地味地味メモリアル


中日新聞1月29日付に、「さあ、メモリアルイヤー■遺産 受け継ぎたい」と題した、次のような痛快な記事を発見。


2009年はゲオルグ・フリードリッヒ・ヘンデル(1685ー1847)没後二百五十年、フランツ・ヨーゼフ・ハイドン(1732-1809)没後二百年、フェリックス・メンデルスゾーン(1809ー1847)生誕二百年。バロック時代のヘンデル、古典派のハイドン、初期ロマン派のメンデルスゾーン。見事に時代を引き継いだ三人がそろって今年メモリアルイヤーを迎えました。


筆者は、指揮者の新田ユリさん。
しかしながら、これはなんと地味な三人だろう。
クラシックの大作曲家数あれど、もっとも経済効果の少ない名前ではないか。この三人のディスク大全集が出たとして、果たして売れるかな。
それぞれに、かめばかむほど味が出る音楽を生み出した人たちではあるけれど…

私の小中学校時代の記憶では、
ヘンデルなら、「ハレルヤ・コーラス」
それに、運動会の表彰式でだけかかった「見よ勇者は還る」
ハイドンなら「おもちゃの交響曲」。しかしこれはハイドンの真作ではなかった。通説ではモーツァルトの父レオポルドの作となっているのだが、近年これにも異論ありという。
メンデルスゾーンなら「ヴァイオリン協奏曲」。これは中学校の音楽室にあったダヴィッド・オイストラフの白黒写真をあしらった10インチ盤が懐かしい。
それ以降、この三人の音楽に十分親しみ、真価を聴き取ったかと言われると、自信がない。ディスクなら少なからずあるのだが。

この、新田ユリさんの文章が、おもしろい。
ヘンデルについては、十五行。バッハが「音楽の父」ならば、ヘンデルは「音楽の母」と呼ばれている云々。いやあ懐かしい紹介の仕方だなあ。
ハイドンについても、同じく十五行。「交響曲の父」で、ユーモアあふれるタイトル多く、「告別」交響曲は楽員への愛情あふれるメッセージ…うーん、これも昔ながらの古風な紹介だ。私が子どものころだって、こんなふうに紹介されたのだ。
それがメンデルスゾーンになると、
なんと三十四行。
生い立ち、銀行家で財成した家系、楽器を弾かず指揮する現代の指揮者のスタイルを確立した人、創作以外に過去の作曲家を盛んに紹介し、J・S・バッハの「マタイ受難曲」を蘇演。ゲーゼなど同時代の作曲家も支援する。メンデルスゾーンのちょっとした評伝になっている。
しかも、これだけの行数をついやしながら、作曲者としての特徴や作品にはまったく触れていない!

新田氏は、同業者の先達としてのメンデルスゾーンに大いに共感し、その業績をたたえる一文を書いたのだ。
三人のメモリアルイヤーを奉ずる記事に見せながら、内容はまぎれもない、指揮者の存在意義を語る一文。
その勝手気ままな論旨にはまさしく、指揮者の気質が見え隠れする。

愉快な記事だが、三人にはお気の毒といえよう…

関連記事
スポンサーサイト



コメント

コメント(0)
コメント投稿
非公開コメント

プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

ご訪問ありがとうございます

月別アーカイブ

検索フォーム

QRコード

QR