ブルーノ・ワルターのストックホルム・ライヴ、オリジナル原盤から復刻

ワルター・イン・ストックホルム



モーツァルト
交響曲第39番
セレナード第13番「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」
シューベルト
交響曲第9(8)番 ハ長調「ザ・グレート」

スウェーデン放送響(ロイヤル・ストックホルム・フイルハーモニー) <1950.9.8>

ブラームス
ドイツ・レクイエム
ケルスティン・リンドベルイ・トールリンド(ソプラノ),
ジョエル・ベルグルント(バリトン),
ロイヤル・ストックホルム・フィルおよび合唱団 <1950.9.13>

指揮 ブルーノ・ワルター

WEITBLICK SSS 0171/0173-2 (3CD)

 
ワルターのストックホルム・ライヴがCDで発売されたので入手した。75歳の指揮者がアムステルダム、ミュンヘン、ベルリン、ローマ、ストックホルムと精力的にヨーロッパのオーケストラを客演して回った1950年の記録の一つ。
2日間の演奏会のライヴ録音が3CDに収録されている。
1つは1950年9月8日の演奏会で,プログラムはモーツァルトの交響曲第39番,アイネ・クライネ・ナハトムジーク,シューベルトの交響曲第9(8)番「ザ・グレート」の3曲。
もう1つは,1950年9月13日の演奏会から,ブラームスの「ドイツ・レクイエム」

98日の分は、ワルター・ファンには以前からおなじみの音源で、1970年代にはフィリップスの国内盤LPが出ていたし、CD初期には伊ASディスクが、のちに正規盤として仏TAHRAが発売した。
一方、13日の分は、昔米ブルーノ・ワルター協会のLPが出ていたとのことだが、ネコパパは初めて聞くものである。
今回は放送局のオリジナル・マスターを使用したとのこと。
65年もの間、よく残っていたものだし、探し出すほうの熱意も凄いと思う。

とりあえず「ザ・グレート」を聞いてみた。
拍手開始j前のざわつく会場の様子からスタートし、指揮者の入場、拍手と続く。アセテート盤に記録されたものをそっくり転写しているらしい。いかにもファースト・マスターらしい音で、若干ノイズはあるものの、オンマイクで既出盤とは段違いの生々しさ。
1楽章の序奏から、隅々までワルターの解釈を徹底したもので、テンポは細やかによく動き、メロディーは思い切って歌われる。全曲、これ歌の洪水。
アンサンブルは決してよくないが、楽員皆がワルターの指揮で演奏するのがうれしくて仕方がないという様子で、生き生きとしている。
ワルターはこの曲、3種類のセッション録音を残しているけれど、表情が強く、指揮者のやりたいことが最もはっきり聞き取れるのは、このストックホルム盤かもしれない。
でも、完成度を気にしない一発勝負で、指揮者の音楽が前面に出た演奏になっているので「なんだ、こりゃ」と思う人も多いかもしれない。
なので…決して人にお薦めはしないけれど、大のワルター・ファンのネコパパには珍重すべき逸品になりそう。
3枚中2枚が架蔵盤と重複するし、価格もやや高い…それでちょっと躊躇したけれど、まあ、買ってよかった。他の曲も、じっくり拝聴したい。

今回のCDで面白いのはオーケストラ名の表記だ。
8日の分はスウェーデン放送交響楽団、13日はストックホルム・フィルと記されている。演奏会記録ではそうなっているそうだ。ところが、いつもお世話になっているDANNOさんのワルター・サイトによると、この二つは同一の団体。現在のスウェーデン放送交響楽団は60年代に新設された別オケとのことだ。どちらもストックホルム・フィルでいいんでしょう。

ちなみにこのオーケストラ、ノーベル賞受賞セレモニーでいつも演奏している、あの団体である。
 

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コメント

コメント(13)
No title
ブルーノ・ワルター協会のLPも結構、手許にあるのですが・・・
これらの音源は聴いたことがありません。
最近、取り出して聴くのは、ベートーヴェンとモーツアルトのコロンビア盤の交響曲ばかりですね~
モーツアルトの39番とブラームスはチョット聴いてみたいですね。

HIROちゃん

2016/01/20 URL 編集返信

No title
HIROちゃんさん、ワルター協会も日米あって、かつてはお互い重複しないように出していたとのことです。多くは正規音源でも発売されましたが、まだ若干未発売のものが残されていて、長年の宿題になっています。中でも三種類は残されているはずの「田園」が一つも聴けていないのが痛恨事です。でもそれは好事家の話…
このストックホルム盤も、そういうファンの喜ぶ一枚と思いますね。

yositaka

2016/01/20 URL 編集返信

No title
こんにちは、ご無沙汰しています。みっちです。

>8日の分はスウェーデン放送交響楽団、13日はストックホルム・フィル...この二つは同一の団体...

1950年当時、スウェーデンには、Stockholm Concert Society以外にRadioorkestern というオーケストラが存在したと思われます。

Stockholm Concert Societyは、その後のストックホルム・フィルです。
Radioorkesternはスウェーデン放送交響楽団の元です。

スウェーデンのデータベースを見ると(smdb.kb.se/catalog/id/002682647)、この日1950/9/8の20:30-22:15の放送のオケは、Radiotjänsts symfoniorkesterとなっています。

てなことで、このワルターのCDの2つのオーケストラが同一と断じるのは、少々早計なように思います。(汗)

mit*h_h*ga*e

2016/01/20 URL 編集返信

No title
みっちさん、ご指摘ありがとうございます。DANNOサイトの受け売りで書いてしまったので、これはまずいと思い、自分でも(安易ながら)ウィキ英語版を覗いてみました。
それによると…
>1902年に設立されたストックホルム・コンサート協会が源泉。オーケストラは、コンサートホールができた1926年に常設となった、スウェーデン放送は自社のオーケストラを持つ代わりに、同オーケストラを放送オケとして雇用した。1957年にストックホルム・フィルの名称となる。さらに、1992年にはロイヤルの呼称を取得、とありました。
この記述が正しいとすると、ストックホルム放送は「放送オケ」として「コンサート協会オーケストラ」をまるごと雇用したことになりますね。

yositaka

2016/01/20 URL 編集返信

No title
どうも、この話は色々錯綜しているようなんですよ。(笑)
名前が似てるし、それにスウェーデン語なので。(爆)

分かりやすいところで、ずばりスウェーデンのRadiotjänsts symfoniorkesterのホームページを見ますと、(sverigesradio.se/sida/artikel.aspx?programid=3988&artikel=4282767です)
2011年に創立75周年を祝っています。(笑)つまり、このオケは戦前からあるのです。それで来歴を見ると、当然ながらStockholm Concert Societyストックホルム・フィルの歴史(こちらは1902年創立でもっと古い)とは別物です。
1950年当時の首席指揮者を見ると、ストックホルム・フィルは、Carl Garaguly (1942–1953)、RadioorkesternはTor Mann (1939-1959)となっており、この2つのオーケストラは、別物であるという感じが強くいたします。

mit*h_h*ga*e

2016/01/20 URL 編集返信

No title
みっちさん、またも詳しいご報告ありがとうございます。
DANNOさんサイトの説明を今一度確認しました。Radiotjansts Symfoniorkester Stockholm と Stockholms Konsertforenings orkester が同一団体である理由はBIS CD421-424 というストックホルム・フィルのシベリウス歴史的演奏を集めた5枚組CDの解説中に説明があるようです。1937年から,Stockholm Philharmonic Orchestra の他,放送用にRadio Service Symphony Orchestra, Stockholm Radio Orchestra, Radio Light Orchestra の3つの名前を使っていて、現在のスウェーデン放送交響楽団は1965年設立で,別団体とのことです。

ストックホルム・フィルの公式サイトにそのあたりの説明がないので、難しいところですね。でも指揮者が違うのなら、別団体の可能もアリということですね。

yositaka

2016/01/20 URL 編集返信

No title
みっちさん、もうひとつ。
スウェーデン放送交響楽団は、みっちさんに出していただいたリンクサイトを読むと、1935年に結成されたダンス音楽などエンターテイメント方面の少人数の楽団として出発したとあります。
また、スウェーデン語のウィキを見ても、戦前から活躍していたいくつかのミュージカル、キャバレー、エンターテイメント方面の楽団を統合して1965年にスウェーデン放送交響楽団として結成された旨の記述がありました。
戦前からあったのはポピュラー系の小楽団だったようですので、クラシックオケとしての歴史は1965年からとしても間違いではない気がします。
問題はトール・セオドア・マンという指揮者。彼はストックホルム・コンサート協会のチェリスト出身で、放送バンドのリーダーも務めた人(ネット翻訳でそう読める)らしいですが、クラシック畑の人で、エーテボリ響の監督も務めたようです。
小編成バンドの指揮者、あるいはカール・フォン・ガラグリーと椅子を分けていたのか…ネット翻訳なので当てになりません。いやまったく錯綜しています。

yositaka

2016/01/20 URL 編集返信

No title
おはようございます。みっちです。

ネットの検索だけでは分からないことがはっきりしたので、上に挙げたスウェーデンのデータベースに問い合わせのメールを送りました。すると、すぐに返事が。(愉)

National Library of Sweden, Research Service, Audiovisual Mediaの担当者からの返事です。
それによると、
①Radiotjänsts symfoniorkesterは1967年にSveriges Radios Symfoniorkesterとなるまでは、常設のオケではなかった
②Radiotjänsts symfoniorkesterのメンバーは寄せ集めで、Stockholms konsertförenings orkesterのメンバーも多かった

(つづく)

mit*h_h*ga*e

2016/01/21 URL 編集返信

No title
(つづきです)

③Radio Service Symphony Orchestra, Stockholm Radio Orchestra, Radio Light Orchestra…等の別の名前で、Radiotjänsts symfoniorkesterやStockholms konsertförenings orkesterは活動したことがある

したがって、2つのオケは別の組織、しかしRadiotjänsts symfoniorkesterの中には、Stockholms konsertförenings orkesterのメンバーがかなりいた。
ということだそうです。

担当者の了解が得られれば、みっちのブログに回答を載せたいと思っています。

mit*h_h*ga*e

2016/01/21 URL 編集返信

No title
みっちさん、おはようございます。
迅速的確な検索!!外国のサイトにメールを送るのは、さすがに即断できません
当時の様子がかなりわかってきましたね。放送交響楽団は組織は別。メンバーは寄せ集めだが、かなり共有している、加えてポップス系の小編成で活動することもかなりあった…というあたりですね。指揮者のトール・セオドア・マンは、その組織の中でどんな役割を担っていたのか、ガラグリーとの関係は…と言う当たりも気になりますが、ボストン・ポップスとボストン響、フィードラーとミュンシュのような関係なのか…と勝手に想像したりしています。

yositaka

2016/01/21 URL 編集返信

No title
おおお…こういう事例はディスコグラフィづくりでは悩みの種となりそうです。復刻盤ごとに表記が変わったりして。実体がどうあれ、このコンサートは何という名義でおこなわれたのか、当日のポスターやパンフレットの表記に従うのが何よりと思います。

Loree

2016/01/25 URL 編集返信

No title
ロレーさん、これはまったくディスコグラファー泣かせの事例ですよ。ストックホルム・フィル名義で知られてきた音源ですが、ストックホルム放送交響楽団とストックホルム・コンサート協会と別名義で、メンバーは多くが共通、しかし組織は別というわけですからね。考えてみれば小さな街、オーケストラに動員できる人材は限られていたことからこういう形態になったのかもしれません。こういう例は、他にもありそうですね。ロスアンジェルス・フィルも、多くの別名がありましたし、ロイヤル・フィルも…

yositaka

2016/01/25 URL 編集返信

No title
ドイツ・レクイエムも聴きました。
1954年のセッション録音と比べて緩急の差が大きく、ドラマティックな演奏です。ワルターは交響曲として演奏しているように聞こえます。
音の状態も、決して良好とはいえませんが、デッドな響きはかえって聞き取りやすく、54年のややボケ気味の音よりも好きなくらいです。

yositaka

2016/01/27 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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