タラーゴのアランフェス協奏曲

レナータ・タラーゴによるロドリーゴ



ロドリーゴ:アランフェス協奏曲 サラバンド

レナータ・タラーゴ(ギター)
オドン・アロンソ指揮マドリッド・コンサート・オーケストラ
スペインHispavox HH 15-03 7インチ16回転盤(データ音源で試聴)
 
マイルス・デイヴィスの「スケッチ・オブ・スペイン」のジャケットに記載された参考レコード、レナータ・タラーゴのソロによる アランフェス協奏曲が聞きたくなって、あれからずっとネットを捜索していた。
YouTubeなどの動画サイトは、まったくヒットしない。
では、パブリックドメインの音源を提供しているサイトはどうか…と探したところ、某所で「多分これだ!」と思われるものを発見した。
 
タラーゴは蘭フィリップスからいくつもアルバムを出しているし、
米コロムビアは同レーベルと提携関係にあったので、てっきりこれもフィリップス録音だろう…と思いこんで、記事にもそう書いてしまったのだが、違った。
実は、スペイン・イスパヴォックスの録音。本国では米コロムビア盤の2年前の1952年に発売されていた。
だから、イスパヴォックス盤がオリジナル。
サイトに掲載されていた上掲のジャケットデザインは、米コロムビア盤の、ギターを持つ素敵なタラーゴのポートレートとは違って、味気ないものだ。
イスパヴォックスはフラメンコの録音で有名な会社で、クラシック分野でもスペインのピアニスト、アリシア・デ・ラローチャが若い頃の記録を残し、それは英EMIからCDのボックスセットで出ていた。
そういえば米コロムビアはワルターの『亡き子をしのぶ歌』やリパッティなどのEMI音源も、LP時代には出していたっけ。EMI系列のイスパヴォックスと契約があったとしてもおかしくない。
 
珍しいことに、これは16回転の低速盤で、シングル盤サイズの7インチ盤なのだそうだ。確かに、ジャケット写真の左上に「16RPM」の文字も見える。16回転はラジオ放送番組の録音に使われたと聞いたことがあるが、7インチ盤で市販されていたことがあったのだ。
収録時間は片面16分。これなら33回転でも無理すれば収録できる気もするが…
内周の音質劣化が心配だったが、特に気にはならない。盤面ノイズも少なく、よほどいい状態の盤を使ってデータ化したと思われる。オンマイクでしっかり拾っ音を、楽器の間近で聴くような生々しさがある。
データ化した人物もいい装置を使っていて、なかなかの腕前のようだ。

タラーゴの弾く第2楽章はとても遅い。
そして、ギターの音も骨太で重く暗い。スペインの土臭さがにじみ出る感じで、ナルシソ・イエペスとは印象が違う。
そこで、イエペス盤のLPを本当に久しぶりに取り出して聞いてみた。
彼のギターは、変な言い方だけれどハープに近い音がする。音がきめ細かく洗練され、タラーゴに比べるとずっと都会的で、ローカルを超えて国際基準の高みを目指した音だ。
テンポはイエベス9分55秒、タラーゴ10分26秒。1分も違わないが、タラーゴの方がずっと遅く聞こえる。

そして…マイルス・デイヴィスの乾いた荒野のような「アランフェス」により近いのは、タラーゴだと思う。マイルスが本当に参考にしたのかは知る由もないけれど…
現在入手困難な状態なのはとても残念だ。
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コメント

コメント(6)
No title
マイルス・デイヴィスから、原曲のアランフェスまで進まれましたか。
タラーゴという名は知っていても、録音は聞いたことがありません。
そもそも世の中に16回転レコードなるものが存在していたということも今回の記事を拝読して初めて知った次第です。
再生できるプレーヤーはあるんでしょうかねぇ。

gustav_xxx_2003

2016/01/17 URL 編集返信

No title
グスタフさん、昔私の家にあったナショナルのレコード・プレーヤー(ラジオにつないで音を出すタイプ)には、78回転も16回転もありました。16回転のレコードなど見たこともありませんでしたが、付いている以上はどこかに存在するのだろうと思っていました。やはりあったのか、という思いです。実物を入手したとしても、もちろん聞けないわけですが。
放送用の巨大なターンテーブルをお持ちのお宅におじゃましたことがありましたが、16回転はしっかりついていましたよ。某サイトの主もオーディオマニアかもしれません。
ロドリーゴの著作権は切れていません。なので彼の音源はパブリックドメインにはなっておらず、ネット動画に出にくいのはそのせいでしょう。作曲者の死後、遺族はこの曲のあらゆる編曲を禁止し、第2楽章のみの演奏も一切認めていないそうなので、今後はアランフェスのジャズ・ヴァージョン、ポピュラーヴァージョンは出てこないし、既存の編曲も演奏されないことになります。残念ですね。

yositaka

2016/01/17 URL 編集返信

No title
yositakaくん、グスタフさん、こんにちわ。bassclefです。マイルスの「スケッチオブスペイン」裏解説に記された、マイルスやギル・エヴァンスが聴き込んだとされるレコードのレコード番号・・・それは同じClumbiaレーベルの宣伝も兼ねての情報だったはずですが(笑)その音源まで探し当てましたか! yositakaくんの旺盛な好奇心には脱帽であります。
16回転のレコード・・・そういえばprestigeレーベルにも、何タイトルかあって、そのメリットは収録時間の増大(笑)通常のLPの2枚分というのが「売り」だったとのこと。16-6という番号のものは、その片面がコルトレーンやペッパー・アダムスらの演奏で、後にコルトレーン名義の「Dakar」(presitge 7280)として発売されたようです。

bas*****

2016/01/17 URL 編集返信

No title
yositakaさん、タラーゴの原盤を見っけるとは執念としか言いようがないです。
タラーゴのギター、民族性のある哀愁を佩びた演奏ですね。イエペスは、奏法やテンポの違いか?上品に演奏していますが自称民族派の私には物足りなく感じますし3歳で視覚障害になり38歳で作曲したロドリーゴの曲想は、どうだったのでしょ?
16回転プレーヤと放送局用に針先を交換した私に魂(16回転レコード)がない。困りました。

chi*****

2016/01/17 URL 編集返信

No title
やあBassclef君、見つけました。16回転の7インチとは驚きです。しかも、さして長時間収録ではないという奇妙なもの。そうか、プレイティジにもあったんですね。当時はレコードは高価だったので、メーカーも色々と売る工夫をしたのでしょう。買う側としては16回転もお値打ち感があったのですかねえ。
それならばBassclef君も好きな33回転の10インチ盤というのが小ぶりで価格も安く、そこそこの収録時間でよかったと思うのですが、これも60年代の初めには出なくなりました。

yositaka

2016/01/17 URL 編集返信

No title
チャランさん、たしかにタラーゴのギターにはスペインの民族色が豊かです。ロドリーゴの好みはどこにあったのかは、ちょっと不明ですが、初演者のデラ・マーサの一番弟子がイエペスだったようです。
ギターの巨匠セゴビアは残念なことにこの曲を演奏していません。

yositaka

2016/01/17 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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