ネコパパ、クレデンザを聴く

4月某日。
縁あって、蓄音機好きの不良老年4人、
某個人所蔵の、貴重なピクトローラ蓄音機を聴かせていただく機会がありました。
訪問メンバーは、井上マスター、チャランさん、ネコパパ、それに中古レコード店のオーナーであるRさんです。

広いリスニングルームには年季の入った大型蓄音器が…
それも2台。
一台は手巻き式。型番はVV8-12。






もう一台は、ターンテーブルのみ電動モーターが組み込まれた方式です。
型番はVE8-30Xとありました。





どちらも1920年代中期以降の製品のようです。
ピクトローラ蓄音機と言えば「家が買える値段」で有名な「クレデンザ」があります。
この2台には噂に聞くその名称記載はありませんでしたが、のちにチャランさんが調査されたところによれば、当初は「Credenza」と銘板に刻印標記されていたものが、1926年中頃からVv(vE)8-30に変更されたとのこと。
…と、いうことは、VE8-30Xと記されたこの電動化された個体は、まさしく「クレデンザ」、それも1926年以降のものということになりますね。

一方のVV8-12は、井上さんによれば「セミ・クレデンザ」というやや小型の製品ということになります。

■あふれ出る妙音の調べ

2時間余り、じっくり拝聴させていただきました。

音盤はフリッツ・クライスラー「美しきロスマリン」、ミッシャ・エルマン「トルコ行進曲」(ピクトローラ片面盤)、エンリコ・カルーソー「私の太陽」、ルイ・アームストロング「セ・シ・ボン」、ヤッシャ・ハイフェッツ「ウォルトン:ヴァイオリン協奏曲」など…

どちらもしばらく使用されていなかったとのことで、特に古い方のVV8-12は、当初回転に不具合があったのですが、幸いにもまもなく復調。
聴いてみて驚いたのは、この二台、再生音のキャラクターがずいぶん違っていたことです。

手巻き式VV8-12の方がサイズは小さいにもかかわらず低音が豊かでふくよかな音が出ます。歌を聴くにはぴったりです。
一方、おそらくこちらの方があとの生産と思われるVE8-30Xは、高音の伸びが良く、艶のある響きを再生します。
特にクライスラーやエルマンのヴァイオリン・ソロに抜群の適性が聴き取れました。

架蔵のSP盤コレクションを見せていただいたり、
持参した盤を順に聴いているうちに、あっという間に時間が過ぎてしまいました。

それにしても、製造されて100年、焼失、破損の危機をいくたびも乗り越え、なお素敵な音を私たちに届けてくれるというのは、なんとも凄いことです。
だからこそこうして「縁」によって人を結び付ける力もある、ということなのでしょう。




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コメント

コメント(12)
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「ナイス!」です。(^^)

tan*oi*y*n

2019/04/23 URL 編集返信

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> tan*oi*y*nさん
ご愛読ありがとうございます。

yositaka

2019/04/23 URL 編集返信

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yositakaさん

こんばんは\(^o^)/ 物や人は浮き草の様に流れていつしか一番いいところに落ち着くのだそうです。蓄音機もSP盤も人もそんな感じがします。

2時間堪能された様で、、、良かったですね!!

私の友人でクレデンザを持っている人がいるのですが購入後 2~3回しか聴いてないそうで今も玄関の片隅で鎮座してます。(;^_^)

何時もナイス、ポチッ、コメありがとうございます。ではでは

Yさん

2019/04/23 URL 編集返信

No title
クレデンザは、聴き込むほどに2台の個性と実力が発揮されましたね。
VV8-12の完成した豊かな音色、VE8-30Xの伸びのある高音、オケも聴き込めば更に良くなると思われました。
私の反りの有るHMV D.B.5953 W.ウォルトンVn協奏曲 (Vn) J.ハイフェッツ シンシナティOr 指揮グーセンスの「ハイフェッツ」を聴かせて頂いた時は目の前で演奏している様で感激しました。

貴重な縦振動と横振動兼用のルミエール蓄音機 パテ ダイヤモンドもありましたね。
オーナ、お忙しいところ聴かして頂きありがとうございました。

チャラン

2019/04/23 URL 編集返信

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> Yさん
これまでの体験から考えると、蓄音機は使い込んで生きる機会のように思われます。なかなか面倒ですが、週一度くらいは再生するのがいいのかもしれません。
お友達のお宅に訪問するたびに「聞かせて!」とお願いするのもいいんじゃないでしょうか?

yositaka

2019/04/23 URL 編集返信

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> チャランさん
おっとディーリアスではなく、ウォルトンでしたか。珍しい盤です。オーケストラもソロもいいバランスで響いていましたね。

パテ ダイヤモンドは、不思議なかたちの振動版を持った蓄音機でしたね。昔の機会というのはえもいわれぬファンタジーがあります。

yositaka

2019/04/23 URL 編集返信

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こんばんは。Yさんのコメントで・・・<私の友人でクレデンザを持っている人がいるのですが購入後 2~3回しか聴いてないそうで今も玄関の片隅で鎮座してます。(;^_^)>・・・と書いていますが、この方、私の友人でもあるのですが、ご自宅に行ったことはありません。つい先日、Yさんからクレデンザの話を聞いたので、電話をしてみたら、同じようにほとんど聴いてはいないと言っていました。
今度、あそびに行くから聴かせて欲しいな~~~って言っておきました・・・
先日、Yさん宅で蓄音機の音を聴いてから、すっかり蓄音機の音にはまってしまいました。。。

HIROちゃん

2019/04/23 URL 編集返信

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> HIROちゃんさん
蓄音機は人と人との縁を生み出すというメリットがある一方で、自分自身もはまりやすいデメリット(?)もあります。
2017年までは全く関心もなかったネコパパが、それからたった2年で蓄音機二台とおよそ300枚のSP盤を架蔵するようになるとは、だれが想像したでしょう。HIROちゃんさんにもそろそろ病気の兆候が…

yositaka

2019/04/23 URL 編集返信

No title
日本のロックバンド・クロマニヨンズの双頭リーダーの一人でヴォーカリストの甲本ヒロトさんは、SPレコードのコレクターだそうです。蒐集品は戦前のブルースとエルヴィス・プレスリーの50年代の作品が多いそうです。
蓄音機も所有しているそうです。
甲本ヒロトさんは、解散したブルーハーツの中心メンバーでもありネコパパさんもご存知かなと思います。
SPでブルースやエルヴィスを聞いているなんて、相当なものだと思います。

不二家 憩希

2019/04/26 URL 編集返信

No title
VV8-12が、「イカン、イカン」と思いながら気になり調べたら
VV8-12 は、1927年からの製造で,1925年から導入した「オルソフォニック、ビクトローラ」(電気録音を再生するのにサウンドボックスやホーンの長さと形状を変更した。) でした。
VV8-12は、落ち着きのあるマホガニー仕上げなのでVE8-30Xより古いのかなと思いましたがシリアルナンバーをチェックしたら VV8-12 8300-22250 1928年製 VE8-30X 2500-22800 1926 年製でした。
機械も見た目で判断してはいけないですね。
銘板に登録商標と日本語になっていますが、家1軒分の蓄音機が日本では沢山売れたのですね。

チャラン

2019/04/26 URL 編集返信

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> 不二家 憩希さん
ブルースはよくわかりませんが、エルヴィスは名古屋蓄音機クラブにもコレクターがおられまして、蓄音機サロンでもSP盤を拝聴しました。
それは戦後のもので、材質もシェラック盤からビニール盤に変わり、音もずっと軽快になっていますが、やはりEPやLPとは違う、味わいのあるものでした。

yositaka

2019/04/27 URL 編集返信

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> チャランさん
写真上の色の濃いものの方が、データによれば製造年代は少し新しいようですね。品番のほかに製造番号も調べれば一層正確な年代がつかめるとわかってはいますが、膨大なネットの海からそこまで調べる気力はなかなか起きません。
チャランさんは根性ものです。
米国製のものにまで日本語の商標があったのは、売れる台数がけた外れに多かったためだと思われます。日本人のメディア機器への執着心は年季が入っているんです。

yositaka

2019/04/27 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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