リュートは撥弦楽器の一種で、主に中世からバロック期(16世紀後半から17世紀初頭)にかけてヨーロッパで用いられた古楽器群の総称で、
ビウエラ はルネサンス期、15世紀初めから16世紀半ばのイベリア半島、イタリアの一部と中南米で用いられたギターの祖先ともいえる弦楽器とのことです。
一方ギターはスペイン起源の楽器で、ヨーロッパ中世後期の楽器であるguitarra latina(=くびれた胴と4本の弦をそなえた楽器)をもとにして、16世紀初期に派生したものだそうです。
いずれも並行して用いられていたようで、ウィキなどの情報から類推すると、リュートが最も古く、リュートとビウエラは時期は重なるが地域が異なっている。そしてギターはビウエラが普及していたスペインを起源にしているようです。
チャランさんから、レナータ・タラーゴのビウエラ演奏を収録したLP「ビウエラとギター」(独Archiv)をお借りしたので、
その中の一曲、ルイス・ミランの「パヴァーヌ」を、アンドレス・セゴビアが現代ギターで弾いているパブリックドメイン音源と比較してみました。
すると…なーるほど。音の違いがはっきりと聴き取れますね。
リュートとギターの比較には、うってつけの録音がありました。バッハのリュート作品全集。ナルシソ・イエペスがリュート、ギターそれぞれのヴァージョンで全曲録音していたのです。
リュート版は、Archiv。これは国内盤CDの一枚ものを架蔵していました。
ギター版はDG盤です。こちらはLP。録音時期はリュート版が1972~73年、ギター版が1973年とあるので、並行してすすめていた企画のようです。
選んだのは「リュート組曲 ハ短調 BWV 997」から「フーガ」。楽器による音の違いは、これも明瞭に分かります。これだけで、随分時間を取ってしまった。
ギター特集ですから、近代ギターの名曲、タレガ、ソル、アルベニスの曲は一通り並べないと…と思ってあれこれ聞いていると、セゴビア、イエペス、ぺぺ・ロメロ、ジョン・ウィリアムズ、同じ曲でも、当然のことながら随分演奏スタイルが違うことに気づきました。タレガの「アルハンブラの思い出」など、演奏時間だけとっても、セゴビアとイエペスでは倍も違います。限られた時間で収まるように選曲するとなると、どれを取るか。迷いますねえ。
そんなこんなで迷いつつ選んでいるうちに、ギター・ソロだけでは変化がないな、と思い始めました。
後半はオーケストラ付きの「アランフェス協奏曲」全曲映像版を持ってくるからいいとして、前半も何かひとつくらいは、ソロでないものを入れて変化をつけたい。そこで思い出したのが、オーディオデモの会場に行くと必ず出てくる、あのCDです。ギル・シャハムとイエラン・セルシェルがパガニーニのヴァイオリンとギターのデュオ曲を演奏した「パガニーニ・フォー・トゥー」でした。
自宅ではあまり聴かないアルパムですが(ネコパパはパガニーニが苦手)、一度聴き出すと、これがまた、楽しいのです。ギターは、まあ伴奏ですが、ヴァイオリンソロの華麗さは耳のご馳走ですね。デモに取り上げられるだけあって録音も素晴らしい。これから1曲だけ選ぶなんて、難しいなあ。
チャランさんの「フラメンコ、どう?」という一言も気にかかります。でも、未知の分野にあまり手を広げるのは、と思い、レコードは借りてきませんでしたが、そういえば家にも、こんなのがあったな。
クラシック演奏でも大家のペペ・ロメロ氏は、フラメンコギターの名手でもあったんですね。マーキュリーのボックスセットに含まれていた一枚で、1962年録音。実は聴くのは初めてだったのですが、これまた聞いていて血が騒ぐくらいの情熱的な快演でした。
こんなことをしているうちに、あっという間に二日、三日と過ぎてしまいます。ブログの更新も忘れている。
「ネコパパ、このごろ頭がギターになってるよ」とうとう、アヤママに言われてしまいました。
Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。
コメント
ギターですか。
私はかつてはロック少年で(クラシックのギターなんてチマチマしていて聴けないな)と感じていて殆ど接してきませんでした。
今はオジサンとなり、(ホォ、クラシックギターも良いな)と思うようになりました。
パガニーニのギター曲は旋律が奇麗で良いなぁと思っています。
不二家憩希
2019/10/29 URL 編集返信「絵本の力」シリーズですね。今夜は「ちびっこカムのぼうけん」の神沢利子さんのインタビュー。ご教示ありがとうございます。
不二家憩希さんはロック少年でしたか。なんとなくそんなイメージではないかと思っていました。
60年代後半というのは誰もがギターを持った時代で、仲間のほとんどが、上手下手はともかく、弾いていた気がします。私はまったく触りませんでしたが…
いわゆる大作曲家の作品もあまりなく、クラシック音楽の楽器としては今一つ地味な感じがしていました。でも、あらためて聴いてみるとなかなかいいんですね。
yositaka
2019/10/29 URL 編集返信押尾コータローのCDでした(笑)
村治佳織のCDが見つからないので、
(↑図書館に寄贈したかも)
これからネットで聴くわ。
ギターって伴奏とメロディが出来る上に、
お喋りも可能なので、
私のような下手な笛吹きには、
とても羨ましく映る楽器です^^)
ユキ
2019/10/30 URL 編集返信押尾コータローさんはジャズギタリストなのかな?村治佳織さんは「アランフェス協奏曲」のDVDで登場していただく予定です。
ベルリオーズは「ギターは小さなオーケストラだ」と言っていますね。彼はピアノがあまり弾けず、ギターを使って作曲していたそうです。一度にたくさんの音が出せるところがいいのでしょう。
ユキさんは笛吹でいらしたんですね。笛を吹きながら「ハーメルンの笛吹き」の読み聞かせをされるのかも。
yositaka
2019/10/30 URL 編集返信メキシコ民族音楽の「マリアッチ」LPは・・・皆さんに引かれるので掛けませんでした。
チャラン
2019/10/30 URL 編集返信「叩く」「はじく」は「吹き込む」「こする」よりも楽器として原初的ですからね。クラシックのカテゴリーに収まる曲に絞るのが今回は賢明と思います。
ペペ・ロメロはクラシック曲を演奏しても、フラメンコ奏者のノリを存分に生かしているのが魅力的です。
そこも含めて聴いていただきましょう。
yositaka
2019/10/30 URL 編集返信ご無沙汰してます。
ギター良いですね。
ぺぺのCDは私も有りました。
ポルトガルギター(第三の男で有名)もなかなか良いですよ。
ではでは
yさんです
2019/11/09 URL 編集返信お久しぶりです。ギターはあまり詳しくないので、今回はたっぷり勉強させていただきました。
ペペ・ロメロ、素晴らしいギタリストです。
ポルトガルギターは、ファドの伴奏で使われ、アマリア・ロドリゲスの伴奏ではすごい演奏効果を発揮しています。
「第3の男」のテーマに使われているのは、残念ながらそれではなく、オーストリアの民族楽器「チター」です。映画の最初の部分に楽器が出てきます。弦の数がすごく多くて、これも弾きこなすのが大変な楽器でしょうね。
yositaka
2019/11/09 URL 編集返信