聖堂に響く弦楽の調べ



3月某日
アヤママと修道院のコンサートに。
カトリック系の病院改築のチャリティーコンサート。この古めかしいチラシの絵柄と「聖堂に響く弦楽の音色」という言葉から、古いふるい木造建物を想像していたのだが、実際はさっぱりとした、古めではあるが近代建築の修道院であった。
しかし、背後に半円状に奥まった壁面の中央には抽象化された十字架が掲げられ、左にはマリア像が。館内を行き交うシスターたちの姿も、一種宗教的な空気を漂わせて悪くない。
ただし、聖堂は吹き抜けで、二回の廊下に面してもいるために、暖房の効率が悪い。
アヤママなど、花粉症気味の上に寒さも加わって居心地悪げである。

収容人員は200人入るかどうか。この日の聴衆は50人足らず。
チャリティーとしては寂しい入りなのが気の毒であった。

愛知芸術大学弦楽アンサンブルは、同大学弦楽科の教職員五名に、大学院生、学部生からなるアンサンブルである。ここの関係者とつながりが深いらしく、企画は5年目に入るということであった。

最初のモーツァルトの弦楽五重奏曲ト短調は、教授陣の演奏。
続くメンデルスゾーンの弦楽八重奏曲は院生・学部生のみ
最後のハイドンは教授・院生・学部生あわせて各パート4人ずつ16人と思いきや、コントラバスも加わっていた。するとチェロパートのみ3、パス1であったか。
最後にアンコールとして、伝ハイドンの「セレナード」が演奏された。
メンデルスゾーン、ハイドン。メモリアル・イヤーにちなんでの選曲。いずれもめったに演奏されない曲だ。モーツァルトのト短調の名曲だって、編成の都合もあってライブ演奏は少ないのではないか。
すばらしい演奏。堪能させられた。

当初不調で、ぐったり状態だったアヤママだったが、メンデルスゾーンからは復調。院生・学生の演奏の鮮やかさを大いに楽しんでいた様子。
なにしろ席は最前列で、演奏者は眼前だ。コンマス役を努める小ぶりだが凛とした若者のヴァイオリンから、50センチと離れてはいない。その音の鳴りきっていて気持ちのよいこと。地味な曲で、実演も少ないのだろうが。こんな素敵な曲だったのか。ことに第三楽章スケルツォからフィナーレにかけては、メンデルスゾーンの無二の個性が輝く。小刻みに飛び跳ねるリズムに、木漏れ日のピチカートがきらめく。あの「真夏の夜の夢」序曲冒頭の響きと同じだ。

アンサンブルのリーダーはおそらくもっともベテランと思われる天野武子教授なのだろう。
ハイドンではアンサンブルの中心に鎮座して堂々の「指揮」。
パブロ・カザルスの熱心な信奉者である天野さんの解釈は、現代奏法で豊かに音を鳴らし、幅広いクレシェンドを伴った歌わせ方といい、ゆったりとしたテンポといい、ロマンティックそのものだ。
聖堂で、ハイドンの弦楽四重奏曲を拡大編成で演奏するという発想そのものが、まさにカザルス的。敬虔さの中の豪快さ、磊落さ。
全3曲、曲想は大いに違うが、満ちあふれてる強靭さは同質だった。

今回は抜粋であったが、秋には芸術文化会館で全曲演奏の計画もあるという。オラトリオとあわせての演奏で、指揮はなんとゲルハルト・ボッセ!!
アヤママも大いに関心を持った様子。これは、行かなければ…。

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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