2018年最後の蓄音機サロンは「懐かしの映画音楽」




早いもので、名古屋蓄音機クラブ主催の蓄音機サロンも今年は今回が最後です。
外は今年一番の冷え込みでしたが、蓄音機のぬくもりで暖を取ろうと、今回も大勢の皆様がギャラリーに集まりました。

内容は台風の影響で延び延びになっていた、井上マスター独演による映画音楽の夕べです。
会場にはSPだけでなく、秘蔵の映画関連書籍がずらりと展示され、マスターの映画愛が如実に感じられる雰囲気に満ちていました。

ハリー・ジェームズの「イースター・パレード」に乗って、開幕です…






前半は、西部劇からの音楽に重点を置いての選曲でした。
アメリカの歌手と日本の歌手の聴き比べもありました。
当時の日本人歌手ふたりは、アメリカのベテランと互角の勝負です。
1950年代の日本人歌手のレベルは随分と高かったことがわかります。

「シェーン」は、映画も音楽もたいへん有名で、日本では西部劇の代表作のように見られていますが、井さんによれば、正統派というよりも、家族愛を中心とした異色作とのこと。そういわれるとあの主題曲も確かに、勇猛というより抒情的で、内容にふさわしい曲調に聞こえてきます。


これと対局に位置するのか゛「OK牧場の決闘」で、これぞ、マスター一押しの本格西部劇。それだけに、アカデミー賞を取れるような作品ではなく、主演のバート・ランカスターもアメリカでは不遇で、のちヨーロッパに渡り、ヴィスコンティの大作に出演して名声を博することになります。

そして後半は、いろいろな意味で歴史に残る名画の数々から。
井上マスターの話では、今回のSP盤は音質・盤質の良いものを選んだけれど、国内盤も多いとのこと。1950年代中期から後期にかけての時期は、SP時代からLP時代への過渡期になります。その時期にこれだけの映画音楽がSPで出されていたというのは、考えてみればすごいことです。思えば当時映画は「娯楽の王様」と呼ばれる程の人気でしたから、レコードの需要も多かったということなのでしょう。

「バス停留所」はマリリン・モンローの主演作。
これにまつわるアメリカのコメディー映画についてのエピソードも面白く、彼女の主演作の中でもビリー・ワイルダーが監督した「お熱いのがお好き」をマスターがとりわけ気に入っており、アメリカのコメディ映画でもベストを争う一作とまで言われるのには驚きました。これはぜひ見なくちゃ…
そんなモンローの歌が聴ける一枚が「帰らざる河」。


シリアスな話題もありました。
この日のトリとなった「エデンの東」を監督したエリア・カザンは、50年代アメリカを席巻した「赤狩り」の渦中で、当局と司法取引したことで身を守り、政治姿勢を非難されることにもなります。
当時反骨を貫き偽名で活躍した脚本家ドルトン・トランボ(「ローマの休日」を偽名で執筆)と赤狩りの標的にされたウィリアム・ワイラーらハリウッド・テンの運命…このあたりはいずれ詳しく井上マスターから伺いたいところです。

トリの前には、プログラムには入っていなかった曲も加わりました。
クリスマスに因む名曲「ホワント・クリスマス」。
エルヴィス・プレスリーとビング・クロスビーの2バージョンで。



この素敵な歌、英語の歌詞でしか聞いたことがないのですが、作詞作曲をしたアーヴィング・バーリンの遺言で、訳詞で歌ってはいけないことになっているのだそうです。知らなかった!

トリです。







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コメント

コメント(6)
No title
テリーのテーマ、名曲だと思います。チャップリンは脚本 主演 監督 作曲全部自分でやって凄いです。カルベロを叱咤激励するなかで思わず立ち上がるところは感動しました。

koj*235**ummo*d

2018/12/18 URL 編集返信

No title
> koj*235**ummo*dさん
おはようございます。私もチャップリンは大ファンで「ライムライト」も「テリーのテーマ」思い出すだけで胸が熱くなるのを覚えます。彼の映画は演技はもちろん脚本、撮影、音楽のすべてに自分の表現が貫かれていて、昨今の映画には望めない個性がありますね。
「何でも自分でやる」といえば、日本のアニメ監督新海誠さんなんかがそうですが…

yositaka

2018/12/19 URL 編集返信

No title
SPのOST盤をEMGでじっくり聴かして頂き楽しかったです。
「テリーのテーマ」ヴィクター・ヤング楽団にヴィオリンの演奏が加わるとこんなにも情感が豊かになるのかと驚きました。

今回のSP盤は、音質・盤質の良いものを選んだそうですが、国内盤も輸入原盤を使用しているように新鮮に感じられました。

貰い損ねたエルビスの「ホワイト・クリスマス」作詞作曲をしたアーヴィング・バーリンの遺言で、訳詞で歌ってはいけないことになっているのだそうですが、私もオペラ・歌曲で発声・文法も異なる日本語訳歌にどんなに力量のある歌手が唄ってもどこか違和感を感じますのでバーリンさんの自分の曲を大事にしたい気持ちが分かる気がします。

マスターの映画にたいする愛情は、英語教育の教材に映画を取り上げ「先生が薦める英語学習のための特選映画100選」の編著者で折り紙付きですね。

チャラン

2018/12/20 URL 編集返信

No title
> チャランさん
「テリーのテーマ」はフランク・チャックスフィールド楽団のSP盤もあるようで、そちらはゴージャス感を抑えたしゃれた編曲でした。マスターはお持ちなのかな。

原盤の問題は複雑です。
例えばSP盤にもサウンドトラック盤がありますが、1950年代初頭までのトーキー映画はフィルムに音を焼き付けた光学録音だったので、それをどうやってレコード用のラッカー原盤にしたのか…まさかマイクで収録したなんてことはないでしょうが。

日本語訳詞によるものは、別の歌という感じがします。
歌詞の内容も相当変わっているのもありますし。

マスター井上の映画に対する知識は無尽蔵で、これまで聞かせていただいたのは氷山の一角という気がしますね。特に善し悪しの評価は、まったく独自の視点をお持ちなので聞いていて発見が多いです。未見の映画も見てみたくなります。

yositaka

2018/12/20 URL 編集返信

No title
スクリーンの表紙、オードリーと、リズ、ドリス デイはわかりますが、右下の額だけ見えている人は誰ですか?

koj*235**ummo*d

2018/12/20 URL 編集返信

No title
> koj*235**ummo*dさん
うーん、これはちょっとわかりませんねえ。1961年12月号なのはわかるんですが…もしかしてキム・ノヴァク?今度マスターに聞いておきます。

yositaka

2018/12/20 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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