ブルーノ・ワルターのBBC録音集

指揮者ブルーノ・ワルターの録音は、ほぼ出尽くしたかと思っていたが、
驚いたことに全曲未発表の録音を集めたCDが発売されるという。

以下HMVから引用。

ブルーノ・ワルター/秘蔵音源集 1955



英国音楽の録音を積極的に行い、知られざる作曲家の発掘にも貢献した「Lyrita Recorded Edition」レーベル創立者、リチャード・イッター[1928-2014]。
彼が当時最先端のプロ用機材を用い、1952年からエアチェックしていたというBBC放送の音源を集めた、貴重なコレクションからCD化するシリーズ第4弾。
ワルターが1955年5月にBBC交響楽団を振った一連のライヴが初登場します。
『ファウスト序曲』は1923年のスタジオ録音と1939年のNBC響とのライヴがありましたが、今回の録音は音質的にも解釈の深みの点でも歓迎されるものでしょう。
ハイドンの96番はワルターが好んだレパートリーで、1937年ウィーン・フィル、1954年ニューヨーク・フィルという2つのスタジオ録音のほか、やはり1954年のニューヨーク・フィルとのライヴがあり、さらに今回初めてリリースされるライヴの直前、1955年フランス国立放送管とのライヴも存在します。また『運命の歌』もワルターにはゆかりの深い作品で、1941年のニューヨーク・フィルとの録音があるほか、1960年に彼の最後の公開演奏が行われた翌日、ロサンジェルスにてコロムビア響との録音が行われています。
ワルターの振るマーラーの交響曲第1番には2つのスタジオ録音のほか複数のライヴが存在しますが、今回はゼーフリートと共演した「トランペットが美しく鳴り響くところ」と共に初登場するという点で貴重です。
ソースは磁気テープや、イッター氏が編集後録音し直したアセテート盤から取られており、入念にリマスタリングされ、50年代のエアチェックとしては非常に良い状態の音となっています。(輸入元情報)

【収録情報】
Disc1
1. マーラー:交響曲第1番ニ長調『巨人』
2. マーラー:トランペットが美しく鳴り響くところ(『子供の不思議な角笛』より)

Disc2
3. ワーグナー:ファウスト序曲
4. ハイドン:交響曲第96番ニ長調『奇跡』
5. ブラームス:運命の歌 Op.54

イルムガルト・ゼーフリート(ソプラノ:2)
BBC交響合唱団(5)
BBC交響楽団
ブルーノ・ワルター(指揮)

録音時期:1955年5月15日(1,3)、25日(5)、29日(2,4)
録音場所:ロンドンン、ロイヤル・フェスティヴァル・ホール
録音方式:モノラル(ライヴ)
全て初出

引用終わり。

■まだあるのでは

今回の発売では、音源がイッター氏によるエアチェックであることをはっきりと明かしているのが興味深い。1955年といえば、現役時代末期で、指揮者としての絶頂期とも言われる時期のもの。BBC交響楽団とはSP時代の1934年5月21日に3曲の録音を行っているだけだが、そのどれもが素晴らしい演奏だったので、音質は見当がつかないが、ファンとしては大いに興味をそそられる。




もっとも、この曲目が魅力的かと言われると、今ひとつだ。
モーツァルト、ベートーヴェンが含まれていない。ブラームスも、どうせなら交響曲が聴きたい。「巨人」「奇蹟」は、既に優秀な録音が世に出ていて、敢えてエアチェックを聴かなくても…と思う。
イルムガルト・ゼーフリートの歌った歌曲が、ぽつんと一曲あるのも妙。
そもそも3回分の演奏会のエアチェックならば、もっと多くの曲目が残されているはず。

そこで、いつもお世話になっているDANNOさんの浩瀚なブルーノ・ワルター・ホームページの「演奏会記録」を参照してみた。

1955/5/15 ロイヤル・フェスティバルホール
ワーグナー/「ファウスト」序曲
マーラー/「さすらう若人の歌」 フィッシャー・ディスカウ(Br)
マーラー/交響曲第1番「巨人」

1955/5/25 ロイヤル・アルバートホール
ブラームス/ハイドンの主題による変奏曲
ブラームス/「運命の歌」 BBC合唱協会
ブルックナー/交響曲第9番

1955/5/29 ロイヤル・アルバートホール
ハイドン/交響曲第96番「奇蹟」
モーツァルト/ミサ曲ハ短調より「人間となり給う」
マーラー/歌曲(詳細不明)
モーツァルト/レクイエム
イルムガルト・ゼーフリート(S)ノルマ・プロクター/リヒャルト・レヴィス/マリアン・ノヴァコフスキー  BBC合唱協会

演奏会はこんなプログラムで行われたようだ。
29日の「詳細不明」の一曲は「マーラー:トランペットが美しく鳴り響くところ」だったことが今回新たに判明。
CDに含まれていないのはどれも独唱者が入る曲である。ということは、ゼーフリート以外の歌手(その権利者)から発売許可を得られなかった可能性がある。
ちなみに同オケとの演奏会は、5月18日にも行われたようだ。
これだけ放送されなかったとは考えにくいので、さてはイッター氏、エアチェックに失敗したのかも?

1955/5/18 ロイヤル・フェスティバルホール
R・シュトラウス/交響詩「死と変容」
ヘンデル/12の合奏協奏曲op6より1番ト長調
ブラームス/交響曲第3番

こうして眺めてみると、贅沢な話だが、この5曲だけでは…どうせなら全部聴きたい、という気持ちが湧いてきてしまう。

さて、どうしよう。
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yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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