角野栄子氏が国際アンデルセン賞を受賞

朗報です。
『魔女の宅急便』の角野栄子氏が国際アンデルセン賞を受賞されました。
まど みちお、上橋菜穂子に次ぐ日本人作家として3人目の受賞です。おめでとうございます!

以下、朝日新聞デジタルから引用。


「読書は生きていく力に」国際アンデルセン賞の角野さん

及川綾子
2018年3月27日20時49分










 児童文学のノーベル賞と言われる国際アンデルセン賞の作家賞に、「魔女の宅急便」が代表作の児童文学作家、角野栄子(かどのえいこ)さん(83)が選ばれた。日本人の作家賞受賞は3人目。角野さんは27日に記者会見し、「大好きなことをして、世界中で読んでもらい、認めてもらったことは大きな喜び」と語った。

 国際児童図書評議会(IBBY、本部スイス)が26日に発表した。国際アンデルセン賞は2年に1度、長年にわたり子どもの本に貢献してきた作家と画家に贈られる。

 今年の作家賞には33人が候補に挙がり、5人が最終候補に残った。角野さんの作品について、国際選考委員長のパトリシア・アルダナ氏は「言い尽くせないほどの思いやりと情熱がある。絵本でも物語でもいつでも驚きと魅力に満ち、読者に力を与えてくれる」と評価した。

 角野さんは会見で「読書によって積み重なった言葉は、人が生きていく上で力になる。人を引きつけたり、自分を表現したりできる」と強調した。さらに、読んで感動すると自分でも何かをつくり出したくなり、創造に結びつくとも述べた。

 歴代の受賞者には「長くつ下のピッピ」で知られるスウェーデンのアストリッド・リンドグレーンら角野さんが好きな作家も多く、「仲間に入れて欲しいという強い気持ちはあったので、本当にうれしい」と喜んだ。過去の日本人受賞者は、まど・みちおさんと上橋菜穂子さん。

 授与式は、8月にアテネで開かれるIBBYの世界大会で行われる。(及川綾子)

 記者会見での主なやりとりは次の通り。

 ――「まさに私が常日頃思っていたことを評価していただいた」と言っているが、具体的には。

 「昔、私の娘が、ラジオをさげてそこから音符が噴き出ている魔女の絵を描きました。主人公を当時の娘と同じ12、13歳に設定し、子どもと大人の間の年齢で揺れ動きを抱えている子がたった一つ持つ魔法で空を飛んでいくのが『魔女の宅急便』。選考で、少女の気持ちがとらえられていると言ってもらったのが、とてもうれしい」

 ――選考委員長は「物語が深く日本に根ざしている」と。

 「深川の生まれで江戸っ子。歌舞伎や講談、無声映画が好きな下町生まれの父に色んな話をジェスチャー付きでしてもらいました。そういう言葉が体の中に入っていて、自然に出てきちゃうんじゃないかと思います。自分の言葉を持つというのは、この世界をとても広くしてくれる」

 ――『トンネルの森 1945』などは、戦争と平和ということについて書いている。

 「終始一貫、平和を願っております。戦争で自由でない世界を体感している。後追いの平和論や偏った主義主張は書きたくなかった。終戦を10歳で経験した少女の私の目を通し、そのまなざしから絶対離れることなく書いてみようと思ってやっと書けた作品です」

 ――これからどんな作品を。

 「『トンネルの森』は終戦で話が終わっている。少女がどうやって戦後を暮らしたか、続きの物語を書いてみたら落差が際立って面白くなるんじゃないか」

 ――子どもに伝えたいことは。

 「それをストレートに書いたり言ったりしてしまったら、読む自由を奪う。言葉を、風景の中に溶かし込みたい。読書は勉強でもなく、強制されるものでもない。私が書いたものでも、読んだ時からその方の物語に変わり、読んだ人の力と相まって広がっていくのが物語の素晴らしいところです」

引用終わり。

■個を大切にする児童文学

私が初めて角野さんの作品に触れて心惹かれたのは『わたしのママはしずかさん』でした。新刊で出ていたのを直感的に「これよさそう」と思って買い、一気に読んだのが1980年で、以降、ほとんどの作品をリアルタイムで読んできましたから、長いお付き合いになります。
近作の『トンネルの森1945』を拝読したのが、つい先日のこと。
この作品は、一言で言うなら、「戦争中、父親とはなれ、継母とふたりで疎開生活をおくる少女の物語」ということになるのでしょうが、角野さんの筆致にかかれば、そこから連想されるような「湿っぽく、暗い」物語には決してなりません。
それはなぜか。
角野さんは、イコという主人公を「当時の子どもの典型」とか「代表者」としては描かず、
「この世にただひとりの個人」「他の誰でもない、彼女だけの人生を生きる人」として描いているからだと思います。
そしてそのことは、本書だけでなく、絵本にも、幼年童話にも、ノンフィクションにも、全ての角野作品から感じられることです。
「華のある文体」で描かれた、おしゃれで生活感にあふれ、軽やかに展開する物語の中に、「あくまで自分を手放さない、ほかの誰でもない個人を描こうとする」頑固さがある。
私はそこに「児童書」と「児童文学」の分かれ目を考えるヒントがあるようにも思います。
もうひとつ嬉しいのは、これまでに受賞したお二人に比べて、角野さんは「児童文学の本道」を歩む作家であり、絵本のテクストや、小学校低学年から中学年向きの作品を数多く書かれていること。
このことは一人の作家の評価を超えて、渡る日本児童文学の各ジャンル、各グレードにひとつの評価の基準が生まれたことも意味します。

■おすすめの作品

ネコパパの特に印象に残っている作品から、アトランダムに。
























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コメント

コメント(11)
No title
角野氏には失礼かもしれませんが、
「アニメの魔女の宅急便の原作者だよ」
と、ヒトコト加えると、彼女の作品に
子供たちが興味を示します。
アニメの力を借りるのは、
ちよっと悔しい気もしますが、
でも、それで子供たちが手に取って読むのなら、
それも読書の「キッカケ」だと^^;)

ユキ

2018/04/03 URL 編集返信

No title
> ユキさん
同感です。アニメと児童文学は全く違った作品で、それぞれの魅力を持っていますが、興味関心を引き出す方法は何でもアリです。「ラストラン」も漫画化されているようですし、アニメ化も期待できるかもしれません。

yositaka

2018/04/03 URL 編集返信

No title
うちの子ははサラダで元気(雑誌こどものとも)で育ちました。

シュレーゲル雨蛙

2018/04/03 URL 編集返信

No title
> シュレーゲル雨蛙さん
これ、小学校1年生の教科書にも載っています。
けれど、それは絵本版とはレイアウトが全く違っているのが難点です。ネコパパに言わせれば「これは偽物」と言いたいくらいです。でも、教科書ではこの手の「改竄」はお茶の子さいさいです。
官庁とはみんなそうしたもの。

yositaka

2018/04/03 URL 編集返信

No title
少しの間、ブログを休んでいました・・・
「魔女の宅急便」の原作者だったのですね~~~全くの無知で・・・
少し調べたら、楽しそうな作品がたくさんありますね。

HIROちゃん

2018/04/04 URL 編集返信

No title
> yositakaさん
昨年、あるところで『おおきなかぶ』を絵本と教科書とでどのように絵がことなるかを学生を使って、同時に読み聞かせをする形で、ご披露したことがありました。ほんとうに改竄なんですね。

シュレーゲル雨蛙

2018/04/04 URL 編集返信

No title
> シュレーゲル雨蛙さん
志のある出版社、本気の絵本作家であれば、一冊の絵本をまるごと作品と考え、徹底的に考え尽くしているはずです。しかし教科書の編纂となると、すべてのこだわりを捨ててまで検定合格を目指す。一方、検定する側は創作と民話の区別もつかない連中で、この関係はなんとも不毛です。日本児童文学の礎を築いた評論家、鳥越信は、教科書は本ではないと断言していました。

yositaka

2018/04/04 URL 編集返信

No title
教科書では、作画(絵)家の名前は表記されず、冷遇か無視されるのですね。
絵(画)によっては、角野氏の想い・考えと異なって伝わるように思ええます。
戦前の唱歌のように作詞・作曲家が表記されないとクレームのつかない改竄のやり放題かな。

チャラン

2018/04/05 URL 編集返信

No title
息子の中学国語を見て、作者の履歴、新出漢字と用例、学習の手引き…単なる教材、とても作者が何を考えて訴えたいのかを考える教育ではないなと感じました。

チャラン

2018/04/05 URL 編集返信

No title
> チャランさん
画家軽視の問題は以前から指摘されていますが、今も変わっていません。絵本にとっては絵も文字と同じ重要性を持っているので、認識を改めて欲しいものです。概してこの国では「意味を表す記号」を軽視する傾向があると思いますが、その理由についても考えてみたいと思っています。

yositaka

2018/04/05 URL 編集返信

No title
> チャランさん
国語の指導内容は広範なので、ポイントを網羅するという意味では優れています。昔のような文学偏重も避けられているので、「作者が何を考えて訴えたいのか」にウエイトを置いた指導はごく一部にとどまっています。ただ、教科書は確かに大切な要素ですが、授業内容を最終的に決定するのは教師です。ふりまわされるのではなく、振り回し利用する力量が必要なのです。

yositaka

2018/04/05 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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