初夏の日差しも強まる5月14日、SIGE君とコンサートに出かけました。
大府市楽友協会管弦楽団第41回定期演奏会
指揮 島野 泰史
プログラム
ウェーバー作曲
オベロン序曲
ブラームス作曲
ハイドンの主題による変奏曲
ブラームス作曲
交響曲第2番
アンコール曲
ヨハン・シュトラウス2世 ワルツ「春の声」
2017年5月14日(日)
午後1時30分開演 大府市勤労文化会館
ウェーバーの序曲とブラームスという非常に渋いプログラムです。
まずは「オベロン」序曲。
ホルンの活躍する曲だけにアマチュアオーケストラには厳しい曲ですが、冒頭の難所はきっちりと演奏できたものの、中盤はいささか不安定さが感じられたのは残念なところ。
指揮者の島野 泰史は巨漢で、悠々たる大振りの棒で、オーケストラから粒立ちのよい、明瞭な響きを引き出していました。
その解釈の特徴は次の変奏曲でいっそうはっきりと伝わってきました。ひとつの変奏が終わるとたっぷりと間をおいて次に。また、全体にとりつめなくつかみにくい楽想が、アクセントをくっきりとつけることで各ハートの見通しが良い。テンポも、それにふさわしくやや遅め。
レコードでは交響曲のあとなどによく収録されておなじみですが、実際の演奏会で取り上げられることは少ないのでは?正直、自分から進んで聞きたいと思う曲ではありません。
けれども今回は、すみずみまでじっくりと聴き通すこどできました。
これはこれで、独自の味わいを持った曲ではあるな、と感じることができました。
そしてこの日のメイン、第2交響曲。
これは多分、ブラームスの交響曲の中でもっとも頻繁に聴く曲です。
4曲中で好きな曲を挙げるとすれば、躊躇なくこの曲です。
理由は、ベートーヴェンの「田園」に最も近いこと。
それに、第1楽章と第2楽章だけを取ると、ブラームスの交響曲中最もスケールが豊かな曲と思えること。短いフィナーレも、ブラームス的な晦渋さがない。
大府市楽友協会管弦楽団の演奏は、前述の金管群の不調やチェロ・パートの線の細さがやや気になったとはいえ、島野 泰史の大づかみに曲を捉え、遅めのテンポでじっくり語っていく姿勢が曲にふさわしかったと感じます。
中でも第1楽章の後半は、ゆったりとした歩みの中にブラームスの内向きの叙情が胸に迫ってきて、よかった。
ただこの指揮者は、音楽に潜む感情のうねりやあふれる熱情を積極的に打ち出す人ではないようで、曲が盛り上がってくるところでも振り方を変えて煽ったり、抉ったりするところがあまりない。
このあたりは、往年の名指揮者たちの演奏を聞き慣れた耳には、あまりに平静すぎる気がしたのも確かです。
フィナーレでは、さすがに身振りも大きくして、盛り上がりを作っていましたが、この曲は他の楽章だって充分にドラマティックな音楽だと思うのですが…
アンコールはブラームスが熱烈に愛好したヨハン・シュトラウスの曲から「春の声」。
ウィーンで学んだ島野氏、得意なレパートリーでもあるのでしょう。生き生きとした演奏で、会場を湧かせていました。
それまでの不器用で謹厳実直な指揮ぶりが、一転してお茶目になるのも面白いと思いました。
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