音楽を楽しむ会・食べ物と音楽

2019/ 10/ 20
                 
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2019年10月12日実施予定だった回が、台風19号接近のため中止となり、10月20日に実施されました。延期の連絡手段が少ないため、連絡が届かなかった方や、急な変更で都合のつかなかった方もおられたようです。申し訳ありませんでした。

当日のプレゼン原稿を掲載します。

おはようございます。今回は食枠の秋にちなんで、食べ物と音楽です。
ぜひ耳でおいしく味わって頂ければと思います。
では早速、この曲からどうぞ。

今月のテーマ 食べ物と音楽

1.本日のテーマ曲
①おなかのへるうた   阪田寛夫作詞 大中恩作曲
②アイスクリームのうた 佐藤義美作詞 服部公一作曲
歌 水谷玲子



どちらも1960年の曲で、『NHKみんなのうた』で1962年に放送されました。
お聴きいただいたのは、テレビ番組「おかあさんといっしょ」で四代目「うたのおねえさん」を演じた水谷玲子の歌で、1970年に日本コロムビアが発売したもの。
日本を代表する詩人・作曲家が「子どもの歌」を続々と生み出していた時代の傑作です。
日本で最初にカップアイスを発売したのは雪印で1953年、棒アイスは協同乳業か1955年、「当たり付き」は1960年の発売だそうです。アイスクリームが子どものおやつとして普及し始めた時代の歌でもありました。
なお「アイスクリームのうた」冒頭は、バッハの「無伴奏チェロ組曲第3番「ブーレ」の旋律の引用といわれています。言われてみると、確かに似ていますね。

2.アンダーソン クラリネット・キャンディ 
エンマ・ジョンソン(クラリネット)ジュリアン・レイノルズ指揮ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 2004年録音



アメリカの作曲家ルロイ・アンダーソンの「ライト・クラシック」の一曲で、1962年の作品。
ころころと転がるようなクラリネットの音が口の中のキャンディを感じさせます。

3.チャイコフスキー バレエ組曲「くるみ割り人形」より
①チョコレート~ロシアの踊り
②コーヒー~アラビアの踊り
③お茶~中国の踊り
④ヴァリアシオン~こんぺいとうの踊り
エルネスト・アンセルメ指揮 スイス・ロマンド管弦楽団 1959年録音

1892年作曲、チャイコフスキーの「三大バレエ音楽」の最後を飾る作品です。この4曲は第2幕の音楽で、
お菓子の国の魔法の城に到着したくるみ割り人形の王子は、女王「こんぺい糖の精」にクララを紹介し、お菓子の精たちによる歓迎の宴が繰り広げられる…という場面です。

エルネスト・アンセルメはスイスの指揮者で、ロシア・フランスの音楽を得意とし「バレエ音楽の神様」とも呼ばれた人でした。
すっきりと抜けた透明なサウンドの中に理知と情熱を溶け込ませた芸風が見事です。

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4.バッハ コーヒー・カンタータBWV 211より「娘のアリア」
バーバラ・ボニー(ソプラノ) グスタフ・レオンハルト指揮 エイジ・オブ・インライトゥンメント管弦楽団 1994年録音

皆川達夫さん(1927年生まれ、92歳)は、日本の音楽学者・合唱指揮者。中世・ルネサンス音楽の研究で知られています。
1949年9月11日に第1回が放送され、今年70周年というNHKラジオの長寿番組「音楽の泉」の解説を、30年以上務めておられます。
今日ご紹介するのは今年6月に放送された番組の一部です。
92歳とは思えない、軽妙な語り口とともにコーヒー・カンタータをお楽しみください。

5.サティ 「童話音楽の献立表(メニュー)」
①いんげん豆の王様の戦争の歌
②チューリップの可愛い王女のいうこと
③アーモンド入りチョコレートのワルツ
高橋アキ(ピアノ)立松和平(朗読)1986年録音



1913年作曲。エリック・サティは1866年生まれのフランスの作曲家で、音楽界の異端児、音楽界の変わり者などと称されています。
13歳の時にパリ音楽院に入学しますが、アカデミックな音楽に馴染めず、7年後に退学し、シャンソン酒場のピアノ弾きとして生計を立てるようになります。38歳で作曲を学び、革新的な作風で、現代音楽の先駆けといわれています。
詩人ジャン・コクトーや画家ピカソら、パリの芸術家たちと親しく交流し、芸術に幅広く関わる人生を送りました。
タイトルにも工夫を凝らした面白さがあり、本作には自作の詩が添えられています。
今回は当館所蔵の、立松和平の朗読付きのCDでお楽しみください。

6.スカボロー・フェア(イングランド民謡)
長谷川陽子(チェロ)ブルース・スターク(編曲, ピアノ)クリストファー・ハーデ
ィ(パーカッション)1998年録音

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Are you going to Scarborough Fair?
Parsley, sage, rosemary and thyme…
スカーバラ・フェアへ行くのなら
(パセリ、セージ、ローズマリーとタイム)
かの地に住む人に伝えて欲しい
昔、心から愛した人に

私のために、亜麻布のシャツを作っておくれと
(パセリ、セージ、ローズマリーとタイム)
縫い目もなく、針も使わず
それができれば、彼女は私の真実の恋人になる

『スカボロー・フェア』は、16世紀の民謡。歌詞は様々で、意味をなさない「わらべうた」なのですが、こんなふうにも解釈されています。
「死んで悪霊となった男が、旅人に昔の恋人への伝言を伝える。無理難題を持ちかける言葉のやりとりに、三つのハーブの名前が重ねられる」
ハーブには魔よけの意味があるそうです。「くわばら、くわばら」って感じでしょうか。
この曲を一躍有名にしたのは、アメリカのフォーク・デュオ、サイモンとガーファンクルでした。
彼らはこの歌に、さらに人権問題や反戦のメッセージをオーパラップさせ、現代の無理難題のありかを聞き手に「伝言」しようとしたとも考えられます。
ネコパパの大好きなチェリストである長谷川陽子は、この歌をテーマに、12分間もの壮絶なソロを展開し、アルバム「ノルウェーの森」に収めています。今日は、その一部をお聴きいただきましょう。

7.ヨハン・シュトラウス二世 ワルツ「ウィーンのボンボン」
ウィリー・ボスコフスキー指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団1958年録音



ヨハン・シュトラウス2世が作曲したワルツ。1866年1月、ホーフブルク宮殿内の舞踏会場で初演されました。
タイトルの「ボンボン」とは、甘味のフランスの砂糖菓子のこと。ウィーン・スタイルとフランス趣味をミックスした趣向で、独仏両国の友好を称えようとする意図でつくられた作品です。
パリ在住オーストリア駐在大使夫人、パウリーネ・メッテルニヒに献呈されました。彼女は社交界の花形で、芸術界の大パトロン、舞踏会が成功すれば多大の寄付が見込めるとの思惑が…甘党だったのでしょう。

■蓄音機コーナー■
♪ ヨハン・シュトラウス二世 ワルツ「酒・女・歌」
アーサー・フィードラー指揮 ボストン・ポップス・オーケストラ 1938年録音
♪ ヴェルディ 歌劇「椿姫」~ヴィオレッタのアリア
エイデ・ノレナ(ソプラノ)ピエロ・コッポラ指揮管弦楽団1932年9月29日録音



8.ヴェルディ 歌劇「椿姫」~第1幕「乾杯の歌」

テレサ・ストラタス(ソプラノ)プラシド・ドミンゴ(テノール)ジェイムズ・レヴァイン指揮メトロポリタン歌劇場合唱団・管弦楽団 1982年制作



『椿姫』(つばきひめ)は、ジュゼッペ・ヴェルディが1853年に発表したオペラ。最も人気のあるイタリア・オペラでしょう。
舞台は高級娼婦ヴィオレッタの住む屋敷。賑やかなパーティーが開かれており、ヴィオレッタは病をおして来客のおもてなし。そこへ青年アルフレードがやってきて、彼女に紹介される。得意な歌を1曲歌うよう勧められた彼は、いったんは辞退しますが、一同の強い勧めでグラスを片手に情熱を込めて「乾杯の歌」を歌います。そこにヴィオレッタが加わり、さらに全員が皆が加わって華やかに歌い上げます。

9.モーツァルト 歌劇「ドン・ジョヴァンニ」~第2幕フィナーレ
ルジェーロ・ライモンディ、ジョセ・ヴァン・ダム(バリトン)キリ・テ・カナワ(ソプラノ)ロリン・マゼール指揮パリ・オペラ座管弦楽団 1979年制作



『ドン・ジョヴァンニ』K.527は、1787年に作曲されたモーツァルトの代表的なオペラ・ブッファです。

真夜中の2時、墓場でレポレッロと落ち合った放蕩の騎士ドン・ジョヴァンニに、彼に殺害された騎士長の石像が突如口を利く。ジョヴァンニは戯れに石像を晩餐に招待すると言い出し、石像はそれを承諾します。
ジョヴァンニの屋敷では晩餐のしたくが整い、楽士が流行の音楽を次々に演奏していきます。イ・ソレルの『椿事』やジュゼッペ・サルティの『鳶に油揚』といった、プラハで流行していたオペラの一節に続いて、モーツァルト自身の『フィガロの結婚』中のアリア『もう飛ぶまいぞこの蝶々』が演奏されます。するとレポレッロが『これは有名なやつだ』とコメントして観客を笑わせる。
晩餐が始まり、ジョヴァンニは旺盛な食欲。彼に騙された女性の一人エルヴィーラが登場し、生き方を変えるべきだと忠告するも聞く耳なし。そこで悲鳴が上がり、騎士長の石像が出現します。「悔い改めよ」と迫る石像。ジョヴァンニが恐怖におののきながらこれを拒否すると、地獄の戸が開き、たちまち地獄へ引きずり込まれます。
そこへジョヴァンニ復讐隊の5人が登場。一同、悪漢のなれの果てはこのとおりと歌い、「軽快に」幕が下ります。

オペラ・ブッファと言いながら、緊迫した暗いドラマが切れ目なしに展開するフィナーレに、当時の聴衆はさぞかし驚いたことでしょう。時代の枠を超えた、モーツァルトの天才をぶりを目の当たりにする傑作です。

再掲。
次回はこれです。

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コメント

スカボロー・フェア(イングランド民謡)
長谷川陽子・・・チェロの魅力を引き出した前衛音楽の様なアドリブに私は、白旗 そして金食い虫が徘徊しそうですがLPはなさそうでホットしています。
ヨハン・シュトラウス二世 ワルツ「酒・女・歌」
アーサー・フィードラー指揮は、学生時代良く耳にしましたが1930年代から録音しているとは驚きました。
オペラは、SPだと全曲10枚以上、言葉が分からないのと時間が掛かるので避けていましたが映像と字幕で分かりやすかったです。
掘り出し物
チャランさん
長谷川陽子さんにはぜひLPを出してほしいのですが、発売元のビクターが経営難なので厳しいかもです。「ノルウェーの森」は高品質CDのXRCDでは出ているようですが、プレミア価格がついているようです。

フィードラーのシュトラウス米盤四枚組みは掘り出し物でした。戦争前夜の頃ですから、日本では発売されなかったと思われます。戦後の録音よりもエンタメ性が少なく、いい演奏です。
チョコレート、コーヒー、お茶
「食べ物」と「音楽」は結びつけ難いテーマだと思うのですが、納得の選曲です。私だったら何を選んだだろう?と少し考えましたが、「くるみ割り人形」第12曲ディヴェルティスマンのチョコレート、コーヒー、お茶、そしてJ.S.バッハのコーヒー・カンタータぐらいしか咄嗟に思いつきませんでした。ネコパパさんのレパートリーの広さに脱帽です。
楽しんでやっています
ハルコウさん
最初に思いついたのはオペラです。
「ドン・ジョヴァンニ」「椿姫」以外にも「魔弾の射手」「ラ・ボエーム」「こうもり」などにも盛大な飲み食いシーンがありますからね。
「ヘンゼルとグレーテル」にはお菓子の家が出てきます。
オーケストラ曲ではプロコフィエフ「三つのオレンジへの恋」も当てはまりそうです。
そんなふうにいろいろ考え、変化に富んだ選曲ということも考慮して、こんなプログラムになりました。毎回楽しんでやっています。