作品より人が多い…ジブリの立体建造物展

豊田市美術館で行なわれている「ジブリの立体建造物展」に
アヤママと行ってきました。



ジブリ作品の大きな見所に鳴っている「建物」に着目した展覧会で、イメージボード、スケッチ、背景画や、建物を精密に再現したミニチュアなどが展示されていました。
 
日曜日だったので、ちょっと心配していたのですが、
行って見ると広い駐車場は満車、何とかごまかして車を止め、たどり着いた会場では、チケットは簡単に購入できたものの、
そこから入り口までが長蛇の列で…45分かかってやっと到達しました。
係の人に聞くと、15時の時点で響の入館者は1500名とのこと。
多い日は3000人を越える人出だったとのことでした。なら45分待ちくらい、幸運の内かもしれません。
 
さて、美術展の目玉は、建築家、藤森氏の監修によるジブリの建造物を精巧に再現したミニチュア模型です。
最大のものは高さ3メートルの「油屋」。
かなり巨大な模型で、近くに寄って見ても、実に細かいところまできっちりと再現されていました。




 
製作の意図は、専門家の目でジブリ作品の建物を分析し
「宮崎駿の絵の嘘を暴こう」
というものだったそうですが、実際に製作してみると、橋の下の鉄骨とか、窓が嵌まるようにデザインされた枠など、細部まで正確で、
到底不可能に思える「ハウルの動く城」さえも、建設可能な合理性を持っていると証明されたそうです。
 
会場の随所に配置されたパネルには、各建物の出典となった建築様式の特色がわかりやすく解説され、近代日本の建築史に触れる興味もありました。
 
『アルプスの少女ハイジ』のジオラマや、『崖の上のポニョ』で登場した童話風にデフォルメされた宗介の家や、『魔女の宅急便』のグーチョキパン店の模型、『天空の城ラピュタ』の鉱山エレベーター大空洞等、映画の場面を思い出しながら楽しむことができました。



 
しかし、なんといっても興味深かったのは、
作品制作に実際に使用された背景画や美術ボード、美術設定といった制作資料の数々でした。
展示効果たっぷりの建造物模型とは違い、これらは映画の画面よりもずっと小さいのですが、
実在、非実在を問わず、徹底したリアリズムで描かれた居住空間の数々は、圧倒的な技量にもあって、何とも言いようのない感動を呼び起こします。一つ一つをじっくり鑑賞しても、まったく飽きない完成度です。
特に印象に残ったのは『コクリコ坂から』のカルチェ・ラタン。



『耳をすませば』の公団住宅の一室。



『借り暮らしのアリエッティ』の床下の家など…



フアンタジーの世界の魅力はもとより、
実際に身近に存在する場所が「魅惑の空間」に見えてくるのも描くことの不思議さといいましょうか。

不思議といえば、これらのスケッチや背景画には、
描いた人の個人名が表示されていません。
また、壁面にそれが何段も重なって展示されているのも、鑑賞には窮屈でした。

ジブリの人々には、作品はあくまで「映像」で、これはそのための「素材」という意識があるのかもしれません。
しかし、何を持って「作品」とするのかは、受け手が決めることでもあります。
展覧会と銘打つ以上は、やはり「個々の作り手、描き手」が主役。
模型はあくまで参考展示で、本当に見るべきはこれら「唯一のタッチが刻印された作品」のように思ったのですが…
 
それにしても、会場の混雑と人いきれはかなりのものでした。
さすがのネコパパも、時間がたつにつれて疲労感が蓄積して、
最後の当たりは駆け足に…
やっとのことで会場を出て、アヤママと二人で出入り口付近で売られていたかき氷で喉を潤しました。

外は晴天、猛暑真っ盛りの8月の昼下がりです。
 
「ジブリ」の名でこれだけの人が集ってくると言う事実に圧倒されながらも、
これは、適度の観客が、ふらりと立ち寄って、じっくりと時間をかけ、絵も解説も丁寧に読みながら楽しむような「小さな展覧会」ではないのかな、という気がしてきました。
 
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コメント

コメント(2)
No title
ジブリは、いろんな形の展覧会を開催し、そこでのグッズ販売も盛況みたいですね。
商売上手という言われ方をすることがあるみたいですが、丁寧に作れば作るほど莫大なコストがかかるアニメ制作のためには、致し方ないかなと思っています。

それよりも、次々と成長してくる子どもたちが、かつてのディズニー作品を見てきたように、過去のジブリ作品も新しい観客を得て長く見てもらうためにも、こういう企画展はいいかもしれません。

gustav_xxx_2003

2016/08/22 URL 編集返信

No title
グスタフさん、映画はどうしてもキャラクター中心に見てしまうので、今回のようなキャラクター抜きの展覧会は新鮮に感じます。普段は見逃している細部の作りこみがリアリティやクオリティを支えていることが良くわかるからです。この細部が、制作年代を意識させない普遍性獲得の要因になっています。
アニメーションに限った話ではありませんが。

グッズ販売ですが、場所も狭く、品種ももうひとつ地味な印象です。
ただカタログは充実して読み応えがあり、その割に安価です。集客が期待できるメリットはこんなところに出ているのですね。

yositaka

2016/08/23 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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