大きかったのでしょう。
要は聴きやすく、バランスを崩さない録音だったら快適に聞けるということですね。

残念なのは、どちらもフルトヴェングラーの死後の発売で、指揮者自身のチェックを経ていないことです。まあ、もし生きていたら、どちらも発売を許さなかったでしょうね。彼はライヴ録音の発売には批判的でしたから。