平成最後の、ネコパパ庵・聴き会②

平成最後のネコパパ庵聴き会、ピアノばかりじゃありません。
まずは、これを紹介しなくちゃ。
bassclef君が決断して入手した、貴重なオリジナル盤です。



テナーサックス奏者スート・シムズとフランスのピアニスト、アンリ・ルノーが共演したものといえば、1950年代のフランス録音が思い出されるのですが、これは1961年の再会ライヴです。


同じルノーと共演した「デュクレテ・トムソン」が、とても素敵で、以来ネコパパはズートの演奏がお気に入りになりました。
幅広い音域、特に深い低音に込められた歌心の魅力。
「この人の演奏はずーっと聞いていても飽きません」とつまらない駄洒落を言ってしまいました。

音質もとても素晴らしい…と思ったところで、
話はSさんの持参したこのCDに飛びます。



1.枯葉(キャノンボール・アダレイ+マイルス・デイヴィス)
2.セイ・イット(ジョン・コルトレーン)
3.イパネマの娘(スタン・ゲッツ+ジョアン・ジルベルト)
4.モーニン(アート・ブレイキー)
5.酒とバラの日々(オスカー・ピーターソン)
6.オールド・デヴィル・ムーン (MONO)(アニタ・オデイ)
7.クレオパトラの夢(バド・パウエル)
8.ザ・キャット(ジミー・スミス)

文句なしの名演を揃えたコンピレーション盤でした。
ただ、この盤の趣旨は、音質比較にあります。
2枚組になっていて、収録曲はどちらも同じ。一枚はMQA-CD(いわゆるハイレゾCD)もう一枚はUHQCD(新素材仕様の通常CD)、同じソースで、音質比較ができる趣向なのです。

「枯葉」「セイ・イット」「モーニン」「酒とバラの日々」を拝聴したのですが、家電オーディオで聞いても、ハイレゾらしさみたいなものは、はっきり聞き取れました。
「セイ・イット」の最初の一音、コルトレーンの発するロングトーンから、きらりと艶が乗り、ジミー・ギャリソンのベースのくっきり締まった音が心地よい。情報量の広がり感は、SACDの音を思わせます。これが通常CDモードで再生できるのがMQAの売りのようです。
もっとも、完全な再生には、特性を合わせたデコーダーというものが必要らしく、これは「簡易再生」なんですけれどね。


手持ちの「バラード」のLPや、通常レイヤーとの聴き比べも、いくつかしました。
拙宅オーディオでの再生なので、客観性はないと思いますが、それでもMQA-CDと従来盤は音が違うと感じます。いずれも解像度が高く、背後に回りがちだったリズムセクションの鮮度が向上していることがわかります。
一方で、サックスやトランペットのソロになると、従来盤の雑味を含んだ音にも魅力がある。
どちらも面白い。
今は好みの問題と言えるんでしょうが、
将来のリスナーはきっと高品位、高情報のハイレゾの音に慣れていくんでしょうか。
LPファンのオリジナル嗜好とは、また別のルートがあらわれた感がありますね。これはちょっと驚きの体験でした。

こんな動画がありました。ご参考までに…


…とはいえ、結局は音質チェックよりも、音楽に耳が行ってしまうんですね。

やはりSさんにお持ちいただいた、このカール・ベーム指揮ウィーン・フィルの1977年東京公演ライヴも



bassclef君持参のイギリスの名ホルン奏者バリー・タックウェルとジョージ・シアリングが共演したこの「コール・ポーター作品集」(1986)も



演奏だけではなく、音質には際立った瑞々しさがありました。

ベーム盤には、ドイツ・グラモフォンのセッション録音とはかなり違う、細部までくっきりと見通しの良い音が収録されています。
どちらもCDは架蔵していたはず…と思うものの、どこかに仕舞いこんだままで、ひょっとするとこのシステムで聴くのは初めてかも知れない。
ベーム盤はたしかSACDや、高価な復刻LPも出ていた気がします。

今回の聴き会に刺激され、「もしかしたらこれも、もっと良い音で聴けるかも…」と、ちらっと思ったりもしましたが、
いやいや、気をつけなきゃ。もうそんな人生の残り時間も懐の余裕もないはずだぞ、と思い直したのでした。

というわけで、平成最後の聴き会レポートでした。
みなさん、元号が変わっても、音楽を聴く楽しさは変わりません。
これからもよろしく…


関連記事
スポンサーサイト



コメント

コメント(14)
No title
「ナイス!」です。(^^)

tan*oi*y*n

2019/05/01 URL 編集返信

No title
> tan*oi*y*nさん
ありがとうございます。

yositaka

2019/05/01 URL 編集返信

No title
ナイス❗👍

geezenstac

2019/05/01 URL 編集返信

No title
> geezenstacさん
ありがとうございます!

yositaka

2019/05/01 URL 編集返信

No title
「ズートインパリ」のステレオ盤・・・これは東芝CDで聴いていてすごく好きだったので、ちょいとがんばりました(笑)ライブ録音なのでいわゆる優秀録音(TASとかの)ではないと思いますが、その会場で鳴っている・・・という感じのズートのテナーが本当に自然によく歌って、その柔らかい音色が、ほどよく輪郭が拡がって・・・たまらなく気持ちいいのですよ。
あらゆる音楽で「自然に歌う」というのは最高の境地・・・かもしれませんね。(もちろん好みの問題ですが・笑)

bassclef

2019/05/02 URL 編集返信

No title
ズート・シムズが生前使っていたサブのテナーサックスが、日本人のファンが譲り受け今日本で保管されています。
サブと言ってもいろいろな盤で使われていて「この盤はこのサックスで吹いている」といったことがわかっているそうです。

ズート・シムズは駄盤が一枚も無い、と言われていますよね。
私もそう思います。

不二家 憩希

2019/05/02 URL 編集返信

No title
> bassclefさん
「自然に歌う」というのは最高の境地・・・まったく同感です。価値観はいろいろあれど、ズートの音楽がそのスタイルにあてはまるのは多くの人の意見が一致するのでは?
オリジナル盤とCD、データ音源の音質の違いも興味深いですね。
emo君は、ここでもアップしているyoutube音源は、聴き会の時とは相当印象が違って聞こえたそうです。私もそう思います。

yositaka

2019/05/02 URL 編集返信

No title
> 不二家 憩希さん
なんと、ズートの楽器を日本人が!しかも録音での使用楽器の区別まで…そこまで緻密かつ熱心にレコードに耳を傾けるのは、日本人ならではのことかもしれません。
ズート・シムズの録音をそれほど知っているわけではありませんが、いわゆるジャズ・ジャイアンツに多い、時期による演奏様式の大きな変化や出来不出来の差は、確かにあまり感じませんね。それでいていつも新鮮です。大した人です。

yositaka

2019/05/02 URL 編集返信

No title
yositaka(ネコパパ)くん、不二家さん、こんにちわ。
ズート・シムズ愛用の楽器(テナーサックス)の話し、そういえば聞いたことがあります。ズートの日本ファンクラブ会長の金坂さんという方がズートと個人的にも交流があって、ズートが亡くなった後、ズートのご家族から金坂さんに譲られた・・・ということだったと思います。
そしてわりと最近の話しなのですが・・・横浜のマシュマロというジャズ喫茶(店主は上布三雄氏)の3月イベントで、そのズート愛用の楽器をお披露目する~はずだったのですが、金坂さんが2月末に亡くなられた・・・ということなのです。
(横浜マシュマロさんのHPから)

bassclef

2019/05/03 URL 編集返信

No title
> bassclefさん
ズート・シムズのファンクラブが発足して、いよいよ本格的な活動開始の時期に、会長の金坂氏が亡くなられたとのこと。ファンクラブのブログを拝見して初めて知りました。楽器については奥様から直接ご寄贈されたとのことです。金沢氏は病を押して昨年ズートのお墓参りに渡米し、そこで奥様に会われたとか。
運命的な邂逅。
いやー、熱心なファンとは、このようなものなのですね。
かえすがえすも、ご逝去が惜しまれます。
そして今後、この楽器はどんな運命をたどることになるのでしょうか。

yositaka

2019/05/03 URL 編集返信

No title
> bassclefさん
オリジナル盤を入手したとして、それをお友達のお宅へ持参して皆さんに聴かせる、これは私にはいろいろな点で真似ができないことです。素晴らしいです。
私がだったら自宅に厳重保管して「門外不出だ!」とか言って一人悦に入っているだけだと思います(笑)

マシュマロさんのサイトを拝見しました。
金沢さんは、英語が話せないのにシムズと仲良くなられたそうですね。
一体、どうやって??
すごいガッツというか愛情だと思いました。

不二家 憩希

2019/05/04 URL 編集返信

No title
金坂氏は以前からもの凄い熱心なズート・シムズのもの凄いコレクターとして有名だったようです。どんなジャンルの音楽であっても、あるミュージシャンの音楽をうんと好きになると、それはもうその人物そのものをとことん好きになってしまう・・・ということなんでしょうね。それはうんと個人的なことかもしれませんが、すばらしい境地だと思います。
不二家さん

bassclef

2019/05/04 URL 編集返信

No title
不二家さん・・・ありがとうございます。幸いにも自分にはこうやって集まって皆で一緒に音楽を聴いて、ワイワイと好きなことを言いあうお仲間が居るからこそ、それぞれのお勧めレコードを持ち寄ったりできるんです。オリジナル盤志向~と言っても僕などはまったくその入り口辺りで、内容が好きなレコードを、お買い得と思える価格内で入手しているだけで、人気の高価オリジナル盤にも目移りしますが、現実の生活設計を考慮して踏み込まないようにしております(笑)
それと、yositaka君宅の集まりには、堅苦しくない程度の啓蒙的な雰囲気もあり、だから皆さんが、CDであれ国内盤であれIポッドであれ「これ、いいから聴いてみてよ」という感じの集まりになっている・・・のも嬉しいことです。

bassclef

2019/05/04 URL 編集返信

No title
> 不二家 憩希さん
> bassclefさん
真っ正直なコメントをありがとうございます。自分の「宝物」は自分だけのものにしておきたい、でも、分かる人には聞いていただきたい…どちらも本当の気持ちですよね。
「堅苦しくない程度の啓蒙的な雰囲気」かあ。なんと返答すればよいものか(笑
それというのも、明さんがそれぞれ違うお互いの好みやこだわりに、寛容な心をお持ちだからでしょう。
できるだけ続けていきたいと思っています。

yositaka

2019/05/04 URL 編集返信

コメント投稿
非公開コメント

プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

ご訪問ありがとうございます

月別アーカイブ

検索フォーム

QRコード

QR