運命三昧


3月某日
sige君が大学時代の後輩emo君と共にわが家を来訪。
emo君はジャズ暦長い人物である。来訪は二度目で、古くから顔なじみであったが、じっくりと時間をとって話すのは今回が初めて。
聞けば、娘の職とも関連の深い仕事を自営でされているとのこと。それにまつわるお話も興味深く聞かせていただいたが、この日の眼目は、ベートーヴェン。

emo君は先日、機会あってドイツの指揮者オットー・クレンペラー指揮のベートーヴェンの交響曲第五番を聴き、強く心引かれるものが、あった。
そこでsige君を通して、クレンペラー指揮の第五は他にもないか、と電話で私に問い合わせされたのである。

その演奏は、ベルリン・フィルを振ったものと言うのだが、私の記憶はあいまいであった。
-ベルリン・フィル?あったっけそんな演奏。

電話を切ったあと、棚を捜索してみると、あった。
1966年にフィルハーモニーで収録されたライヴで、テスタメントから出ていたのだ。2005年の発売で、古いものではない。
とすれば、あまり印象に残らなかったのだろうか。記憶老化が著しい。

ともあれ、これ以外の演奏を探し出してみると

フィルハーモニア管弦楽団 1959年スタジオ録音(EMI)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1968年ライヴ(テスタメント)
バイエルン放送交響楽団 1969年ライヴ(EMI)

の三つが。
これらは記憶も生々しい演奏ぞろいである。
機会を見つけてsige君に連絡したところ、先方も都合がついて来訪、といういきさつになった。

さて当日は、ひたすら『第五』が聴きたい、というemo君の要望で、聴いた聴いた。

前記3盤の中からバイエルン盤をまず聴き、

ブルーノ・ワルター指揮 コロンビア交響楽団 1958年
カール・ベーム指揮   ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1977年ライヴと1970年スタジオ録音
ウィルヘルム・フルトヴェングラー指揮 ベルリン・フイルハーモニー管弦楽団 1947年放送録音

を次々に。
また、その合間をぬってクレンペラーのマーラー『復活』とか、ドヴォルザークの『新世界』交響曲、ベーム指揮ロンドン交響楽団のブラームスの『第二交響曲』なども聴いた。

いやあ、この時代の演奏は、本当にどれも生き生きとしている。これでなくては、と思わせる。
最近の考えすぎの、新しさはあっても、どこかしら手からすり抜けてしまいそうな感じがまったくない。これは、単に聴き馴染んでいる、というだけなのか。

いずれも最近ご無沙汰になっているが、かつては私の胸を大いにときめかせ、また青春時代の感動の記憶をよみがえらせてくれる盤ばかりであった。
あまりの有名曲である『第五』だが、こうして何枚も続けても、聞き飽きるどころか、聴くたびに新しい。名曲と、改めて感じる。
特に、歌舞伎の見得を思わせる『意図された変幻自在』、次はこうなるとわかっていても、興奮を呼び起こすフルトヴェングラー、1947年盤の喚起力に、あらためて感服…

-これはロックだよ。

とemo君の一言。彼がクラシックの悪の道に踏み込む第一歩となりそうな、楽しい予感である。

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コメント

コメント(4)
No title
やあ、yositaka君。いやあ・・・sige君、emo君と「5番三昧」ですか。それだけ同じ曲を聴き続けられる~というのも、やっぱりクラシックでも指揮者・演奏者によって相当に違う感じになるんでしょうね。僕の方、クラシックはまだ入門以前ですが、気に入った曲のいろんなヴァージョン違いを聴く~というのも面白いかもしれませんね。今回、僕の知らなかったemo君の一面を教えてもらいました。
また皆で集まりたいですね(笑)

bassclef

2009/03/20 URL 編集返信

No title
コメントありがとう。
sige君から「emo君がクレンペラーの五番に…」という電話をもらったのがきっかけです。ずっと自分も聴いていなかったし、こういう機会があると、忘れていたものを真剣に聴き直すことになります。何人かで聴くというのも、おしゃべりしながらであるけれど、なぜか細部に耳がいき、新鮮に聴けます。大事ですね。こういう時間。
ぜひ集まりましょう。

yositaka

2009/03/21 URL 編集返信

No title
こんにちは、yoshitakaさん。「emo君」です。先日は、本当に充実した時間でした。ありがとうございました。
さて、今だに“ベト5/オットちゃんとBPO”には、はまり続けています。未開の地を爆走する蒸気機関車のような4楽章では、雄叫びをあげ,感涙にむせび、へとへとになっています。不思議なもので、他の指揮者ではこんなことはないのですが、オットちゃんだと、そうなってしまいます。
しかし、フルトヴェングラーのあれを聞かせていただいてから頭から離れず、“フルちゃん爆走蒸気機関車”にも再度乗車してみたい気持ちがだんだん強くなってきています。
また、おじゃまさせてください。お願いします。
では。

jac******

2009/03/22 URL 編集返信

No title
これはこれはemo君、初コメントをありがとう。
勝手にニックネームをつけてしまってすみません。
爆走蒸気機関車
まさにそれですね。
ぜひとも次々乗車してみてほしいです。
ほかにも大陸横断鉄道型から
各駅停車型まで、いろいろありますよ。
ご来訪、お待ちしています。これからもよろしく。

yositaka

2009/03/22 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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