ベルリン・フィルの大博打?

今朝、2017116日の朝日新聞にこんな広告が。
さすがに今回はベートーヴェンのときのような全面広告ではない。
でも、やっぱり珍しい。
 


ベルリン・フィルが主宰するオリジナルレーベル「ベルリン・フィル・レコーディングス」の製作したサイモン・ラトル指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団による「ブラームス交響曲全集」の広告である。
ダイレクトカッティングによるLP
ブラームスの生年にちなみ、全世界1,833セットの限定販売で、日本向けは500セット。6枚組、価格は89,000円(税抜)…



演奏は20149月にベルリン・フィルハーモニーの第4スタジオで行われた。
ゲネプロと2回の演奏会から、最も良いテイク(=ラッカー盤)を楽章ごとに選択したものらしい。「スタジオでのライヴ」というのは、少人数の聴衆を入れての公開録音なのかな。
録音現場にカッティングマシンを持ち込み、音をそのままラッカー盤に刻み込む方式。
70年代後半にオーディオファイル仕様として行われたこともあるが、要するにテープ録音開発以前の電気録音SPと同じ録音方法である。
 
録音スタッフはエミール・ベルリナー・スタジオ。
マイクはゼンハイザーMKH800Twinのワンポイント収録で、カッティングマシンはノイマンVMS-80




ラトルとベルリン・フィルは、確か2008年にブラームスの交響曲全集を録音していたはず(EMI)。
ネコパパは聴いていないが、評判はよかったと記憶している。
今度は8年置いての再録音だから、演奏の違いに興味が湧く。

しかしそれを確かめるには89,000円(税抜)の出費が必要だ。しかも製作枚数の3割が日本向け。
ううーん。
なんとなくだけれど、これは昭和初期、1930年代の、SP全盛期のクラシック盤売り上げのシェアであり、レコード購入の金銭感覚の復活のような…
ネコパパの頭には、廉価盤一枚買うにも何週間、何ヶ月も逡巡していた、40何年か前の記憶がよみがえってくる。
当時の2000円は今でいうと10000円くらいに感じていたから、6枚で10万円は、かなり近い。

音楽は贅沢品だ。
演奏者の育成から団体運営、会場にかかる費用に楽器代。
レコーディングが儲かる商売だった時代は過去となり、1回目の全集を録音したEMIもつぶれ、今回のものは楽団の自主制作で、これを助成する企業もあまりないらしい。
この企画、ベルリン・フィルの起死回生の大博打の匂いがする。

「在庫わずか」とあるが、この時点で広告を打つのは、思いのほか「売れ残っている」からではないだろうか。
売れるのかな。売れるといいけれど。
でも、買う人は、絶対音楽愛好家ではない。
ネコパパも買わない。8.900円なら、ちょっとだけ、考えるかもしれない。

いいのかなあ、これで。


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コメント

コメント(8)
No title
これは通販各社でも告知されていますが、価格及び物理的な理由でパスですね。演奏はたぶん素晴らしいとは思います。

SL-Mania

2017/01/16 URL 編集返信

No title
> SL-Maniaさん
CDを別に出してくれるといいんですがね。
でもそうすると、LPの商品価値が下がってしまうのかな。この情報化時代にこのような企画を立ち上げるのも冒険です。
ラトルの任期はもうすぐ終わるのですが、次期常任はレコーディング実績のないキリル・ペトレンコ。同様な企画が彼の指揮でもできるとはちょっと考えられません。一発企画ばかりで不安が募ります。

yositaka

2017/01/16 URL 編集返信

No title
1曲(1枚目A;第1楽章B;2楽章 2枚目A;3,4楽章)余裕で録音されているようですね。
シェフィールドのように音は、良いと思いますが 1.5枚で1万5千円これは、演奏会のチケット代より安いのか?
日本の輸入レコード会社のレコードブームに便乗した企画の臭いがしますね。現地ではいくらなんでしょうか・・・日本では、豪華で高いほど良く売れる

チャラン

2017/01/16 URL 編集返信

No title
> チャランさん
演奏会チケット以上ではなくても、それに迫る価格帯です。モノ自体は輸入品ですが、解説書はオリジナルと日本語版2冊なので、結構割高になっているでしょうね。でも、並行輸入はないと思います。
完売したあとはどうなるか。
なんとなく、プレミアはつかない気がするんですけど。

yositaka

2017/01/16 URL 編集返信

No title
あ、これ取り上げようと思って写真も用意していたのですが、先、越されました。ダイレクト・カッティングとは懐かしい。音楽ファンよりはオーディオ・マニア向け商品であることは確かなように思います。長岡鉄男は、ダイレクト・カッティングには批判的だったのでは、とか思い、本棚をかき回しているのですが、行き当たらず。レコーディングの妙は、ダイレクト云々ではなく音づくりできることにあると、多くのレコード制作のディレクターならばいうのではないでしょうか。多角的な販売戦略のひとつかと。

シュレーゲル雨蛙

2017/01/17 URL 編集返信

No title
> シュレーゲル雨蛙さん
長岡鉄男の評価はものによりけりのようで、一発録音だから演奏が慎重になりすぎると指摘したこともあったようです。
プレス数が限定されることを強調すれば、好事家の気を引くことはできましょうが、一人でも多くに聞いて欲しいはずの演奏者たちの思いとは、ズレがあるのではないでしょうか。完売したとしても、1,833セットですからね。

yositaka

2017/01/17 URL 編集返信

No title
今回、DGGのベーム/VPOのブラームス交響曲CD3枚組が、状態良好なものが5百~8百円で中古市場で容易に手にすることが出来るということは、クラシックCD市場は完全なデフレ下にあるようですね。
学生時代に遭遇したワルターVPOのGRシリーズだけでなく70年代初頭までのカラヤン盤を含めたアナログLPの音質、音響のポテンシャルは想像を絶するものがあることはわかっています。
あの時代のモノを引き出す力をもった福島章恭氏の如き機材が手中にあるのなら、かの9万、10万近くもするダイレクトカッティングLPを購入することに躊躇は無いと思います。

mae*a_h*210**922

2017/01/18 URL 編集返信

No title
> 老究さん
たしかに、音盤の潜在能力を引き出すような、すごい機材があれば、購入を考えるかもしれませんね。ただ、自分の希望的意見もありますが、機材かよく音が良ければ素晴らしい「音楽」が聞けるのか、といえば必ずしもそうではないと思います。
それと、引っかかるのは発売の姿勢。
SACDにしたり、しなかったり、3メディア抱き合わせ販売をしたと思えば今度はLPだけ…とまるで一貫しません。「何がしたいのか」わからない相手にちょっとお金は出しにくいのです。

yositaka

2017/01/18 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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