クリス・コナー聴き比べ

先だってシュレーゲル雨蛙さんから何枚かの興味深いCDRが送られてきました。
内容的に貴重なものもあって、ネコパパもしっかり聞かせていただいています。

さてそのなかに、ジャズ・ヴォーカルの名盤、クリス・コナーのベツレヘム盤『バードランドの子守唄』がありました。
「これは?」とみると、レーベル面にはクリス・コナーのポートレートではなく、カートリッジの写真が添付されています。




AT-3Mは、オーディオテクニカのモノラル用MM型カートリッジです。

■発電方式 MM型
■出力電圧 5mV/1kHz 5cm/sec
■針圧 1.0~3.5g(最適 2.5g)
■再生周波数帯域 20-21,000Hz±3dB
■チャンネルセパレーション 
■チャンネルバランス
■コンプライアンス 8×10-6cm/dyne
■負荷抵抗 50kΩ
■直流抵抗 450Ω 
■インピーダンス 1.8kΩ/1kHz
■針先 0.7mil 
■自重 9.0g
■交換針 AT-3MD(青ノブ)
■発売 1964年4月
■販売終了 1988年頃
■備考 垂直トラッキング角 30度

復刻に使用した機器が丁寧に記載されているところを見ると、手作業でLPから起こされた音源に違いありません。
そうか、これはきっと雨蛙さんが、オーディオ音痴で、カートリッジにも無頓着なネコパパを刺戟しようとして送ってこられたのだな…

じゃ、聞き比べをしなくちゃ…
しかしネコパパはこの名盤の、LPもCDも持っていなくて、
あるのはAmazonで購入したMP3データ音源①と、
海外サイトからダウンロードした、10インチ盤LPの復刻音源②だけ。

チャランさん架蔵の、両方の米オリジナルLPは聴かせていただいたことがあり、音質の鮮度に打ちのめされた経験はありますが…ネコパパ自身の手持ちは貧弱なんです。
こんなんで雨蛙盤③との比較に耐え得るのか、いささか心配です。
でもまあ、やってみましょう。

曲はこのアルバムでもっとも好きな一曲、「スプリング・イズ・ヒア」です。

まずは①。これは格安で販売されていたもので、どうも正規音源ではなく、LPから落とした、いわゆるパブリックドメイン盤らしい。



ピアノの前奏から音圧が高いが、音はつぶれ気味。
そこにクリスの声が大きくかぶります。息遣いが間近に感じられるような生々しい声ですが、どうもマスタリングでレベルを持ち上げた印象もあります。
「ラウドネス・ウォー」の一環でしょうか。
そのわりには、途中から入ってくるベースはぼんやりとしてよく聞き取れません。

次は②。
この盤は本来この10インチが先で、現在はポピュラーな12インチ盤は再編集されたものです。最初にラジオ番組風のアナウンスが入り、そのまま間をおかずに1曲目「アイ・ヒア・ミュージック」に入る粋な演出がされています。
「スプリング・イズ・ヒア」を最後にもってくる曲順もおしゃれです。




もとになったLPはあまりよい盤質ではないらしくて、スクラッチノイズも多いのですが、なかなか特徴のある音です。
①に比べると、色付けがない感じ。
ピアノも小ぶりで、粒立ちも明瞭。
クリスの声は、中高音寄りのAMラジオを思わせる感じに聞こえます。
チャランさん宅でオリジナル盤を聞いて鳥肌ものだった、ヴァースでの早口の部分のキレのよさは、この音源でも片鱗が伝わります。
ただ、わずかにピッチが高いのかもしれません。
その分、ベースは低音が利いておらず、ちょっとギターみたいです。

さていよいよ③
これはとても滑らかな音。
クリスの肌が、すべすべ、つやつやになった感じです。
伴奏は音像が小さく、ピアノと声のバランスも適度、
音に距離感が生まれて、ベースの輪郭も明瞭です。
そのぶん、①や②のような、ちょっとワイルドに迫ってくる感じは少ないのですが、自然で心地よい響きです。
雨蛙さんの盤起こしは大成功だと思いました。

この音の違いが、どの程度カートリッジAT-3Mや再生機器、あるいはもとになったLP盤の影響なのかはわかりません。
しかし同一音源でも、条件によってこれだけの違いが生じるというのは、たしかな事実です。
よい聴き比べの機会をいただいた、雨蛙さんに感謝します。

それにしても…やはりこのアルバムは素晴らしいですね。
これまでは「名盤」の評価に異論はないものの、個人的には、一枚のアルバムとしてはやや単調というか、「一色」な感じがして、全部を聴きとおすことはほとんどなかったのですが、それはどうも聴きが浅かったのかもしれません。



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コメント

コメント(2)
No title
これはまた。聴いてくださり、しかもご批評をくださりありがとうございます。私の盤は、国内盤のありふれたものです。聴き比べは、カートリッジです。我が家のステレオ用のとはまったく違うと思いました。モノーラル専用にすると、音が太くなるのです。それと、このシェル(グレースのストレート・アーム用)が重くって、ちょっと珍しいので、使ってみました。雰囲気を感じ取っていただけたようで嬉しいです。オリジナル盤とは、とてもとても、比較できるものではありません。楽しくてしているということです。ご諒解ねがいます。

シュレーゲル雨蛙

2017/04/03 URL 編集返信

No title
> シュレーゲル雨蛙さん
とても素晴らしい音源でした。愛聴させていただきます。
「モノーラル専用にすると、音が太くなる」と感じる経験は、何度もしています。となれば私もモノーラル再生を目指すべきか。
でも、そうなると、カートリッジの付け替えか、ダブルアームか、プレーヤーを分けるか、ということになります。
経済的負担や住居環境の見直しを乗り切って、実行に踏み切るのは、怠惰なネコパパにはハードルが高いです。
今後も、せいぜい愛好家のお宅で拝聴させていただこうと思っています。

yositaka

2017/04/03 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

ご訪問ありがとうございます

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