聴き会はプレイヤーとリスナーのインタープレイ

音楽好き仲間が5人集まって聴き会をしました。
今回はジャズが中心。いきなりSige君がビル・エヴァンス・トリオの未発表盤CD「アナザー・タイム」を出したので、芋づる式にエヴァンスのレコードを続けて聞くことに…
エヴァンス
やっぱりいいなあ、ビル・エヴァンス。名作ぞろいの初期のトリオ作品はもちろん、ジム・ホールとのデュオ「アンダーカレント」も、あらためてその凄さに圧倒されたし、
「緩慢な自殺」とも言われた死の直前ごろのライヴ演奏も、当時の周辺事情を意識しないで聴けば、やはりタッチは澄み切り、ひたすらに音楽をしようとする歌と気迫に満ち満ちている。

「アンダーカレント」に含まれた「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」は、
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エヴァンスとギターのジム・ホールが一音一音競り合いながら、激しい音の螺旋を描いて突き進んでいく。ジャズ演奏の心得のあるsige君とbassclef君が、曲の進行に合わせてコメントを入れてくれたので、彼らの奇蹟的なインタープレイのありさまが一層よく聞き取れました。
「ベーシストがいないのに、聞き手には不在のベースのはじき出すビートが聴こえてくるよね。二人の呼吸が音楽のリズムと完全に一致しているからだ」
ネコパパには、その二人の友人のしゃべりっぷりもインタープレイに聞こえていました。
後で送ってくれたsige君のメールには
「みんなながーいフェイバリットピアニストとして、あの音この音、あの場面この場面を聴き込んできたからこそ語れる話」との言葉が。
なるほど、納得です。

ほかにもbasseclef君持参のスタン・ゲッツ、コペンハーゲンでのライヴ録音「アット・ラージ」、
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ジェリー・マリガンとベン・ウェブスターの共演盤、
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su君持参の米盤マイルス・デイヴィス「サムディ・マイ・プリンス・ウィル・カム」、
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渡辺貞夫「バード・オブ・パラダイス」など…
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どちらかといえばハートウォーミングなジャズが多かったような気がします。

一方ハードな演奏では「ジャズ・アット・マッセイ・ホール」。
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「ソルト・ピーナツ」では、みんな大いに乗りました。
歴史的意義で知られたライヴ録音ですが、典型的なビ・パップ・ジャズとして大いに楽しめるアルバムと思いました。こういった「名盤」はつい棚にしまいっぱなしになりがちですが、聴くことは大事ですね。

この日はクラシックは少なめでした。
印象に残ったのは、sige君持参のハンス・クナッパーツブッシュ指揮ウィーン・フィルが1958年に録音した「ポピュラー・コンサート」。
クナ
最近出たSACDで、最後にボーナストラックとして収録されたワーグナー「ジークフリート牧歌」を聴いたのですが、ゆったりとして瑞々しく、モノラル録音と思えないような、優れた音質で楽しめました。
saさん持参のトスカニーニ・ラスト・コンサートからのワーグナー「森のささやき」と「マイスタージンガー前奏曲」も凄かった。
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瞬速のテンポ感で知られるトスカニーニですが、ワーグナーでは一転した遅いテンポを取り、隅々まで見渡せるような透明感と活力で演奏を進めます。
マーラー大好きのemo君、今日はブルックナーをご所望でした。そこで、朝比奈隆指揮の80年代全集のSACDから、東京都交響楽団との第2交響曲。
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これは全集中でも白眉の演奏と改めて思いましたけれど、さて、emo君は?

音楽はメロディーかモチーフか、という議論もありました。
なにを「よい」と捉えるかは、難しい問題ですが、ネコパパは「この音楽を理解しよう」と構えて聴くストイックな姿勢から、近頃はだいぶ離れてきた気がします。
ヨーロッパ人は、紀元前6世紀のソクラテス以来「宇宙は調和のハーモニーを奏でている」という考えが根底にあり、「哲学」「数学」「音楽」が三大学問でした。
それが例えば、和声や対位法、執拗な同期の反復といった「構築しつつ高みに登っていく」嗜好を生んだのではなかろうか、と、ふと考えました。
でも音楽って、そんなに「高み」ばかりを目指さなくてもいい気がします。

最後にカール・ベーム指揮ケルン放送交響楽団のリマスターLPを聴いているとき、突如、右チャンネルから音が出なくなりました。こんなことはもう十数年来なかったことです。
オーディオは凝ると故障するのかもね。ネコパパ、近頃珍しくカートリッジを三つも買ったもんだから。
解散後、接点復活剤をふりかけた綿棒でカートリッジとアームの接点を磨いてみたら、なんとか復活したようです。
お騒がせしました。でも当分、油断は禁物です。

皆様お疲れさまでした。ぜひまたやりましょう。




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コメント

コメント(16)
やあ、yositakaさん、ブログ引っ越し完了、よかったですね。
先日の聴き会・・・6人で約6時間。たいへんお疲れでした!右チャンネルのマイナートラブルも直ったようでなによりです。
ジャズ~以前はコルトレーン一辺倒だったSumi君が「この頃はピアノやサックスの静かなバラードものも好きになってきた」ということで、午前中はビル・エヴァンス
特集(たまたまそうなった(笑)午後はクラシックの合間に写真掲載の定評名盤を聴きましたね。改めて驚いたのは・・・yositaka君も書いているように、パーカーのライブ盤「マッセイホール」圧倒的なアルトサックスの鳴り!フレーズの勢い!やっぱりパーカーは・・・どうしようもないくらいに凄い!そうとしか言いようがない(笑) 

bassclef

2019/08/15 URL 編集返信

(つづき)
クラシック~僕などまだワグナーについてはまったく初心者なのですが・・・というより、半年ほど前までは嫌いでありました(笑)前回、自身への反省を込めて「一人の作曲家、指揮者、演奏家のその人の音楽の様相を、あまり単純に<これこれこうだ!>と決めつけちゃいけませんね・・・みたいなことを言って、ワグナーの「ジークフリート牧歌」を聴かせてもらいました。壮大・重厚・大げさ・・・だけで嫌いと感じていたワグナーにも、こんな抒情的な優し気な気配の曲があったのか!と驚き、ワグナーの他の曲も少しは聴けるようになってきたわけです。
で・・・クナバーツブッシュです(笑)

bassclef

2019/08/15 URL 編集返信

聴き会後の先週8日から始まった地元の百貨店・中古レコードフェアに木・金・土・月水と通って、例によって安いクラシックLPをいくつか入手してきたのですが、その中になぜか・・・クナッパーツブッシュが2枚あるわけです(笑)
1枚はロンドン/キング盤の「くるみ割り人形」~これ・・・yositaka君ブログの掲載写真を見て気が付いたのですが《sige君持参のハンス・クナッパーツブッシュ指揮ウィーン・フィルが1958年に録音した「ポピュラー・コンサート」》と同音源のようですね。聴き会では「ジークフリート牧歌」だけを聴いたので、自分で買ったのに、今、気が付きました。「くるみ割り人形」LP盤で聴いて、これがなかなかよかったのですよ。やけになんというか・・・くどいというか濃い語り口で、しかしそれが元々チャーミングなメロディのチャイコフスキーに、意外と合う!(笑)B面の3曲は、これもこってりした楽団の鳴りで、とにかく乗りが大きい。意外なほど楽しめました。

bassclef

2019/08/15 URL 編集返信

yositaka
bassclef君、長大なコメントをありがとう!大いに励みになります。
右チャンネルは今のところ異常なし。でも一度ああいうことがあると、どうも落ち着きませんね。
今回はいつもよりジャズをたっぷり聴けました。といっても、ジャズのLPも、一曲がかなり長いので、ちょっと聴くつもりで針を下ろしても、あっという間に時間が過ぎていく。
ここはクラシックも同じで、3分から5分が集中の限界という一般の人と感覚の乖離が大きい。図書館の鑑賞会でも悩むところなんです。
ワーグナーの「牧歌」も素敵な曲だけれど、約17分。あれでも彼の曲では「小品」なんですからね。でもbase君がワーグナーの抒情に気付いてくれたことは仲間として嬉しいです。

yositaka

2019/08/15 URL 編集返信

yositaka
続き。
チャーリー・パーカーも、ワーグナーも、クナッパーツブッシュも、現代という時代には表れにくいカリスマ的な音楽家ですね。こういう人たちの音楽は何度聞いても発見があって、決して終わりということがない。「どうしようもなく凄い」と一生言い続けても足りません。それで、同じレコードもまた買ってしまうんだろうね。それが僕たちのせめてものトリビュートなんでしょう。
クナの「ポピュラー・アルバム」もそんな一枚ですね。学生の頃はどうしてこの巨匠がこんな盤を…と思ったものですが、本人は大好きで、大いにやりたい。SP時代からこの種の曲を録音し、ライヴでも盛んに演奏していたのです。「くるみ割り人形」も、本当に美しい。歌い方がくどいというより、リズムや呼吸がずっしりとして濃いと思います。

yositaka

2019/08/15 URL 編集返信

yositaka
続き。
それにしても中古盤フェアに5日連続で通うとは、さすがにbass君ですね。懲りない。僕も同じで、昨日出かけて、今日も別のところに出かける。いつも何かしら面白いものが見つかるんですね。
クナッパーツブッシュの「ワーグナー・アルバム」の東芝エ○ジャケ盤もそんな一枚。1977年発売、出たとたんに悪評で、あっという間にクナの写真をあしらった茶色ジャケに変更されました。あれを二人とも持っていたなんて爆笑です。

今回も遠路はるばるありがとう。またぜひやりましょう。

yositaka

2019/08/15 URL 編集返信

(さらにつづき)
クナッパーツブッシュのもう1枚というのは・・・これがまたなかなかの偶然なんです。会でもちょいと話題になった<ワーグナー名演集・東芝2枚組>~あの時代を感じさせるジャケット(笑)
そしてyositaka君と僕がその同じ2枚組を持っているのも可笑しかったですね。
あれはミュンヘンフィルでしたが、ワーグナー得意のクナッパーツブッシュがウイーンフィルを指揮したレコードもあるよ、とsige君も言ってたのですが、実はそのクナ・ウイーンフィルのLP盤も中古レコードフェアで見つけたのですよ。キング盤で<ワーグナーアルバム第1集>というもので、ジャケットはクナッパーツブッシュの肖像画です。
これがまた・・・実によかったのですよ。A面が「神々のたそがれ」から「ジークフリートのラインへの旅」と「葬送行進曲」の2曲なんですが、これが・・・ゆったりしたテンポとどっしりとした乗りでワーグナーの重厚な~重々しいとも言える(笑)メロディ・ハーモニーを謳いあげている感じ・・・で実によかったのです。それにしてもウイーンフィルの弦の低い方は凄い鳴り方、してますね。
というわけで、ワーグナーの一部とクナッパーツブッシュの一部に引っかかってきたようです(笑)

bassclef

2019/08/15 URL 編集返信

yositaka
油絵ジャケットのものは1枚ものと2枚組のものとがあります。1枚ものは裏にトリスタンが入っているものですね。英デッカにクナのワーグナー・アルバムはなく、これらはいろいろな機会に別々に録音されたものを集めた「寄せ集め」ですが、内容は言われる通り、ものの見事です。ミュンヘン・フィルと比べると、オーケストラの色がはっきりわかるだけでなく、「これぞ名門」というウィーン・フィルの圧倒的な力量を見せつけるものになっています。それにしてもこのあたりの盤は「クラシックの奥の院」、bass君もついにここまで。

yositaka

2019/08/15 URL 編集返信

覚えています^^;;。
ブログのお引っ越し、お疲れ様でした。
JUGEMはまだやっているようなので、居座っております。

> 右チャンネルから音が出なくなりました。
LPだけの現象なら、たぶんカートリッジの接点の導通不良で、これはありうることでしょう。

> クナッパーツブッシュの「ワーグナー・アルバム」の東芝エ○ジャケ盤もそんな一枚。
あ、これ、アレですね^^;;。覚えています。
クナのブルックナー、ワーグナーを冒涜しとるな~、廉価盤でもこれじゃ買えんじゃないか、と思いましたが、考えてみるとLP時代に Westminster盤はほぼ買っていないと記憶します。
例外は、家で「ステレオ」を導入する前、17cmLPで、フー・ツォンのピアノ、ペーター・マーク指揮ロンドン響によるシューマン:ピアノ協奏曲がありました。

へうたむ

2019/08/19 URL 編集返信

ご無沙汰しています。
FC2に引っ越されたんですね。ぼくもFC2です。
ぼくは家を引っ越して以来,いまだにオーディオルームを稼働させられず,なんとかこの夏の間には!とがんばっていますが,見通しは暗いです(笑)
今後もブログ楽しみにしています。

リキ

2019/08/19 URL 編集返信

yositaka
へうたむさん
東芝エ○ジャケ盤、覚えておられましたか。年齢がわかりますね。当時ウェストミンスター・レーベルはたらい回しで国内でもキング⇒東芝⇒コロムビア⇒ビクター⇒ワーナーと転々としていました。キングの前は「日本ウェストミンスター」という会社があったそうですが、さすがにこれは知りません。
東芝⇒コロムビア⇒ビクターの時期は契約期間が短く、発売も少なく、ジャケットもかなり適当で、ビクターなど、単なる白紙にタイトルだけを表示した海賊版並みの仕様だったと思います。それにしても東芝のあのシリーズはクラシック国内盤史上屈指のB級ジャケでしたね。
ついでに言うと、この当時のマスターテープもまた使い回しだったようで、音質は劣化の一途でした。

yositaka

2019/08/20 URL 編集返信

yositaka
リキさん
新ブログへの初コメント、ありがとうございます。F2はこれまでとは勝手が違って、慣れるまでは一苦労しそうです。
ところでご自宅、お引越しされたのですか!
オーディオルームの再稼動は、大いに期待できますね。準備が整ったらぜひ声をかけていただけると嬉しいです。今後もよろしくお願いします。

yositaka

2019/08/20 URL 編集返信

ベーシストのbassclef さん、音楽に対する熱い思いはご健在ですね。
大須に5桁で出ていて諦めた「ポピュラー・コンサート」聴いてみたかったです。

Rチャンネルの接触不良、昔?リード線病を患っていた経験から
(リード線端子が、ビニールカバーで覆われているため差し込み状態が確認できないですが)
端子を斜めに差し込んだり・カートリッジ側ピンがシェル側ピンより太い・クリヤーな音質が望めるロジューム端子は硬いので差込み口が開き放しになりやすい・・・等で差込みが緩く接触不良になり易いです。
簡易点検としてリード線に軽く触って端子が動かないかです。
あり得ない私の失敗(シェル側ピンに端子ソケットが刺さっておらずビニールカバーで押さえられていました。)
カートリッジが、増えてくると病になり易くなりますのでご注意を!!!

チャラン

2019/08/20 URL 編集返信

yositaka
チャランさん
シェルリード線は細かく接続しにくいので、デリケートな仕事に不向きなネコパパには厄介千万です。レコードリバイバルとのことですが、スマホになれた若い人々がこういう世界に果たして踏み入ることができるのか、前途多難だと思います。
そういいつつも、
先日義父宅で針の磨り減ったカートリッジの残骸(ビクターZ1)を発見。なんとかできないかなと思うのも、やはり病気?

yositaka

2019/08/20 URL 編集返信

ビクターZ1を復活させたいのは物を大切にしたい気持ちで病気では、無いと思います。
Z1は、MMなのでジーコが替え針を制作・販売しています。ただ値段が「金欠病」になる恐れがあります。
針先の検査をせずに再使用するのは「貧乏症」ですね。(USB顕微鏡で無償診断
ゴムダンバーでなくテンションワイヤなら針先クリーニングで復活すると思います。)

チャラン

2019/08/20 URL 編集返信

yositaka
チャランさん
ビクターZ1は1980年代のビクタープレーヤーに搭載されていた標準装備品ですが、現在も好むファンはいるとのことです。発見物は針先が摩耗しているどころではなくほとんどツルツルの状態て針交換しなければ使い物になりません。検索するとおっしゃるとおり、ジーコの交換針は高価でしかも5000円から20000円と幅があるんですね。針の形状も複数あるらしい。これにこだわって音を追求している人がいるようです。
そこでヤフオク。すると当時の未使用品が安価でたくさん出ていました。ダメもとで落とし、ローランドにつけて聞いてみると、これがなかなかの音なんです。楽しめています。

yositaka

2019/08/21 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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