大名古屋クラシック

こんな変わったCDがあるんです。
昨年、蓄音機喫茶エヂソンの常連さんから教えていただいたものです。
以下、制作元ホームページから引用。




大名古屋クラシック


 
SP音源復刻レーベル"ぐらもくらぶ"の初となるクラシック集!

大名古屋の文化遺産はレコードにあり!
中部地方唯一のレコード会社アサヒ蓄音器商会が残した洋楽レコード群。
それは、芸どころ名古屋が音楽芸術の都でもあったことを伝える秘密の宝箱だった!
鈴木ヴァイオリンの鈴木三兄弟と作曲家・高木東六の共演。
洋楽黎明期に活躍した幻のピアニスト小林 礼。
ルモンド四重奏団と名フルート奏者・河村秀一の本格的な室内楽。
そして、東京フィルハーモニー管弦楽団の前身である中央交響楽団の歩み。
80年前の名古屋クラシック音楽シーンが今あざやかに甦る!!


監修・解説:毛利眞人
制作:ぐらもくらぶ 


収録曲(作曲者)/演奏:
1. ヴォルガの船唄(ロシア民謡) / 黒田進 (ten)・君島愛子 (pf)

2. 荒城の月(瀧廉太郎) / 高木東六(pf),鈴木喜久雄(vn.), 鈴木章(vla.), 鈴木二三雄(cello

3. 宵待草(多 忠亮) / ルモンド四重奏団

4. 旅愁(John P. Ordway / ルモンド四重奏団

5. 天使ガブリエル(James E. Stewart / ルモンド四重奏団

6. ガボット(Franz Joseph Haydn / ルモンド四重奏団

7. 水車(Joachim Raff / ルモンド四重奏団

8. アンダルーゼ(Emil Pessard / 河村秀一 (fl)・山盛清吉 (pf)

9. 幻想曲(Adolf Terschak / 河村秀一 (fl)・山盛清吉 (pf)

10. アヴェ・マリア(J. S. Bach - C. Gounod / 小亀桂二 (vn)・片桐 舜 (pf)

11. ユモレスク(Antonin Dvorak / 余語仁三郎 (vn)・山盛清吉 (pf)

12. ピアノソナタ No.14 嬰ハ短調 月光 (全楽章)Ludwig van Beethoven / 小林 礼 (pf)

13. 天使のセレナーデ Gaetano Braga/ 早川彌左衛門(cond) 中央交響管絃楽団

14. 「詩人と農夫」序曲 Franz von Suppe/ 早川彌左衛門(cond) 中央交響管絃楽団

15. 舞踊組曲「白鳥の湖」~第一情景(Pyotr Ilyich Tchaikovsky / 早川彌左衛門(cond) 中央交響管絃楽団

16. イタリー狂想曲(Pyotr Ilyich Tchaikovsky / 早川彌左衛門(cond) 中央交響管絃楽団

17. 組曲「アルルの女」~メヌエット(Georges Bizet / 早川彌左衛門(cond) 中央交響管絃楽団

18. 「ファウストの舞踊音楽」~フリイネの踊り(Charles Gounod / 早川彌左衛門(cond) 中央交響管絃楽団


これらのSP盤を制作したアサヒ蓄音機商会というのは、大正12年12月設立の「大和蓄音器商会」を前身として大正14年6月、同社の経営を引き継ぐ形で名古屋市東区大曽根に設立された規模の大きな会社だったそうです。
しかもこの会社、日本で最初に電気録音を始めたとのこと。
文化不毛の地と言われる名古屋ですが、大正時代に時代を先駆けたレコード会社が存在していたんですね。 戦争中の昭和18年まで活動していたようです。

「ツル」をメインに「アサヒ」「サロン」「サンデー」「シスター」「ルモンド」「スメラ」「エンゼル」「タイガー」「アヅマ」などたくさんのレーベルを使い分け、中国語盤や委託盤も多く手がけたようです。クラシックは「ルモンド」「センター」などのレーベルで出されていました。本CDに収録されているルモンド四重奏団は、レーベル名をつけた録音用の団体のようです。
「センター」のレーベルデザインなど、ビクター・レコード・ライブラリーのそれをそっくりパクっているというのも情けない。
















演奏はいかにも素朴なもの。全曲が収録された「月光ソナタ」などは、幻のピアニストなんて書かれてはいますが、後半の速い部分は指がもつれていて、ハラハラしてしまいます。




とくに貴重なのは早川彌左衛門指揮 中央交響管絃楽団の演奏でしょう。
宣伝文にもあるように東京フィルハーモニー交響楽団の前身ですが、実はさらにその前は、名古屋の老舗百貨店いとう呉服店(のちの松坂屋)が結成した、いとう呉服店少年音楽隊でした。
珍しい曲を演奏しているルモンド四重奏団も、おそらくはそのメンバーだったのでしょう。
デパートが地方文化の発信基地だった大正時代の息吹きが感じられるようです。




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コメント

コメント(6)
No title
指揮者の早川彌左衛門氏は、名古屋大学管弦楽団の前身名古屋医科大学管弦楽団の指導もされていたそうです。

初代音楽部長で名誉教授の勝沼精蔵氏は、名古屋市の音楽協会会長もされ「シャリアピン」「エルマン」「シゲチー」「コルト」などを招致されましたが、聴衆が途中で拍手したり「咳払い」と平気でやり、演奏中に会場に出入りしたりすることを厳禁する。注意をされたそうです。
名古屋大学交響楽団「10・20年の歩み」より

チャラン

2018/04/10 URL 編集返信

No title
鈴木兄弟による「荒城の月」が興味深いです。鈴木喜久雄氏は、鈴木バイオリン製造の創業者鈴木正吉氏の子で、鈴木メソッドの創設者鈴木鎮一氏の弟ですね。喜久雄氏は戦後木曽に鈴木バイオリン楽器を創業し、後の木曽鈴木バイオリンに繋がります。私は木曽鈴木バイオリン製のチェロを所有しているので、つい喜久雄氏の名前に目が行ってしまいました。
中央交響楽団のSPは1枚だけ持っていました。アサヒ蓄音機ではなくビクターに録音された「青きドナウ」で、指揮は橋本國彦です。
それにしても、このパクリレーベルは問題なかったのでしょうかね?

ポンちゃん

2018/04/11 URL 編集返信

No title
> チャランさん
早川彌左衛門氏は名古屋のクラシック音楽普及の功労者ですね。公会堂での演奏会にも尽力されたというと、ワインガルトナー指揮新交響楽団の演奏会にも関与していたかもしれません。当時「名古屋飛ばし」がなかったのは、こういう人物がいたからなのでしょう。

yositaka

2018/04/11 URL 編集返信

No title
> ポンちゃんさん
「荒城の月」はこの晩の中で最も録音が古いもので、1929年1月の録音とあります。10インチ盤の裏表に収録されたようで5分50秒。暗く沈んで淡々と流れる演奏で、いつ終わるのかと思うくらい長く感じます。言ってみれば、地区祭りでの老人クラブの発表といった気分。この淡々とした寂しさは続くルモンド四重奏団の演奏にも感じられるもので、まあこれが当時の地方都市の音楽だったのでしょう。

yositaka

2018/04/11 URL 編集返信

No title
これは名企画ですね。ちょっと覚悟してから聴いたせいかもしれませんが(笑)、リンクを貼っていただいた早川彌左衛門のスッペは案外しっかりした演奏だと思いました。1936年録音、弦のヴィブラートもハッキリ聴き取れますね。それにしてもこのパクリレーベルは大胆皮肉じゃなくてこれ自体が貴重な記録だと思います

Loree

2018/04/15 URL 編集返信

No title
> Loreeさん
この中では早川彌左衛門指揮の中央響の演奏がもっともクラシック音楽としてまとまっていると思います。電気録音を最初にやったと自称していますが、だったらレーベルにもプライドがほしかったですね。制作した「ぐらもくらぶ」は、ほかにも「大名古屋ジャズ」「へたジャズ」「幻の戦時童謡 」など、大変面白い企画物をいくつも出しています。どれも貴重な音源ばかりで、よくも発掘できるものだと感心します。

yositaka

2018/04/15 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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