ワルターのブラームス

指揮者ブルーノ・ワルターの1940年代の貴重な放送録音が、またもYOUTUBEにアップされました。
どちらもブラームスです。

ひとつは、1944年にフィラデルフィア管弦楽団を指揮して演奏された「悲劇的序曲」と交響曲第2番

Walter conducts Brahms - Philhadelphia Orchestra - 1944 - Complete Concert
Live rec. February 12, 1944
Brahms: Tragic Overture op.81 - Symphony No. 2 op.73


もうひとつは1945年にニューヨーク・フィルを指揮した交響曲第4番

Brahms Symphony No. 4 op.98 - Bruno Walter - NYP - 1945
New York Philharmonic - May 6, 1945, Live recording.


フィラデルフィアとの演奏は、例によって国家から始まっています。

古い録音で、記録媒体(おそらく金属原盤)の劣化による音揺れや欠落も随所にあり、決して聴きやすいものではありませんが、それでも不思議なくらい、楽器のバランスやフレーズの強弱、各パートの絡みが伝わってきます。
明るく抜けの良いフィラデルフィア、厚みが有って重心の低いニューヨーク・フィル、オーケストラの響きの特徴も、両者を比較して聴くならば、聴きとることができるように思います。

そして…どちらの演奏にも共通しているのは、ワルターの力にあふれた情熱的な指揮ぶり。
晩年のステレオ盤しか知らない人がこれを聞いたら、驚くかもしれません。もちろん、彼独特の、歌の呼吸に一致したアゴーギクの妙はしっかりと聴きとることができます。

第二次大戦中のライヴ録音といえば、
クラシックファンにもっとも有名なのは、ベルリンとウィーンにおけるヴィルヘルム・フルトヴェングラーの指揮した一連の演奏ですが、
その最後のものは、単身スイスに亡命する直前にウィーンフィルを振った1945年1月29日のコンサートでした。
その時の曲目は、フランクの交響曲ニ短調と、ブラームスの交響曲第2番。
かつてベルリンでともに活動しながら、ユダヤ人であったために亡命を余儀なくされたワルターと、ドイツにとどまり演奏を続けたフルトヴェングラー。
敵味方にわかれた二人の命運が刻まれた二つのコンサートを奇しくも結びつけているのが、同じひとつの曲、ブラームスの第2交響曲でした。

ネコパパは、ブラームスという作曲家が、実はちょっと苦手なのですが、
曲単位で考えれば、この交響曲第2番と第4番は、とりわけ好きな曲と言えそうです。
そうなった理由は、きっとワルターのレコードを繰り返し聴いたからでしょう。
もちろんフルトヴェングラーも素晴らしいけれど、どちらかといえば彼は第1番、第3番の人という気がします。

ワルターはこの2曲の録音をいくつも残しています。
そのなかでも、私が特に愛聴している3枚をご紹介しましょう。
どれも、もう40年以上の付き合いになりますが、いまも聞くたびにまっさらな感動が蘇ってくるのです。
ワルター・ファンならずとも…と個人的には思いたいところですが、未聴の方は、ぜひお聴きになってみてください。

ブラームス 交響曲第2番



ニューヨーク・フィルハーモニック(モノラル)
1953年12月30日





フランス国立放送管弦楽団(モノラル)
1955年5月5日

ブラームス 交響曲第4番



コロムビア交響楽団(ステレオ)
1959年2月2.4.6.9.12.14日




関連記事
スポンサーサイト



コメント

コメント(4)
No title
何故か私は3枚全て持って居ますが、中でもNYPの2番は絶品だと思います。何度聴いても4楽章では血が滾って来るのを感じます。
コロンビアの4番は、只々懐かしく、郷愁をそそられます。ブラームス好きはこれを避けては通れないでしょう。

quontz

2017/06/11 URL 編集返信

No title
ワルターのブラームスはNYPとコロンビア響との第1~4番の全集も持っているほか1937年のVPOとの第1番を持っています。
今回アップされたYOUTUBEの2曲を聴きましたが、ずいぶん情熱的な演奏ですね。確かに驚きます。音の悪いのを忘れて聞き入ってしまいますね。
yositakaさんの愛聴盤フランス国立放送管弦楽団との第2番・・チョット聞いてみたいですね。カップリングされているモーツアルトの第38番は昔、日本コロンビアから出ていたLP(アイネ・クライネ・・とのカップリング)では持っているのですが・・・ブラームスは無しなので。。。

HIROちゃん

2017/06/11 URL 編集返信

No title
> quontzさん
ワルターの演奏はロマンティックと評されますが、しばしば滾るような情熱を聴かせるところも魅力です。ときには、オーケストラのアンサンブルを整えることもわすれるくらいに。これがまたファンには魅力なのです。
コロンビアとの4番は、アンサンブルの完成度を保ちつつ、内側には熱気をはらんでいる演奏で、晩年のステレオ録音の中でもとりわけ素晴らしいものと思います。

yositaka

2017/06/11 URL 編集返信

No title
> HIROちゃんさん
フランス国立放送管弦楽団との第2番は解釈自体はニューヨーク盤とほぼ同じですが、明るく洒脱なフランスのオーケストラの味が加わったもので、別の良さがあります。音の鮮度はニューヨーク盤以上かもしれません。
1955年録音なので、動画になっていないかと思ったのですが、どうも見当たりません。初出のLPが確か1980年の発売だったので、まだパプリックドメインになっていないと思われます。

yositaka

2017/06/11 URL 編集返信

コメント投稿
非公開コメント

プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

ご訪問ありがとうございます

月別アーカイブ

検索フォーム

QRコード

QR