豊田市を拠点に活動するアマチュア・オーケストラ、センチュリー室内管弦楽団の演奏会に、アヤママと行ってきました。
これぞクラシック・コンサート、というべき直球プログラム。
地元のアマオケを応援する機運が高いのか、会場はほぼ満席の盛況でした。
1曲目、モーツァルトの交響曲第50番というのはシャレではありません。旧モーツァルト全集にはちゃんと含まれている曲のようです。土台は劇的セレナータ「シピオーネの夢」序曲、これはアレグロとアンダンテの二楽章で、モーツァルト自身がフィナーレを書き足して交響曲に仕立てたもの。若書きながらモーツァルトの作風が開花し華やかな曲です。演奏ははじめは腕慣らし的にラフでしたが、フィナーレでリズムと活気が生きて「中村調」となります。
2曲目はおなじみの名曲、チャイコフスキー。
前田祐里は余裕のテクニックで大曲を悠々と弾ききり、聴き応えは十分でした。特にフィナーレでは即興的と思えるくらい、テンポの緩急の大きい演奏で、不意打ちのアッチェレランドにオーケストラが反応できない場面もあったりして、なかなかスリリングでした。
終了後、ラフマニノフの静かな前奏曲でクールダウンするのも、気が利いた選曲。
休憩後はメインのブラームス第1交響曲。54名という室内編成ながら、十分な厚みを感じさせる演奏でした。
中村暢宏の解釈は速めのテンポ設定で間を詰め、彼としてはレガートに音をつなぎながら、ここぞというところでアクセントを効かせていくというもので、この大曲が短く感じられる凝縮感がありました。
好調だったのは前半で、あの無愛想な第1楽章がきりっと絞まったフォルムで推移するのは快感でしたし、第2楽章も叙情に満ち、コンサートマスターのソロも見事でした。第3楽章は主部と中間部の対比がやや鈍く、フィナーレも前半は今ひとつ緊張が緩みがちな気配もありましたが、コーダでは一気にテンポを上げてクライマックスを築くことに成功。そして終結の四和音は、短い三音にはクレシェンドをかけ、決めの長い一音は抑え気味にするという、センスあふれるやり方でした。
やってくれますね、中村さん!
後半のアンコールは、チャイコフスキー「アンダンテ・カンタービレ」を、弦楽合奏で。
練度の高い弦の響きが染みました…
こういうライヴを聴いたあとで、家で「ブラ1」を聴くとしたら、
いつものベームやザンデルリングの盤ではなく、これを取り出したいですね。
パーヴォ・ベルグルンド指揮ヨーロッパ室内管弦楽団による一枚です。
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