蓄音機サロン・シャンソンの巻

2019/ 10/ 19
                 
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未曾有の被害をもたらした台風19号でしたが、当地愛知県は雨は降り続いたものの、影響は軽微にとどまったようです。
被害に遭われた皆様には心からお見舞いを申し上げます。

さて、暴風警報の出た12日は市立図書館は閉館で、ネコパパご案内の「音楽を楽しむ会」は延期になったのですが、翌日の名古屋蓄音機サロンは予定通り実施されました。台風の翌日ということも影響したのか、いつもに比べると参加者は少なめでした。
さて今回は、井上マスターの名調子による「シャンソン特集」。

第1部は「フランス映画テーマ曲集」ということで、古き良き時代の銀幕を彩った名曲の数々を蓄音機で聴きました。

1 パリの屋根の下
2 パリの空の下
3 ヘッドライト
4 夜ごとの美女
5 現金に手を出すな
6 パリ野郎

音源はサウンドトラックあり、歌ありといろいろでした。
ちょっと驚いたのは、サウドトラック盤という歌入りの「パリの空の下」が、速いテンポで怒鳴るように歌われていたこと。
これまで親しんできたピアフやモンタンの歌うイメージとは大違いでした。
「ヘッドライト」のサントラでは、口笛とも楽器ともつかない不思議な音色でコスマ作曲のテーマ曲が奏でられるのですが、もしかしてオンド・マルトノでは…と思い、スマホ検索したら、やっぱりそうでした。
メシアンが「トゥランガリラ交響曲」(1949)で使用して注目された先駆的な電子楽器を、1956年の時点で映画音楽に使うとは…映画もまた、当時の前衛芸術だったのでしょう。



第2部はメインのシャンソン特集です。

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曲や歌手のエピソードを聴きながら、臨場感たっぷりの蓄音機サウンドを楽しむひととき。
前半では3曲目に登場したジョセフィン・ベイカーの黒人差別を跳ね返す気骨ある生き方には感銘を受けました。来日公演ではエリザベス・サンダース・ホームに多額の寄付を行い、その後も支援をつづけられたとのこと。

後半では、Iさん提供の貴重な日本人歌手によるシャンソンも紹介されました。
9曲目の「バラ色の人生」は美空ひばりと李香蘭こと山口淑子の聴き比べという贅沢な企画。オペラ歌手のような山口淑子も味わいがありますが、驚かされたのは、録音当時17歳だった美空ひばりの成熟した歌唱ぶりでした。昭和の大歌手は17歳でも既に大歌手だったのですね。



最後は定番の「枯葉」をピアフとモンタンで。ピアフはアメリカ録音ということで、ジョニー・マーサーの英歌詞と交互に歌われる珍しい歌詞です。井上マスターは「感傷的な普通のラブソングになっている英歌詞に比べると、プレヴェールの原詩はおそらく死別した恋人を回顧していると思われ、哀愁の色が濃い。ぜひ聴き比べてください」と語っておられた。
「北風は枯葉をさらう 忘却という名の冷たい夜の中へ ね 僕は忘れていないだろう 君が歌ってくれた歌を…」
そうだろうか。そうかもしれない。ネコパパは全然気付かなかったけれど。



次回以降のサロン予定です。
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コメント

オンド・マルトノがサントラに使われていたんですね。
どんな時代でも「最新のサウンドを作る!」という信条の音楽家がいるんですよね。

美空ひばりは、さすが歌手として別格ですね。
これで17歳とは驚きです。
早熟の天才でそのまま晩年まで天才のままでいたということですよね。
あの威張った感じも、これを聞くと許せますよね。
歌の化身
50年代のフランス映画は、音楽でも映像でも、とりわけ表現意欲に溢れていますね。「現金に手を出すな」のテーマ曲もハーモニカを使った斬新なものでした。

美空ひばりの「ばら色の人生」は、伴奏がちょっとしょぼいし、歌い出しもさらりとしているので「ま、こんなものかな」と思って聞いていましたが、リフレーンから一気に表情が濃くなり、あとはすっかり彼女の術中にはまりました。
歌の化身、としか言いようがありませんね。
ひばりはjazz
ひばりは、あくまでもjazzとして歌ってるんですね。
枯葉と薔薇色の人生、ルフランの部分が4拍子、最初のところがいかにもシャンソンですが、ルフランは誰でも歌えるので世界中に流布したのでしょう。
枯葉の恋人が死んでいるという解釈は初めて聞きました。もともと、夜の門という映画でモンタンが歌った曲ですね。「枯葉に寄せて」という、ゲンズブールが作った曲がありますが、恋人は生きていると解釈しているように思います。
読みの多様性
サンセバスチャンさん
おっしゃるとおりだと思います。
彼女はジャズのアルバムもありますが、歌謡曲調とは雰囲気を変えて、ジャズそのものと感じる歌いぶりです。ジャズのレコードをよく聞いていることも感じ取れます。
天賦の才に加えて、勉強家でもあったのでしょう。

プレヴェールの歌詞を読む限りでは、断定はできません。どちらにも解釈できると思いますが、読みの多様性を知ることで、歌が一段と深く味わえるような気がしました。
「ヘッドライト」私の好きなジャン・ギャバンが、出演している映画のテーマ曲。
電気技術の進歩によりシンセサィザーが使われているとは・・・「ローマの松」に使われている蓄音機のようにいつの時代にも最新の機器を取り入れる作曲家がいるようですね。

「バラ色の人生」美空ひばりと李香蘭こと山口淑子の聴き比べ
李香蘭さんのSP盤よかったです。欲しくなりましたが一期一会LP・CDで我慢します。
美空ひばりさん、17才であの歌唱力 以前大黒屋で掛けて頂いた15才録音「津軽のふるさと」の裏声と同じで晩年と変わらない…改めて大歌手ですね。
趣味は気合
チャランさん
テルミンでは…とおっしゃった方がおられましたが、オンド・マルトノはテルミンの音をより機能的に生み出すために設計された楽器だそうです。
現在ではシンセサイザーでどんな音も簡単に作れてしまいますが、当時はきっと大変だったことでしょう。
それだけに気合が入った音楽になっていると思います。

美空ひばりも、エディト・ピアフも、音源自体は簡単に聞けますが、もとのSP盤となると、搜索の手間から予算から、これまた大変です。
その分有難味が増して、気合を入れて聴くので、真実の良さが聞き取れる。
いずれにしても趣味は気合の世界です。