この本は100万部売れる、か


この本は100万部売れる
■井狩春男
■光文社
■2002.10.30

というタイトルだが、これ自体は100万部売れてないのでは。現在絶版。
筆者は中規模取次店に努め、新刊ニュースを毎日出し続けた、「ベストセラーの目利き」書店員。

ベストセラーになる本は全てよい本。
作り手か売りたい部数に達したときがベストセラー。決して数が問題ではない。
しかし、売れる努力や工夫をしないまま世に出される本があまりに多い。それを何とかしたい…
それが筆者の思い。本を愛するだけでなく、本の流通をも愛する。これが井狩氏の立ち位置だ。


発行部数の桁数に関わらず、本がほしいと思っている、あるいはほしいと思っているはずだと出版者が考える読者に、ひとり残らずきちんと本を売ることができたら、たとえ小部数でもその本は売れたいい本、すなわちベストセラーと定義することができます。


そのうえで筆者は、本を真剣に売れるものにしようとしない出版事情を憤り、本書を出版したと見える。
「目次はおいしいレストランのメニュー」との言葉にふさわしく、この本の目次に掲げられた100のルールは魅力的だ。例示してみよう。


売れない本と売らない本は違うのです
同じ書店はこの世に一軒もありません
頼みもしないのにうってくれる人がいます
つくってから「どう売るか」ではもう遅い
「活字離れ」ではなく「購買離れ」なのです
文庫本より小さいサイズの本がベストセラーになったことはありません
薄い本が売れる
「身近」が最大のキーワード
サブタイトルは頼りになりません
タイトルだけでベストセラーにする
買いたい気持ちと装幀を一致させましょう
奥付のトリック
書店さんはパンストが好き
握手会はおいしい
よいドジョウ本悪いドジョウ本
手だれ編集者ベストテン
ベストセラー神話を検証①絵本をベストセラーにする


編集や本の販売に関わる人なら、ぜひ読んでみたいと思うのではないだろうか。私のような本好きの一読者にとっても、大変刺激的な一冊だ。

初めて知ったことがいくつもある。
たとえば、「増刷」について。
第○刷とあれば、当然その回数印刷されたと思っていたのだが、これは会社によってまったく「デタラメ、いいかげん」であり、重版するたびに数えるところと、大量に印刷して、部数ごとに刷数を決める。
たとえば一度の印刷で10刷としたりする。
逆にみんなが初版をほしがるとして、10万部超えても初版を続けるところもあるという。
へえ!

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Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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