フルトヴェングラーのLP漁り、なお続く

今度はキングインターナショナル制作の、ごく最近発売されたLPをいくつか入手しました。
この社の出しているクラシックレコードは、一言で言えばマニア向け贅沢品。普通だったら入手なんて考えもしないんですが、たまたまヤフオクで格安で出ていたんです。

これを、時間を見つけては、聴いています。

1952年12月8日、ベルリンの映画館ティタニア・パラストでの
ベートーヴェン「英雄」



このとき「英雄」は、12月7日と8日に演奏され、どちらも録音が残されているそうですが、ネコパパは未聴でした。
さる文献ではどちらも録音状態は悪いとのことでしたから。
でもこのRIAS放送所蔵の音源を用いたLPは、第2楽章や弱音部分こそモコモコと霞んだ感じではありますが、フォルテはよく入っている。


演奏内容も手応えがあります。ウィーン・フィルとの二つの盤と違うところは、フレーズの頭から終わりまで、くっきりと統制され、指揮者の意志が徹底しているところです。ウィーン・フィルとの二つの盤は、もっと緩やかで広々しているのですが、こちらは細部まで気が抜けない。そして随所で、このコンビならではの壮絶なフォルティシモとティンパニの激しい打ち込みが効いてます。とりわけフィナーレ最後の乾坤一擲の決めはお見事。
ティンパニはテーリヒェンでしょうか。「エロイカ」という曲のよさを味わい尽くそうとするなら、やはりまずは、フルトヴェングラーを…と改めて思ってしまいます。
この盤は二枚組、楽章ごとに一面を使うマニアックな構成です。聴く方は手間がかかるけれど、LPでは不可避の内周ストレスが少ないのは確か。

1951年ハンブルクでのブラームス・プログラム
オーケストラは北西ドイツ放送交響楽団。のちの北ドイツ放送響、現在のエルプ・フィルハーモニー。



作曲家ゆかりの地であるハンブルクでのライヴ。
フルトヴェングラーのブラームス、交響曲第1番の中で、ネコパパが初めて「これは凄い」と思った盤です。


冒頭のティンパニの轟音からしてただならぬ迫力。テンポの変化は少なく、フォルムの強靭化をひたすらに追い求めていく解釈です。このオーケストラとの共演は随一ですが、メンバーには元ベルリン・フィルのコンマスだったエーリヒ・レーンも在籍し、第2楽章では澄み切ったソロを聞かせます。録音エンジニアがベルリン・フィルの戦中ライヴを収録したフリードリッヒ・シュナップだったのも因縁でしょうか。
まあ個人的には、それほど力んで演奏する曲なのかなとも思いますし、威圧感もあるのは事実ですが、貴重な復刻と言えるでしょう。

『パリのフルトヴェングラー』
1954年1954年5月4日、パリ、オペラ座でのライヴ録音。
オーケストラはベルリン・フィル。



70年代から発売されていたものですが、90年代に入ってフランス国立放送のアーカイヴ音源をもとに仏ターラがCD化、それを買って予想外に鮮明な音に驚いたものです。
特にウェーバーの「オイリアンテ」序曲とシューベルトの未完成交響曲がそう。



後者の第2楽章は、ほんとうに音が強くたっぷりと鳴り響く。ワルターの演奏が「歌」の「未完成」だとしたらこちらは「思索」の「未完成」とでも言えるかもしれません。

フルトヴェングラーという人はマイク嫌いの上に音そのものが「痙攣タクト」によって生み出される独特の雑味があって、抜けが良くない。録音は至難の業と思われていました。でもこれはティタニア・パラストやその他の場所とは違う音がする。デッドな会場、エンジニアの音の好み、いろいろあるんでしょうが、ネコパパはフルトヴェングラーの数ある音盤の中ではストレスのない部類に聞こえます。だからこの復刻LPにも期待したんですが、うーん、カッティングレベルが相当高く、ネコパパの再生装置では針が追随できていない気がします。再生、がんばらないと。


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コメント

コメント(6)
No title
ベートーヴェンの「英雄」については、1952年の12月7日と8日の両方の録音を持っていますが、音が良くなかったのか、あまり印象には残らなかったのか・・・どんな演奏だったか覚えていません。近いうちにもう一度聴いてみます・・・

HIROちゃん

2019/07/07 URL 編集返信

No title
> HIROちゃんさん
フルトヴェングラーの「英雄」については、1944年、1952年のウィーン・フィル盤の存在感が強すぎて、3つのベルリン・フィル盤やRAIローマ響盤の印象はどうしても弱くなりますね。それだけウィーン・フィルとの相性が良い曲なのでしょう。

yositaka

2019/07/07 URL 編集返信

No title
”パリのフルトヴェングラー”かなり鮮明な音ですね。古戸辺さんの音盤とは思えぬほどの驚きの音の良さだと感じました。

ブラームスの交響曲第一番は冒頭のティンパニが偉そうなので(笑)あまり良い印象がないです。「オイ、心して聞け」と威張った感じで言われているような気になるんです。

不二家 憩希

2019/07/08 URL 編集返信

No title
> 不二家 憩希さん
確かに録音はひと味違います。ただ演奏はメインの「運命」がなんとなく緊張感が足りなくも思います。ティンパニのチューニングがうまくいっていないとの意見も。せっかくいい録音チームに恵まれたのに、つくづく録音に恵まれない人でした。
偶然かもしれませんが、このパリ・コンサート、「未完成」「運命」というLP時代の大道カップリングを実際にやってしまっているところも面白いと思います。フランスからのリクエストだったんでしょうか。
ブラームスの1番は確かに威張った雰囲気を感じますね。ブラームスの他の3曲よりも、肩に力が入っています。案外、苦手だったのかもしれません。

yositaka

2019/07/08 URL 編集返信

No title
ネコパパさん、あれをポチされたのですね。
私は、大人しくチェロ(LP)をポチしました。届いたレコードは、ジャケット良し・盤良し・演奏良しでしたので、明日の例会に持って行きます。

チャラン

2019/07/11 URL 編集返信

No title
> チャランさん
チェロってあの出品者のところにありましたかねえ。フルニエかな?
いずれにせよ明日が楽しみです。

yositaka

2019/07/11 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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