ニャータのぼうし~もうひとりの「ばばばあちゃん」

ニャータのぼうし~ババばあちゃんのはなし



1979/09
絵本・子どもの世界
文: さとう わきこ
絵: 和歌山 静子
出版社: ポプラ社


これもテンコが大好きになった絵本の一冊。
「ばばばあちゃん」シリーズといえば、さとうわきこ描く、1987年刊行の一作目『いそがしいよる』をはじめとする、福音館の人気絵本です。



でもこれは
「ババばあちゃん」
絵もさとう氏本人ではなく、わかやましずこ。

1979年9月初版ですから、福音館のシリーズがはじまる8年前の作品になりますね。
でも、お話は「ばばばあちゃん」そのもの。

ゆきのひ。
押入れの中から、あかと、きいろと、みどりの毛糸玉をみつけたばあちゃんは、
ねこのニャータに帽子を毛糸で編んであげることにします。
大喜びのニャータ。




そこに、
かぜひきのくま、
しもやけのきつね、
おなかがいたいたぬき…
次々と、山の動物達がやってきて
毛糸はえりまき、てぶくろ、はらまきに変わっていってしまいます。

けいとの たまは くるくる まわり
ばあちゃんの あみぼうは チクチクうごく…

静かな時間の流れを刻むような、毛糸玉とばあちゃんの手の動き。
リフレーンの言葉がすてきです。

でも、それとは裏腹に、ニャータの表情はますます心配そうに…




小さくなっていく毛糸玉を、しっぽをかんでじいっと見つめているニャータ。
テクストでは、そんなねこの心情は、描写されません。
終わりごろになって「ねこは いまにも なきだしそう」のひとことが入るだけ。



テンコは、絵に含まれたメッセージをしっかり受け止めて、楽しんでいます。

もちろん、ババばあちゃんが困っている動物たちのために編み物をしているのは、ニャータにもよくわかっています。
ですから、決して文句はいいません。
ただ、じっと我慢しています。

そんな「心のおくの気持ち」が、絵だけの「語りかけ」で伝わってくる。
これこそ、絵本というメディアでしか不可能な表現です。
1979年の時点で、こんなテクストと絵のコラボレーションが実現していたのですね。
お見事!

もちろん、結末は、ばあちゃんの
「いいから まかしておおき」
のひとことで、最高の幸せが待っています。
ばばばあちゃんのやさしさと楽しい発想は、1987年以降の「本シリーズ」と少しも変わるところがありません。

絵本を閉じたあとの裏表紙の絵にも工夫があって、
そこから、話し手と聞き手がやりとりしながら、お話はまだ続いていきます。

この本、ネット検索では書影も見当たらず、
どうやら絶版が続いているようです。とても惜しい。
もう少しサイズを大きめにして復刊すれば、きっと大人気の絵本になるのでは…

関連記事
スポンサーサイト



コメント

コメント(0)
コメント投稿
非公開コメント

プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

ご訪問ありがとうございます

月別アーカイブ

検索フォーム

QRコード

QR