アナログレコードブームは本物?

ソニーが2018年春にアナログレコードの生産を再開するというニュースが報道されてから、にわかにこの分野への注目が集まっている。日本経済新聞でも、連続で取り上げている。経済効果への影響を勘案してのことだろう。その中から二つ、紹介したい。
一過性のブームでないとしたら、楽しいことだ。アナログレコード好きのネコパパにとっても嬉しい。
そもそも若い世代は、生まれた時からデジタル機器やネット環境に囲まれ、音楽を聴くには不自由しないし、選択範囲も広いはず。それでも、敢えて手入れが面倒、ノイズ発生、再生機器に出費の嵩むアナログレコードに向かおうとする根拠はなんだろうか。人間にはモノにこだわる遺伝子みたいなものがあるのかもしれない。
ところで、われら音盤愛好家の集い「秋の杜」が今年も信州白馬で開催された。
例年に比べて参加者は少なめ、レギュラーメンバーも高齢化が進んでいて、ちょっと寂しい。ここはひとつ「ブームの風」をぜひ期待したいのだが…

以下、引用。

レコードの魅力は「音質」48
編集委員 木村恭子
日本経済新聞 2017/7/20 2:00
 
国内外でアナログレコードの人気が高まっていることを受け、2018年春にはソニー・ミュージックエンタテインメント(SME、東京)がレコードの生産を再開する予定です。
今後、レコードを買いたいかどうかを電子版の読者にお聞きしたところ「はい」との回答が42.7%を占めました。

 
コンパクトディスク(CD)やインターネットの音楽配信が普及した現状でも「オリジナルがアナログの旧譜などはレコードで買いたい」(49歳、女性)との思いがあるほか、「レナード・バーンスタイン指揮のニューヨーク・フィルのショスタコーヴィチ交響曲5番(1959年録音)を再販してほしい」(69歳、男性)といった具体的な要望もありました。
 
また、「汚れをとったり、ホコリをとったり、手間がかかると愛着がわく」(62歳、男性)とのコメントもあった一方で、「いいえ」(36.1%)と答えた読者の中には「昔、ホコリによるノイズに苦労した経験から、もう使いたくない」(61歳、男性)とする正反対の反応も。
 
加えて「我々はギリギリレコードをリアルタイムで使ったことのある世代」と語る読者(40歳、男性)が「レコードは場所を取り保管場所に困るので、CDで十分です」と指摘するスペース問題をレコード購入のデメリットとして挙げる読者も少なくありませんでした。
 
「わからない・どちらともいえない」(21.2%)を選んだ読者(56歳、男性)は「好きなミュージシャンがアナログレコードを制作するなら興味がある。ただ、問題は昔に比べて生産量が少ないため、価格が高いことです」と、レコードの値段の高さを問題視していました。
 
デジタル全盛の時代にブームとなっているレコードの「魅力」については、「デジタルとは違う音質」が48.5%と読者から最も多くの支持を集めました。
その具体的な違いについては「少々ノイズがあったとしても、レコードの音の深みに勝るデジタル音源はないと思います」(31歳、男性)、「デジタルの刺すような鋭さがない」(71歳、男性)といった声が寄せられました。
 
また、次に多かったのは「デザイン性のあるジャケット」(16.4%)を選んだある読者(64歳)は「LPレコードアルバムは、ジャケットのデザイン効果も大きいと思います。音質は機器メーカー、LPレコードは結構デザインで買っていたような気がします。聴いている間、ジャケットを立て掛けていたりしたものです」と思い出深い様子です。
 
「懐かしさ」(13.9%)を挙げた読者は年齢の高い層が多く、「年をとってからは、若い頃の音楽さえ聴く機会が少なくなりましたが、今度ソニーで発売と聞き、思わず昔の音が聞ける!ぜひ買ってみたいと妻とも話しております」(74歳、男性)とのことです。
 
また、「その他」(2.6%)を選んだ読者からは、次のようなレコードの魅力が寄せられました。
 
「レコードは、音楽を聴くためにジャケットから盤を引き出し、ターンテーブルに乗せ、ホコリを取り、針を乗せるまで一連の『儀式』が必要。音楽を聞く行為を意識することになるのが魅力だと思う」(54歳、男性)
 
何か、ゆったりとした時間が流れている気分になりますね。




 
 
アナログレコード、若者に響く 好きな曲を手元に
20170909日日本経済新聞
 
アナログレコードが若者の間で人気を集めている。ネットの音楽配信サービスで聴いた曲の中からお気に入りをレコードで購入したり、おしゃれなジャケットを自宅に飾ったりして楽しんでいる。新譜が増えていることも若者の選択肢を広げている。レコードを取り出して針を落とす手間やアナログ特有の温かい音などが新鮮に感じられている面もあるようだ。音楽の多様な楽しみ方が広がっている。
 
「定額配信サービスで好みの曲があったから、レコードでも買いたいと思った」。8月下旬、北海道から訪れた男性会社員(28)は、HMVレコードショップ新宿アルタ(東京・新宿)の棚からレコードを手に取り、こう語った。集めたレコードは約300枚になるという。
 
音楽フェスからの帰り道に立ち寄った女性(28)は「CDはパソコンに音源を取り込んでしまうと、棚にしまってそのままになる。レコードは自宅でゆっくり聴きたいという気持ちにさせてくれる」と話す。このほど新しいプレーヤーを購入したといい、針の交換やレコードのホコリを取るといったメンテナンスの手間も楽しいという。
 
同店に並ぶレコードの7割はジャズやロックなどの中古品だが、Jポップなど邦楽の新譜も増えている。人気アイドルグループのAKB48や歌手のきゃりーぱみゅぱみゅなどもレコードを発売し、予約段階から販売が好調だったという。竹野智博店長は「中古品を買うのは4050代で、新譜は20代が中心だ」と語る。
 
レコードの所有には、好みのジャケットデザインを集める楽しみもある。
 
例えば、交流サイト(SNS)で話題になっている「レコード女子」。写真共有アプリ「インスタグラム」では、店頭に並ぶ派手なレコードのジャケットと一緒に写る若い女性が目立つ。音楽大手、ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)の水野道訓社長は「ジャケットのデザインはアーティストの世界観を反映させる表現の一つ」と指摘。CDよりサイズが大きいジャケットの方がSNSでも写真映えがするなど、デザインの良さが際立つというのだ。
 
ローソンHMVエンタテイメントは2014年から都内に専門店3店を展開し、タワーレコードも専門売り場を拡大。タワーレコード渋谷店(東京・渋谷)の16年のレコード売り上げは15年より5割増えた。16年のレコードの国内生産量は10年比約8倍の79万枚になった。需要増に対応し、ソニーは29年ぶりに国内生産の再開を決めた。
 
1990年代以降に生まれた「デジタルネーティブ世代」にとって、ストリーミング(逐次再生)や定額音楽配信サービスで音楽を聴くことが当たり前。一方、レコードやプレーヤーはすでに身近になく、レコードの存在そのものが新鮮に映る。SMEの水野社長は「手軽に聴けるデジタル楽曲に対する反動で、『好きな曲はモノとしても持っておきたい』という欲求が生まれてきている」とみる。(中藤玲、桜井芳野)



これは「秋の杜」オークションでネコパパが落札した、アンセルメ指揮のラヴェル「マ・メール・ロワ」の重量復刻盤。音質は良好で、ジャケットも魅力的です。
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コメント

コメント(6)
No title
アメリカや欧羅巴では、CDと一緒にLPも発売されています。
日本では、綾戸智恵さんが会員用に海外製作LPを出しています。(ローチケで1万円位)
手持ちのポール・マッカートニーとダイアナ・クラークは、片面3曲の2枚組でダイナミックレンジも広く、音質も良くSACDに勝るとも劣らないです。
新しくLPを発売される時は、悪戯に古い録音をLPにするのではなく新しい録音をLPにして頂きたい。
昨日、お土産を待ってレコード店に行ったらLONDON(キング)MP70アンセルメ指揮ドビッシーの「夜想曲」10”があり試聴「クリーニングしたら消えそうなノイズ」なので「いくらですか」「あなたならあげる」と頂いてきました。
古い国内盤でも手入れすれば十分聴けるのに・・・人気が無いのですね。

チャラン

2017/10/03 URL 編集返信

No title
> チャランさん
杜で拝聴したダイアナ・クラールは確かに素晴らしいもので、ジャケットの存在感とともに「持つ楽しさ」のある一枚でした。
あとは価格ですね。現在国内ではレコード制作可能な会社は東洋化成のみで、クラシックなどはかなり値の張る製品になっていましたが、ソニーが乗り出すとなると変わってくるかもしれません。新しいオリジナル盤の時代が到来する可能性もあります。
キングでは10インチ盤をMPと言っていました。イギリス原盤を使った音のいいものもあります。ただ、状態の良いものはなかなかありません。当時もっとも酷使されたのが10インチ盤だったのでしょう。

yositaka

2017/10/03 URL 編集返信

No title
我が家では、数多のLPが段ボール箱に詰められて押し入れの奥深くで眠っております。(さすがに条件の悪い屋根裏は避けました)
収納スペースが減るので、家人にはことあるごとに嫌味を言われておりますが、いまだに手放しことができず…
メディアではアナログ・ブームと喧伝しておりますが、どこまで長続きするかなと少々懐疑的なところもあります。
LP価格も、昔を思うと法外な値札が付いておりますし、オーディオ屋さんを覗くと、かつて使い慣れていたオルトフォンやシュアのカートリッジに至っては、とても手出しできないお値段になりました。

gustav_xxx_2003

2017/10/05 URL 編集返信

No title
> gustavさん
ブームがブームでなく定着するには、一般の人が手に取りやすいことだ第一。近頃は昔を思わせる格安のレコードプレーヤーが中古レコード店に積み上げるようにして売られていますが、それではCDやデータ音源に利便性でも音質でも勝てないでしょう。といって一部の富裕なマニア向け商売も限界です。堅実なミドルプライスの製品がどれだけ普及するか…でしょうね。
私も「家電オーディオ」一筋です。
グスタフさん、押し入れの宝物に今一度日の目を…

yositaka

2017/10/05 URL 編集返信

No title
(「女子」だからではなく、とまず注しておきます;;)「レコード女子」という言い方とCMのされ方から、これは‘気分による流行’と言えましょう。

激-狭部屋にて、盤の保管以前に機器すら置きがたい状態では、まずムリです^^。

西欧盤LPの抑制されつつ高情報のすばらしい音と、劣化したマスターにセンスの悪いカッティングばかり聴かされてきた国内盤。
後者は、廉価盤の殺風景なジャケも含め、‘もう御免’に近い感情を持っています。

> 堅実なミドルプライスの製品がどれだけ普及するか…
ポイントですね。
向こうの、NADのアンプや ProJectのプレーヤーのグレードが、日本では需要・評価が無に近いようです。

へうたむ

2017/10/05 URL 編集返信

No title
> へうたむさん
NADのアンプや ProJectのプレーヤー…アンプはわかりませんが、その社のプレーヤーは確かに価格・デザインとも魅力的ですね。その辺りを見習って、Y社あたりがいいものをつくってくれるといいですね。

‘気分による流行’…も悪くはないかも。日本人はそれによく反応します。
「激狭」といえば、80年代でしたか、JBLの大型スピーカー「4343」の日本での売れ行きにアメリカ本社が驚き「日本には映画館や劇場がそんなにあるのか」と思って視察したところ、みんな4畳半に置いていた…という話を思い出しました。今は昔の話です。

廉価国内盤…私は今も大切に聞いていますよ。さすがに新規中古購入はしませんが…なにしろ学生時代はそれしか買えませんでしたし、なによりも「多く聴く」ことが重要でした。廉価盤は私の耳の「育ての親」なのです。

yositaka

2017/10/06 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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