ペーター・マークのモーツァルト


モーツァルト 後期交響曲集
■ペーター・マーク指揮
■フィルハーモニア・フンガリカ
■1967~1968録音(推定)
■米VOX 3LP

交響曲第35番ニ長調「ハフナー」
交響曲第36番ハ長調「リンツ」
交響曲第38番ニ長調「プラーハ」
交響曲第39番変ホ長調
交響曲第40番ト短調
交響曲第41番ハ長調「ジュピター」

この録音が、こうしてボックスセットで揃っていたのには驚いた。
昔、日本コロンビアの廉価版で一部が出て、それっきりになっていた録音のはず。CD時代になってVOXのシリーズが大量に出たときも、確か含まれていなかった。

指揮者ペーター・マークのモーツァルトは、ヴェネツィアのパドヴァ・ヴェネト管弦楽団を振った晩年の録音(ARTS盤)が評判になり、私もその斬新で活力に満ちた演奏に強い印象を受けたものだ。
とにかく、全ての楽器の音が、フレーズが、意味を持って主張し、単に音を流している部分がない。
使い古した言い回しだが、いま、ここに湧き出てくる瑞々しい音楽の泉。

これらCD新録音は、1996年から97年にかけて録音されたもの。少人数の合奏で、このような活気あふれる音楽を生み出す要因は、もしやピリオド派の影響も、とも思ったが、この旧録音を聞いて、それは間違いとわかる。
マークの演奏は、その30年前から彼独自の、個性と躍動にみちた演奏だったのだ。
フレーズの突然の強調。鋭く切り込んだかと思えば、瞬時に弱音に切り替わる多彩さ。各楽器がいたるところで主役を交代し、存分に主張し、つぎに譲る巧みな呼吸。とても言葉が追いつかない音の彩りである。マークが譜面から読み取っている音楽の豊かさ、それを楽員に伝える技の練達さ。

ただし、録音はいささか不鮮明。随所に不自然なテープ編集の痕跡が見られ、聴き心地はよくない。貴重な音源なのに残念だ。
これがテープに記録された本来の品質なのか、知りたいところ。

ペーター・マークは、スイスの指揮者。1919年生まれ。フルトヴェングラー、アンセルメに指揮法を師事。1962年 初来日。2001年4月16日 イタリア北部のベロナでがんのため逝去。享年81才。
50年代後半にはデッカに数々の優秀録音を残し、当時から、モーツァルトとメンデルスゾーンの権威とされた。
しかし61年~62年には禅僧として修行生活をおくる。
以後はウィーン・フォルクスオーパーなど比較的地味なキャリアで通し、録音も激減。しかし、80年代後半から独ARTSにベートーヴェン、メンデルスゾーンの交響曲全集、モーツァルトの交響曲集などを次々に録音して私たちの目を見開かせた。

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yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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