寒い国の、熱い音楽を愉しむコンサート

今年、おそらくは聴き納めのコンサート鑑賞に出かけました。
年の瀬も迫る中、寒風の凍みる夜のコンサートというのに、会場は大変な盛況。
8割以上の入りでした。びっくりしました。


名古屋市立大学管弦楽団第61回定期演奏会
日時2016年12月28日(水)  17時45分開場 18時30分開演
会場日本特殊陶業市民会館  フォレストホール 
客演指揮津 清仁
ピアノ水村 さおり




曲目チャイコフスキー スラヴ行進曲作品31
 ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番ハ短調作品18
 チャイコフスキー 交響曲第2番ハ短調作品17 (1872年原典版)
アンコール曲
   チャイコフスキー 歌劇「エフゲニ・オネーギン」からポロネーズ

初めて聞く団体ですが、技術レベルは高く、安定感があります。
最初の「スラヴ行進曲」、丁寧だけど、ちょっと固くなっているかな、と思いましたが、2曲目のラフマニノフではもうすっかりリラックスして、自信のある音に。

そのラフマニノフのソリスト、水村さんは、冒頭の和音をアルペッジョで、一つ一つ色を変えて弾きだすのを聞いて「これは個性的な人だな」と思いました。
彼女のピアノは弱めの音で、粘り気のある自在なフレージングを駆使するもの。
ラフマニノフというよりは、フランス近代の音楽を聞いている感じです。
激しいロマンティシズムも、強靭なフォルテも繰り出さず、ささやくような粒立ちで曲に迫ります。
一方、津さんの指揮は、骨組みのしっかりした、どの楽器も明確に音を出させていく行き方。
この曲がオーケストラ曲としても大規模で、手が込んだ力作であることが伝わってくるものでした。
スタイルとして対照的な両者の共演はスリリングで、
特に第1楽章はピアノが音量で負けている部分が多かったのですが、第2楽章はピアノの美感が生き、フィナーレでは両者押しつ押されつの展開に…

後半はチャイコフスキーの第2交響曲。
ウクライナ民謡を素材に用いているところから『ウクライナ』あるいは『小ロシア』というニックネームで呼ばれている曲です。(プログラム解説は、なぜかそれに触れていません)
演奏されることが珍しい曲の、しかも未出版の「初稿」を使用。意欲的な選曲です。

聞いてみると、「一から書き直した」という第1楽章も、馴染みのない曲ということもあって、抵抗なく聞けました。
短くまとまった第2、第3楽章に続く、民族的で勇猛なテーマをもったフィナーレが、やはりこの曲では最高の聴きもの。
演奏は、きりっとした速めのテンポを維持し、情に溺れず、緊張を緩ませないで一気加勢に進めていくものでした。
津さんらしい、音圧が高くキレのあるフレーズの奏で方は、いつもながら魅力的でした。

その棒にしっかりとついて行く名市大オケの演奏にも、拍手です。
原典版スコアから、自分たちで起したという執念のパート譜の力も手伝って、少しばかりの事故などものともせず、力演を聞かせていました。
ただ、大きな会場のせいもあるのでしょうが、
音量的にはいくぶん小さくまとまってしまった感がなくもありません。
最強音では、もっと全身から吹き上げるような思い切った音が出るのでは…という気がしまたことも事実です。

いずれにしても、寒い国の、熱い音楽を大いに楽しむことができました。
年末を飾るにふさわしいコンサートでした。

                     原典版フィナーレの音源がありました


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コメント

コメント(8)
No title
未知のものに挑戦するのは学生らしい心意気ですね。チャイコフスキーの第2番はたまに聴きますが、どんな音楽かあまり頭の中に残っていません。スラヴ行進曲は名作集にも収録されるぐらいポピュラーなものですが、少し前に旧ソ連時代の録音を聴いてみたら、通常とは違っていました。帝政ロシアの国歌が使われてますが、ソ連時代は演奏を禁じられていたようで、ソ連の国歌に差し替えられて演奏されていました。「1812年」大序曲も同様です。政治が介入して芸術を冒涜している様を垣間見た思いでした。

SL-Mania

2016/12/29 URL 編集返信

No title
> SL-Maniaさん
「1812年」と「スラヴ行進曲」は確かに曲想が似ていて国家も使用されていますが、そんな差し替えも行われていたのですね。人間にはそんなしょうもない部分があるということをしっかり覚えておくために、「ソ連バージョン」もときどき演奏されるべきかもしれません。

yositaka

2016/12/29 URL 編集返信

No title
チャイコフスキーの交響曲第2番は、私は全集でしか聞くことがありませんけれども、ロシア風味が色濃い曲であったように思います。
その交響曲をホットな音楽で聞かせてくれるバーンスタイン盤と、クールなカラヤン盤との対比が面白かった記憶があります。
私は聞いたことがない初稿版でアマチュア・オーケストラが挑戦するというあたり、かなり意欲的な団体ですね。

gustav_xxx_2003

2016/12/29 URL 編集返信

No title
こんにちは。チャイコフスキーの第2番をコンサートでとは・・・珍しいですね。聴いてはいますがどんな曲だったか、ほとんど記憶なしです。

実は、いわき市の友人に来年2月5日(日)のフェドセーエフ/NHK交響楽団の第6回N響いわき定演のチケット(S席)をゲットしていただき4人で出かける予定です。プログラムは全てロシアプログラムで今から楽しみです。 曲目はこれから良く調べます・・・

昨夜の地震は当地が震源地(茨城県高萩市)で震度6弱でゴ~っという地鳴り共に激しい縦揺れがズンズンと・・・緊急地震速報は揺れてから鳴りました。揺れの時間がそれほど長くなかったせいか大きな被害はありませんでしたが、市内の電柱の一部が傾いていますし、落石、土砂崩れなどがありました。私の家などは被害なしです。床のCDの山がぐちゃぐちゃになった程度です・・・・余震が続いていますが大丈夫です・・・・

HIROちゃん

2016/12/29 URL 編集返信

No title
> gustavさん
私も2番には親しみがありませんでしたが、フィナーレだけは印象に残っていました。音盤はやはりバーンスタインでした。もちろん改訂版ですが、全く別の内容という今回演奏の第1楽章を聞いても特に違和感はありません。団員たちの意欲は演奏にもプログラムにもよく現れていましたが、ほとんど譜面の異同の話ばかりの解説からは、肝心の「どういう音楽なのか」が伝わってこず、一般客にふさわしいとは思えませんでした。難しいものです。

yositaka

2016/12/29 URL 編集返信

No title
> HIROちゃんさん
チャイコフスキーの前期3曲の交響曲はどれもそんな感じがします。けれどもじっくり耳を傾けると、やはりこの作曲家らしい叙情がいたるところに感じられます。
フェドセーエフが聞けるとは羨ましい。
ソビエト時代から活躍した著名な指揮者たちで現在活躍しているのは彼とロジェストヴェンスキーくらいではないでしょうか。
突然の地震、しかも震度6。震災が続く中、随分な思いをされたことでしょう。
大きな被害はなかったとのことで、一安心ですが、今後も是非警戒怠り無ように…早く落ち着いてくれることを願うばかりです。

yositaka

2016/12/29 URL 編集返信

No title
yositakaさん

今年も何時もナイスありがとうございました。

クラシックはさっぱり分かりませんが音楽は大好きです。\(^o^)/

来年もよろしくお願い致します。


ではでは

Yさん

2016/12/30 URL 編集返信

No title
> Yさん
いつも楽しく読ませていただき、こちらこそ感謝です。インドア人間のため、Yさんの機動力と魔法のような職人の技には、いつも圧倒され、元気をもらっています。
クラシックも楽しいですすよ。来年はちょっと手を出して見られては?
来年もよろしくお願いします。

yositaka

2016/12/30 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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