名古屋ブルックナー管弦楽団、「ブル6」を熱演

梅雨前線が停滞し、湿度も上がって蒸し暑い日曜日。
今日はネコパパ、アヤママ、それに「音楽を楽しむ会」スタッフや常連のお客様総出でコンサートを鑑賞しました。
ネコパパは地下鉄駅まで車で赴いたところ、駐車場が長蛇の列でやきもきしましたが、なんとか時間までに会場着。席はチャランさんが確保してくれていた1階中央席です。
プログラムは、やや渋め。


シベリウスの交響曲第3番は、ライヴで聴くのは初めてじゃないでしょうか。
第1番、第2番で後期ロマン派の様式は極めたと言わんばかりに、音楽のスケールを縮小し、優美な旋律を抑え込んで、執拗なモティーフの反復による「音の運動」を基調とした抽象度の高い作品になっています。
でも、その結晶化された響きと皮膚感覚に訴えるリズム、そこに時折風のように流れ込んでくる北の国の情感は、すばらしく魅力的です。そんな作品だけに演奏は難しい。小さな音の刻みもおろそかにできないからです。

名古屋ブルックナー管弦楽団の演奏は、冒頭からしっかりと自信のある音を聞かせてくれました。
基調になるのは、短く切り詰めたフレージングに、楷書のリズム。
どの楽器も音が、しっかりと前に出てくる。ホルンをはじめ金管も安定感のある音色です。正確、厳格を旨とした指揮者、森口真司の棒に導かれて、石垣のごとく構築された響きは、このオーケストラの持ち味と言えるでしょう。感触の硬さはあったものの、曲の良さを実感できるシベリウスになっていたと思います。

メインのブルックナーもこの調子でいくのかな?と予想待していたのですが、それは見事に的中。いや、それ以上でした。
シベリウスから大幅に増員されたオーケストラの奏でる「ブル6」、堪能しました。
演奏の基本は変わらないものの、音の強弱、低音の分厚さは前半に比べ、大きくスケールアップしています。厳格な進行のなかに、楽員たちの曲への共感や自発性があふれ出て、聞いていて一部の隙もない。
このごろは我慢の利かなくなったネコパパですが、このブルックナーは、睡魔を覚えるような弛緩した響きはひとつもないと感じました。

第1楽章こそ、中間部の抒情的な部分がてきぱきと進みすぎるような印象があったものの、第2楽章に入ると、音楽自体の持つ、どこか突き抜けて、はるか彼方に届いてしまったような抒情にすっかりいかれ…後半はこの作曲家には珍しい、軽やかな散策と、多彩に変化する音の万華鏡を存分に楽しむことができました。
第6番、なんと素晴らしい音楽であることか。第7番以降の後期3曲に比べて軽く見られがちですが、少なくとも第7番とは同格の魅力作ではないでしょうか。

1階席の中央は、金管やティンパニの音が直撃する場所で、音が飽和するきらいはあったものの、演奏の真価を聴きとるには向いていたのかもしれません。
ブルックナーを必ず演目に取り上げるポリシーで25年、というのも大きな実績ですが、メンバーの年齢も全体の響きも、むしろ若返っている印象を受けるのは喜ばしいことです。来年以降も、できる限り足を運びたいと思います。
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コメント

コメント(14)
No title
「ナイス!」です。
「ブル6」、好きです。
ヨッフムかカイルベルトばっかりですけど。(^^ゞ

tan*oi*y*n

2019/07/01 URL 編集返信

No title
ブルックナーの第6番、シベリウスの第3番・・・
いずれの曲もコンサートでは聴くことが少なく、めずらしいですね。
ブルックナーの第6番は、これまで聴くことは少なかったのですが、あらためて聴くとなかなか魅力ある曲ですね。

投稿文から、良い演奏会のようでしたね。

この記事には特に関係ないのですが・・・
コンサートは10月に小林研一郎/いわき交響楽団、11月にはブロムシュテット/N響の定演チケットをゲット済です。特にブロムシュテットはベートーヴェンの「英雄」…今から楽しみにしています。

HIROちゃん

2019/07/01 URL 編集返信

No title
「ブル6」良かったですね。ブルックナーと言えば金管と思っていた私ですが今回は違いました。
「シベリウス」の時は、一部籠りがあった演奏が団員の増えた「ブル6」では、籠りがなく音が透明な浜辺の波のように聴こえ引き込まれました。これは楽団員の思いのこもった練習の成果でしようか・・・
コンサートホールの前に通路があるS席を確保できなくて申し訳ありませんでした。

チャラン

2019/07/01 URL 編集返信

No title
会場が愛知県芸術劇場コンサートホールなんですね。
たしか日本でもトップクラスのホールではないでしょうか?
そこでやって入場料金が千円とは!
どういう仕組になっているのか?

不二家 憩希

2019/07/01 URL 編集返信

No title
> tan*oi*y*nさん
ヨッフムとカイルベルト、どちらも古典的な盤ですが、曲の良さを一度で理解できるすばらしい演奏だと思います。どちらもベルリン・フィルの演奏なのも面白い。ヨッフムはドレスデン盤もありますが。

yositaka

2019/07/01 URL 編集返信

No title
> HIROちゃんさん
演奏機会の少ない曲が2曲もライヴで聴けて、大変お得なコンサートでした。ブロムシュテット/N響は一度だけライヴで聴いていますが、とてもすばらしい演奏会でした。最初の一音でわかる音色感、この人もライヴで真価を発揮する人だと思いました。

yositaka

2019/07/01 URL 編集返信

No title
> チャランさん
限られた練習回数で楽員に解釈を徹底でき、さらに本番では能力をフルに発揮させる。凄腕の鬼監督という感じです。私は2回3階側面の席を選ぶことが多く、あそこの席で聴くのは久々ですが、別の良さがあります。臨場感がすごくあって楽しめました。

yositaka

2019/07/01 URL 編集返信

No title
> 不二家 憩希さん
当地ではとても多くのアマオケが活動していて、その多くがこの会場を使っています。先日も広上淳一氏が「くやしいけど、京都コンサートホールよりも音がいい」ともらしていました。活動予算はきっと大変なのでしょうが、よく頑張っていると思います。

yositaka

2019/07/01 URL 編集返信

No title
シベリウスの3番は大好きな曲。第2楽章の美しい旋律が特に好きでね。初めて聴いたのがアシュケナージ指揮フィルハーモニアのCDでした(アシュケナージ指揮フィルハーモニアのシベリウスは7番もいいと思います)。
ところでコンサートの曲順出すがブルックナーが前半ですか? ポスターを見て、不思議に思いました。そういえばアシュケナージはブルックナーが大嫌いだと『レコ芸』誌のインタビューで公言していました。臨席していた奥さんが横から「あなたファンに殺されるわよ」。
そういえばブルックナーとシベリウスと両方とも素晴らしい指揮者って少ないかも。3番ないけれどもカラヤン? ロジェストヴェンスキー? ザンデルリンク?

シュレーゲル雨蛙

2019/07/01 URL 編集返信

No title
仕事が積んでいて行くのをためらいましたが、なんとなく聞き逃すと大損するぞという天の声が聞こえ出かけました。昨年の同指揮者同オケによるブルックナー8番は辛口のコメントを書かせていただきましたが、この6番、CDがでたら買っても良いと本気で思いました。普段はスクロバチェフスキー盤を楽しみますが、今回の演奏、実に良かった。

toy**ero

2019/07/02 URL 編集返信

No title
ブルックナー5番の第二楽章で試された、4拍を6等分と4等分するメロディーというかモチーフの演奏方法がこの6番では1楽章と2楽章にまたがって発展させられる。指揮者はなんと4に振ったり3に振ったりと工夫し、楽員を迷わせることなく分かりやすく几帳面に仕上げていく。しかしムラビンスキーの表情のごとくきびきびと振る。楽器の音も良い。宮本文昭を彷彿とさせるオーボエ、ペット、ホルン、ボーン、チューバもしっかり鳴るが力まない。普段ふまんたらたらの1stヴァイオリンも爽やかに良く鳴る。チェロ8人に対しコンバス9人の低音配置。ボーイングはわざとか、下からアップさせたり、4音を一弓で弾かせたり1音1音アップダウンさせたりと、テンポ、強弱、音色と、6番の最上級の形をとことん追求し満足のいく演奏にしていった。本当に素晴らしい。去年は、形骸化した美の彫刻を作りあげただけじゃんってひどいこと書いたけれど、今年は楽員の作り上げよう歌い上げようという力強さも相まって本当に良かった。ネコパパ氏には感謝‼️

toy**ero

2019/07/02 URL 編集返信

No title
4拍を6等分と4等分にするではなく、6等分と4等分されたメロディーをその4拍の中で同時に演奏するです。やる方も聞く方も困っちゃう技法ですよね。27歳でしたか、シンフォニア出版から出ていた指揮の技法の中に書いてあったのを読んで、これは難しいと悲鳴をあげました。

toy**ero

2019/07/02 URL 編集返信

No title
> シュレーゲル雨蛙さん
チラシの曲目表記について。ブルックナーが後半です。
プログラムは演奏順表記ですが、チラシはメインの曲を先に持ってくることも多い気がします。
まあ、ざっと最近のものを見ても、そういうものは見つかりませんでしたが…私は何の抵抗もなく「ブルックナーが後だ」と理解していました。
でも、曲を知らない人だと間違えるかもしれませんね。

指揮者はワガママでいいので、アシュケナージがブルックナー嫌いでもまったく構いませんが、全然演奏しなかったわけでもなさそうです。むしろ、そういう不徹底なところがちょっとキライです。

シベリウスとブルックナーの両方ですか。パーヴォ・ヤルヴィに期待したいですね。アンドリス・ネルソンスにも。

yositaka

2019/07/02 URL 編集返信

No title
> toy**eroさん
さすがに技術レベルのところまでしっかり耳が届いていて凄いな。ネコパパには拍子の事はよくわからないがなんだか難しそうなのはわかります。今回の好演に何よりも寄与していたのが金管でした。片山杜秀氏ではありませんが、「オーケストラはアマチュアの時代」を実感させる技量の高さ。
指揮者の表現スタイルは変わっておらず、抒情的な部分までもシャカリキにリズムで持っていくところなんていかにも森口さんらしい。でもそれが嫌じゃないのは、楽員の共感度が高いからでしょうね。

yositaka

2019/07/02 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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