バロックの響きに心地よい睡魔が




バッハアンサンブル名古屋オーケストラ演奏会
■指揮 季善銘
■チェンバロ 椎名雄一郎
■3月22日
■熱田文化小劇場にて

指揮者の季善銘氏はバッハ・コレギウム・ジャパンの創設にかかわったひとり。
ピリオド楽器の演奏スタイルにも実績を持つ音楽家である。プログラムに書かれたあいさつ文からも、モダン奏法、ピリオド奏法の両方を生かした演奏を目指しているという。


-生命の躍動感あふれる生き生きとしたバロック音楽の世界に、ゆっくりとひたっていただくことができれば…


聴いての感想は、躍動感というよりも静謐感を強く感じる音楽、という印象。
最初のコレッリは予想していたよりも長い曲で、ついうとうととしてしまう。高齢者の多い会場の観客も、同じようだ。ゆったりとした曲想の部分は、そよぐ風のように心地よく、一方で早い部分になっても
あまり「躍動」はしない。
ヴィヴラートは少なめで、アクセントは、弱め。
聴きようによっては、「切れ」が少ない演奏。

前半では、リコーダー、フルート、ファゴットという三つの管楽器にコントラバスの加わった、テレマンが抜群の愉しさ。木管のフルートとソプラノリコーダーの綾なす響きは、高音ながら頭に響くというより、小鳥のさえずる森に包み込まれる感じ。
終楽章では、ポーランドの民族舞曲の躍動するリズムがあらわれる。思わずリズムを取りたくなる。

後半のバッハでは、椎名雄一郎氏のチェンバロが前面に。
バロックチェンバロだが、やや大型の楽器で、錦絵を思わせる橋と樹の絵柄。黒と金で彩られた優美というより幽玄な。サイズから感じられるとおり、会場いっぱいに満ちる音量を持っている。
チェンバロ協奏曲第五番へ短調。
短い曲だが、独特の悲哀感を持った名曲で、第2楽章「ラルゴ」はロマンティックな旋律で知られる。
ここではチェンバロのソロが、弦合奏のピチカートに伴われて、ゆったりと歌われていく。そして一番最後に、弦がいっせいにアルコとなり、長い和音を減衰させていく中にチェンバロがアルペッジョをかき鳴らす。この夕暮れのような瞬間は、最高の美しさ。速めのテンポで、装飾音も少なくストレートに弾き進めていく椎名氏のチェンバロだが、曲のよさがまっすぐに伝わってくる。
最後のヘンデルは、名曲と知りつつも、進んで耳にすることは少ない曲だ。CDで聴くと弦楽合奏の渋い、とりとめない曲に感じてしまう。私自身の聴きの姿勢にきっと問題があるのだろう。
しかし、ライブで接すると、これが二つのヴァイオリンとひとつのチェロの三者が、合奏部と対峙し、「協奏」している妙味がはっきりわかる。
「合奏協奏曲」とは「三重協奏曲」だったのだな。

日曜の昼下がり、小劇場といえど雰囲気豊かで響きのよいホールで、バロックの調べをゆったりと楽しむひとひき。

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yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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