指揮者の戦略に満ちたファミリー・コンサート

初夏の日差しが強まる5月下旬、sige君の誘いで行ってきました。
ヴァイオリンのK君の参加するオーケストラの演奏会。
今回はアヤママも加わり、3人での鑑賞です。
会場の刈谷総合文化セーターアイリスホールは、開場前から長蛇の列の観客で、満員に近い盛況でした。
 


大府市楽友協会管弦楽団  in刈谷

2016/05/22() 13:30開演 13:00開場)
〔演奏曲目〕
チャイコフスキー作曲 幻想序曲『ロメオとジュリエット』
チャイコフスキー作曲 組曲『白鳥の湖』※
チャイコフスキー作曲 ヴァイオリン協奏曲 
指揮:津 清仁
独奏:荒井優利奈(ヴァイオリン)
※有穂バレエスタジオ
刈谷市総合文化センター 大ホール

1曲目の「ロメオとジュリエット」は、遅いテンポを崩さず、一点一画おろそかにしない風の楷書で描かれた演奏。
まずは小手調べ、というか、演奏しながら体温を整え、調子を上げていく津氏の戦略的な運びと感じました。

2曲目は、ステージ前方でのバレエも交えた、華やかな舞台に。指揮台はオーケストラのほぼ中心、客席から見ると管楽を背にして弦楽セクションを背後から指揮する珍しいスタイル。NHK交響楽団がロジャー・ノリントン指揮で協奏曲を演奏したときに似ています。
やはり思った通り、演奏は一転して色彩感と音圧を増し、華やかなものに変貌します。金管は一部不調を感じたものの、感興ゆたかで、特に「パ・ダクシオン」でのヴァイオリンとチェロのソロは聞きものでした。ソロ中心の部分でも、指揮者は奏者任せにせず、しっかりと振っていたのが印象的でした…
久々に実演に接する「白鳥の湖」、今回の選曲は、最近では珍しいオリジナルの組曲に「序曲」の前半を追加したもので、これだと終わりが何となく尻切れトンボのようで開放感がないのですが、実はこれも津氏の戦略だったことが、後で判明します。

後半はヴァイオリン協奏曲。
ソリストの新井さんは大学生ですが、すでにしっかりとした個性をもったヴァイオリニストと思いました。
冒頭からフレーズをひとつながりにし、早めのテンポで進む中、透明度の高いみずみずしい音があふれます。その流れのよさが全曲を一貫。
音の強弱に細かな注意が払われ、特に弱音に語らせる部分は雄弁でした。
曲の大きな特徴であるロシア的な土臭さを抑制し、フランス音楽のような洒脱さを生み出しているように感じられたのは、ネコパパには共感できるところでした。

アンコールには「お預け」を食ったかたちだった「白鳥の湖」終曲が演奏されました。
決して「付け足し」ではなく、演奏会の締めくくりにふさわしい雄大な音楽になっていました。
不思議なことに、コーダでソロを取るはずのハープがなく、代わりにタムタム(どら)が入っていました。どういうことかと思いながら聞き進むと、なんと、耳馴染んだものとは全く違うコーダがやってきたのです。タムタムの鳴り響く、野卑なくらいのリズムが沸き上がる終結部。
いやあ、驚きました。

実は「白鳥の湖」は初演が不調で、その後も改定に次ぐ改定が加えられ、出版譜もチャイコフスキー死後にやっと出たらしい。
楽譜も各種あり、それぞれに異同が多いとのこと。
これは推定ですが…
津氏は自筆譜に近い初期の稿を使ったのではないでしょうか。今度機会があったら、直接お尋ねするつもりです。



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コメント

コメント(4)
No title
ポスター写真を見ますと、アマチュア団体にしては随分人数が多いのにビックリしました。
名古屋は芸事に熱心な土地柄とは聞いておりましたが、ブログを拝見しておりますといくつものアマチュア・オーケストラがあるのには感心してしまいます。
県立の芸術大学を抱えていることも影響しているのでしょうか。
私の同級生が、かつてその芸術大学で教えていたものですから、ちょっとだけ親近感はあるんですよね。

コンサートも、なかなかに凝ったものであったようですね。

gustav_xxx_2003

2016/05/23 URL 編集返信

No title
グスタフさん、実際はかけもちエキストラの人が多いのです。おかげでいくつものアマオケにご招待いただいているわけです。
このオーケストラにも長く通っていますが、聴き始めの頃と比べ技術的にも著しい成長が感じられます。メンバーの努力もあるのでしょうが、それでも津氏のような求心力のある指揮者の下では、はっきりと音が変わります。「お化粧」がないためか、愕然とするくらい変化するのです。
それにしても今回のようなファミリーコンサートの場で、これだけ実験的な試みをされたのは、じつにアッパレでした。

yositaka

2016/05/23 URL 編集返信

No title
やはり、エキストラさんが多いのですね。どうしてもアマのオケ楽団だと楽器のバランスや技術的なことで、いわゆるトラ・・応援が入るようですね。時々、プロの演奏家が入った演奏会もありましたね。
聴いていると音が全然違うんです。。。

HIROちゃん

2016/05/23 URL 編集返信

No title
HIROちゃんさん、この日のメンバーは総勢85人でしたが、メンバー表にはエキストラと団員の区別はありませんでした。

yositaka

2016/05/23 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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