フェネルのアンダーソン名曲集

リロイ・アンダーソン名曲集~ワルツィング・キャット、ブルータンゴ




イーストマン・ロチェスター・ポップス・オーケストラ (1)~(14)
フェネル・オーケストラ(ロンドン・ポップス・オーケストラ)  (15)~(23)
指揮 フレデリック・フェネル
録音 1956 1958 1964
米マーキュリーCD  Mercury Living Presence Boxed Set2より

01.舞踏会の美女
02.馬と馬車
03.ワルツィング・キャット
04.ブルー・タンゴ
05.夏の空
06.ベルの歌
07.タイプライター
08.シンコペーテッド・クロック
09.ザ・ガール・イン・サテン
10.チャイナ・ドール
11.サラバンド
12.フィドル・ファドル
13.そり滑り
14.セレナータ
15.プロムナード
16.チキン・リール
17.ファントム・レジメント
18.ジャズ・レガート
19.ジャズ・ピチカート
20.プリンク・プレンク・プランク
21.スコットランドのブルー・ベル
22.春が来た
23.ジュピターの歌


前の記事で紹介した「アンダーソン&コーツ作品集」の姉妹編。
こちらはアンダーソンの曲だけを23曲収録している。

「舞踏会の美女」「ワルツィング・キャット」「タイプライター」「シンコペーテッド・クロック」などの、ネコパパの年代には良く知られた名曲ばかりだ。
「ワルツィング・キャット」など、ネコパパのテーマミュージックにして、ブログを開くと流れるようにしようか。いや、それは近頃下からせり上がってくる灰色の広告バナー以上に嫌われそうだ…
ほかにも「.ジャズ・レガート」「.ジャズ・ピチカート」など、ジャズの雰囲気を漂わせた曲があるのも、50年代末期のウェスト・コースト・ジャズの隆盛が思い浮かんできて面白い。

「.プリンク・プレンク・プランク」を聴くと、フェネルの演奏が、フィードラーや作曲者自身の指揮によるものとはかなり違うことに気づく。しなるフレーズ、強靭なリズムに加え、音圧が高く、細部まで緊張感が揺るがない。メロディーよりもフレーズ優先の、真摯な演奏である。
小品23曲というのは、組曲を柱にした「アンダーソン&コーツ作品集」にくらべるとややとりとめない気もするのだが、最後まで一気に聴けてしまうのは、そんなフェネルの演奏姿勢のせいかもしれない。

このアルバムを評価する島護氏は「シュニトケやペンデレツキと同列に語ることができる音楽」と書いていた。確かに「ライトクラシック」とか「軽音楽」という意識は、フェネルたちには無いようで、あたかも交響曲の一楽章と同じように、虚心かつ真剣にスコアに立ち向かっている。
「聴き手を楽しませよう」という意識もないのかもしれない。それが結果的に素敵に楽しめる音楽に仕上がっているのだから、音楽は不思議だ。

1950年代と1960年代、イギリスとアメリカでのセッション録音が混在。
これは「アンダーソン&コーツ作品集」と同様で、やはり音質のギャップが感じられないレコーディング技術の冴えも同じだ。
これは、もともと3枚のLPだったものを再編集して2枚のCDにしたものだろうか。では、ロンドンにおけるオーケストラ名が両CDで違っているのはなぜだろう。ひょっとしてもとは4枚だったとか?

収録時間いっぱいまで詰め込むサービスは、CD移行期によくやられた。
初期CDは高価だったので、こういう長時間収録で多少モトをとった気分にもなったものだ。でも、今の目で見ると、ちょっと無茶な編集と思う。
LPはひとつの作品。次はオリジナルの曲数、曲順でじっくり聴いてみたい。


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コメント

コメント(16)
No title
こんにちは。フレデリック・フェネルはブラスバンドをよく指揮される方と思うのですが、確か東京佼成ウィンドオーケストラの常任指揮者にもなっていたのですが・・現在でも東京佼成ウィンドオーケストラと関係を持っているのでしょうか? ブラスバンドの曲はあまり聴かないので・・よくわかりません。

HIROちゃん

2017/09/20 URL 編集返信

No title
これも持っています。聴くには楽しいですが、演奏は案外手ごわいです。「そり滑り」は二度ほど演奏に参加したことがあります。ポピュラーの語法を知らないとつまらない音楽になってしまいます。楽譜通りというわけにはゆかないのです。アンダーソンはボストン・ポップスの座付きアレンジャーでした。彼の名前を聞くとフィードラーを想起します。

SL-Mania

2017/09/20 URL 編集返信

No title
> HIROちゃんさんへ。そうです。吹奏楽の大家です。イーストマン=ロチェスター音楽学校の教官で、管弦楽と吹奏楽を指導していました。イーストマン・ウィンド・アンサンブルも組織して吹奏楽をこのマーキュリーにも入れています。彼らは卒業してオケのメンバーになった人も多いです。晩年は東京佼成ウィンドoで常任になっていましたが、他界しています。

SL-Mania

2017/09/20 URL 編集返信

No title
> HIROちゃんさん
このマーキュリー・ボックスにも、フェネルが吹奏楽を指揮したたくさんの録音が入っていて、聞いてみるとこれがとても素晴らしい。「聴く音楽」ではなく「競う音楽」じゃないか…という私の偏見を軽く打ち砕いてくれました。
ちなみに吹奏楽とブラスバンドはちょっと違うんです。木管楽器が入るのは吹奏楽なんですね。私もしっかり混同していました。

yositaka

2017/09/20 URL 編集返信

No title
> SL-Maniaさん
実際に演奏された方のコメントは説得力がありますね。フィードラーの同様なCDも持ってはいますが、どうも一枚全部聞く気になれません。一方フェネルは、一気に聞けます。そこに音楽の方向性の違いを感じるのです。
真摯な演奏だからといって、フェネルがポピュラーの語法を無視しているわけではなく、そこは巧みなバランス感覚で持ちこたえているということでしょうか。

yositaka

2017/09/20 URL 編集返信

No title
> SL-Maniaさん
エンターテインメント性といえば、島護さんが面白いことを書いていました。「タイプライター」で巧みにキーを操って「演奏」しているのはフェネル自身なのだそうです。また、「ワルツィング・キャット」での大きな犬の吠え声は、録音ではなく、楽員の口三味線とのこと。結構楽しみながらの演奏だったのでしょうね。

yositaka

2017/09/20 URL 編集返信

No title
> yositakaさん、フェネルさんは確か打楽器専門だったらしいですよ。リズムは正確でしょうね。トスカニーニの「パリのアメリカ人」でも正確なリズムの追及があったそうです。フィードラーよりもこちらの方を聴くことが多いです。

SL-Mania

2017/09/20 URL 編集返信

No title
> SL-Maniaさん
フェネルは7歳から打楽器を始め、10歳で自分のドラムセットを演奏していたそうです。トスカニーニとはどんな関係だったのでしょうか。トスカニーニの「ローマ三部作」セッションに同席していたとの記述がネットで見つかりましたが、アトが取れません。「パリのアメリカ人」の時にも同席して意見を?

yositaka

2017/09/20 URL 編集返信

No title
> yositakaさん、ちょっと書き方が悪かったようです。フェナルとトスカニーニの接触はなかったろうと思います。ただ、トスカニーニがジャズのテンポやリズムの刻みはかなり正確だったというエピソードを思い出したまでです。変に崩す指揮者が多い中でそういう演奏しているのは、フェネルの志向と似ているのではないかと思ったまでです。

SL-Mania

2017/09/20 URL 編集返信

No title
フェネルが、全盛期マーキュリー・レーベルに録音したものがCDになって手軽に聞けるようになりました。
それもLP二枚分が収録されていますから、なんとなく得した気分になれるのは貧乏性の表れですかね。

gustav_xxx_2003

2017/09/20 URL 編集返信

No title
> SL-Maniaさん
なるほど。たしかにフェネルの、きっちりとしつつ躍動するリズム感にはトスカニーニを想像させるものがあります。

yositaka

2017/09/21 URL 編集返信

No title
> gustavさん
選曲としてはよく考えられていて、余計なことを考えなければリーズナブルな編集と思います。でも、これを買う人はきっとヒストリカル録音病に罹っている人が多いでしょう。そんなマニアックな目で見ると、複数のセッションが混ざっているのがだんだんと気になってくるのかも。
近頃は逆にオリジナル重視で収録が少なく、かつ高価なものもよく見られます。購買層が高齢化しているのに合わせ、メーカーもマニア目線のリリースになっている。でもそれだと今度は高すぎるとか、勿体無いと思ってしまいます。
消費者はワガママなのです。

yositaka

2017/09/21 URL 編集返信

No title
東京佼成ウィンド・オーケストラのマーチが好きで手持ちのCDを調べたらキングレコードの「世界のマーチ・ベスト20」フレデリック・フェネル指揮がありました。
1984年9月埼玉県入間市市民会館での録音(演奏は歯切れがいいのですが、録音がクリヤ・・・で無いのが残念です。)
「フレデリック・フェネル指揮、リロイ・アンダーソンの音楽」LPは、タバコ屋さんで1枚みかけましたけどもう無いでしょう。

チャラン

2017/09/21 URL 編集返信

No title
> チャランさん
そうですか。意外なものが煙草屋さんに…
吹奏楽の録音というのは大変難しいそうです。ダイナミックレンジが広く、音圧もすごい。マーキュリーは60年も前に素晴らしい録音を、しかもワンポイント録音で成し遂げているのですから、神業みたいなもんですね。

yositaka

2017/09/21 URL 編集返信

No title
フレデリック・フェネルは、調べたら2004年に他界していたんですね。わかりませんでした。

HIROちゃん

2017/09/23 URL 編集返信

No title
> HIROちゃんさん
ライヴ演奏に触れることができなかったのは残念です。日本にも何度も来ていたのに、吹奏楽に対する認識がありませんでした。

yositaka

2017/09/24 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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