bassclef君宅へ、今年最後の聴き会

年の瀬も迫る12月28日、ネコパパ、sigeくんと連れ立ってbassclef君宅へ出かけました。
今年最後の聴き会です。

いや、その予定ではなかった。私がsige君に
「ちょっと、どう?」
とメールしたところ、ライヴハウスのセッションに参加してたりして、多忙だったし、年末は家族サービスもしたいからとの返事。
ごもっとも、ネコパパも29日は娘夫婦と孫のテンコが泊まりに来るし、たまったモノの整理もある…
やはり家の仕事が懸命だろうと反省し、その心つもりでいたところ、今度はsige君が気を遣って、
「実は、bassclefの家に忘れ物をしたんで取りに行くのだが、一緒にどうか」
と、電話で声を掛けてきたのでした。
「あなたね」
電話のやり取りを横で聞いていたアヤママの目は、なかなか険しそうでしたが、
素早く計算して、家の片付け仕事を3時間で完了する算段を立て…
なんとか午後にはbassclef君宅の、通い慣れた八畳間に座っていたというわけです。
こういうのを火事場のなんとかというのでしょう。


この日は珍しくビッグバンド物に関心が傾きました。
ネコパパが持っていった「ジェリー・マリガン・パリ・コンサート」1954(ヴォーグ)が呼び水になって、マリガンがビッグバッドを率いて演奏した一枚。
GERRY MULLIGAN AND THE CONCERT JAZZ BAND 1960(Verve)



トランペットやヴァルブ・トロンボーンと絶妙な絡みを聴かせるコンボでのマリガンとは一味違う、骨太の管楽の響きが楽しめました。
総勢13人でピアノレス、それを支える強靭なベースはビル・クロウ
マリガン、こういう音楽もやりたい人だったんだ。これは、いかにも華のない、男っぽいビッグバンドでした。


それで、より華のあるものを…ということで、クインシー・ジョーンズの作品を。
ネコパパは普段聴かない人です。映画やテレビの音楽で活躍するビッグ・ネームなので、知らず知らず耳に入っているとは思いますか。

GREAT WORLD WIDE OF QUINCY JHONES  Live! 1961 (Mercury)
これは、1960年のスイスでの未発表ライヴを、評論家の児山紀芳氏がマーキュリーの倉庫から発見したものだそうです。
いつも共演しているアルトサックスのフィル・ウッズに加えて、ここではトランペットのフレディー・ハバートも参加しています。


彼のアルバムでは、ウッズやハバート、ときにはズート・シムズなどの名手が加わり、華麗なサウンドに乗って、陶酔的なまでに滑らかなソロを繰り広げます。
これは、日頃ネコパパたちが聞く機会の多い、小編成のハードバップ・ジャズとは一味違う。
曲の出だしは凝ったアレンジの合奏で、テレビや映画でよく耳にする「ジャズっぽいバンド演奏」ですし、
ソロのあいだも良くブレンドされた合奏が、ソロを引き立てるようにそっと合いの手を入れたり、デリケートな音の絨毯のように支えたりしています。
そうすると
「このソロはアドリブではなく、譜面に書かれた演奏なのか??」
という疑問が湧いたりもしますが、おそらく現場の状況によって「臨機応変」なのでしょう。
とにかくこの音楽はかっこよく、聴き心地がよく、良い意味での大衆性を持ちながらも、知的な味わいもあり、なかなか捨てがたい…
クインシー・ジョーンズ、才人です。
彼の音楽が、もう少し、聴きたくなったな。

そのあとは、bassclef君宅では比較的めずらしい、1970年代の作品も出てきました。
まずは、ピアノのタッチや音色が美しく入っている二枚です。
このストレスのない、心地よい音色感は、録音の進歩も大きいかもしれません。
私たち60年代からのアナログ世代は、とかく再生のしにくいピアノの音に、いつも悩まされましたから…

オスカー・ピーターソンがデンマークのベーシスト、ニールス・エルステッド=ペデルセンと初共演した
Great Connection / Oscar Peterson 1971(MPS)



ドイツのレーベル、MPSにピーターソンが続々と録音していた時代のものです。
彼は、この会社の録音の良さと、スタジオに備えられたベーゼンドルファー・ピアノが、大のお気に入りだったそうです。
録音上手なのは確かですが、ここはピアノへのこだわりが相当強い。個人的には、そのピアノをちょっと抑えて、ペデルセンのベースをもっと大きく聴かせて欲しい気もするんですが…

次はジミー・ロウルズ(ピアノ)とスタンゲッツの共演による
PEACOKS 1975(米COLOMBIA)



ロウルズは、繊細な音色で勝負する、渋いピアニストです。彼のピアノが低音中心にじっくり語っていく中、恍惚の音色で歌い上げるスタン・ゲッツのテナーサックスがおもむろに登場。
このアルパムは、ゲッツがプロデューサーとのこと。自分と音楽性がかぶるビル・エヴァンスよりも、ロウルズのようなピアニストが好きだったんですね。良くわかります。
このジャケットデザインではジャズ・ファンからちょっと軽く見られそうですが、75年という時代の雰囲気も感じます。こういうのもちゃんとチェックしているのがbassclef君の凄いところです。

次は歌もの。
カーメン・マクレエGreat American Songbook 1972(ATRANTIC)



この2枚組のライヴ盤は、実はネコパパも大好きなアルバムです。
カーメンの歌声は骨太でがっつりしていて、女性ボーカルの色気はあまりないけれど、少人数のコンポをバックに、渋い曲ばかりを丁寧に歌い上げています。
bassclef君の言うとおり、チャック・ドメニコのベースが素晴らしい。
この日は掛からなかったけれど、ジョー・パスのギター一本をバックに、ひっそりと語りかける「イージー・リヴィング」も素敵ですよ。

bassclef君のクラシックへの傾倒も深まってきました。
とくにピアノ。
私やsige君が散々言うものですからね。
今回も、私の持ち込んだイヴァン・モラヴェッツのベートーヴェン「悲愴」ソナタ(米コニサーソサエティ)を聞いたあと、bassclef君自身の発掘したフランクの交響的変奏曲(チェコ・スプラフォン)を出してきて、驚かされましたし、
サンソン・フランソワヴラディーミル・アシュケナージの演奏も気になっているとのこと。
「でもアルゲリッチはちょっとな。突然テンポが速くなったりして、どうもついていけない」



デンマークBISレーベルのネーメ・ヤルヴィシベリウス・チクルスも、コツコツと集めている様子です。やるね。



そんなわけで、今年も瞬く間に年末を迎えてしまいそうです。
色々な意味で人生の節目の年でしたが、音楽聴きに節目はありません。
音盤愛好家の皆様、来年も、楽しく遊んでくださいね。
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コメント

コメント(10)
No title
ご紹介の中ではMPS時代のオスカー・ピーターソンとカーメン・マクレエが気になりますねぇ。
いずれも私の棚には並んでいないものです。
特にカーメン・マクレエは久しく聞いておらず、CDも持っていないものですから余計です。
確かに声に色気はありませんね(笑)
しかし、聞いていてハッピーな気持ちにさせてくれる歌声です。

gustav_xxx_2003

2015/12/31 URL 編集返信

No title
今年はたくさんのコメントをありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします。

たまにはジャズもいいですね~
オスカー・ピーターソンは数枚音源を持っていますが・・・もっと聴いてみようかな・・・いつもクラシックが多いので・・・

HIROちゃん

2015/12/31 URL 編集返信

No title
グスタフさん、今年も丁寧にコメントを返して下さり、ありがとうございました。ピーターソンとカーメンは自宅にもLPで架蔵していて、しばしば楽しんでいます。ピーターソンは高度なテクニシャンですが、深刻味がなく、心を開いて楽しめるジャズです。
ヴォーカルは癖の強い人は苦手ですが、カーメンのストレートな歌い方は耳は撫でないにしても、音楽の良さを伝えてくれます。
自然にこんな選曲になったのは、来年が少しでも明るい年になって欲しいという気持ちの表れかもしれませんね。

yositaka

2015/12/31 URL 編集返信

No title
HIROちゃんさん、こちらこそありがとうございました。
ジャズも結構聞いているのですが、感想を書くとなるとクラシックのようにいかないのは、ジャズメンたちの繰り出す豊穣な即興の音楽に、言葉が追いつかないことがあるのでしょう。こちらのジャンルも70年代の録音が「新しい」なんて言っている始末ですから、本質はクラシックと同じですけれどね。
来年も、いい音楽に浸りつつ、人生も充実させたいものですね。

yositaka

2015/12/31 URL 編集返信

No title
1970年代のジャズは、持っていませんが、カーメンの真面目な心のある歌声(チョツト硬いけど)はサラの次に好きです。
本年もネコパパさんには、クラッシック、bassclefさんには、ジャズの手ほどきをしていただき、sigeさんには忌憚のない感想(自分も同じ様に感じていることをズバリ)ありがとうごさいました。
来年もよろしくお願いいたします。
除夜の鐘がなっています、明けましておめでとうございます。

chi*****

2015/12/31 URL 編集返信

No title
チャランさん、明けましておめでとうございます。私も70年代のジャズは未知のところが多いです。当時はフュージョン時代に入りかけた頃で、ハードバップ・ジャズもビッグバンドも古いタイプの音楽として片隅化していたのですね。
1980年代近くになって、グレイト・ジャズ・トリオ、キース・ジャレット、ウィントン・マルサリスらが正統派ジャズの巻き返しを図り、私はその頃に、ジャズが面白くなりだしたのです。それは、、bassclefくんとsigeくんのおかげなんですが。

yositaka

2016/01/01 URL 編集返信

No title
yositakaくん、明けましておめでとう!bassclefです。先日は拙宅にお出でいただきありがとうです。急な聴き会というのもいいものでしたね(笑)
クインシージョーンズ楽団は・・・おっしゃるように、その時々の(レコードでの)いいミュージシャンのソロを楽しむのが一番です。
フィル・ウッズのevening in Paris~ライブアットニューポート(mercury) よかったですね。やっぱり・・・フィル・ウッズは巧い!そうしてそういう「巧さ」のあるミュージシャンを、これまた巧く使うのが・・・クインシージョーンズなんですね。
≪聴き心地がよく、良い意味での大衆性を持ちながらも、知的な味わいもあり、なかなか捨てがたい…クインシー・ジョーンズ、才人です≫~まったくそのとおりであります! 今年ももよろしく!
追伸~拙ブログ:夢見るレコード・・・さきほどようやくにして更新しました。マイルスのスケッチオブスペインについてです。以前にスペイン音楽話題になった折の、ファリャの音楽のこともほんの少し触れました。またヒマな時にどうぞ。

bas*****

2016/01/01 URL 編集返信

No title
やあ、Bassclef君、本年もよろしくお願いします。
年末突然のお邪魔でご迷惑をかけてしまったが、楽しいひと時になりました。クインシー・ジョーンズ、あのあと「私の考えるジャズ」「クインテセンス」を入手して聞いています。ハーソネルを見るとすごいメンバー。相当の人望と交渉力の持ち主ですねえ。
マイルスの記事読みました。またしてもファリャ…今度は「狐火の踊り」ですか。さらにビゼーの引用もある。マイルスも、ギルも、音楽的素養の深さがただ事じゃない…

yositaka

2016/01/01 URL 編集返信

No title
あけましておめでとうございます。

ジミー・ロウルズはジャズミュージシャンの間で極めて評価が高いピアニストだそうです。レパートリーの広さはジャズ史上ナンバーワンだったそうです。「あの曲弾いて」と頼まれればどんな曲でも即座に対応できたそうです。スタン・ゲッツはそんなロウルズが大好きで、リーダー作の録音がないロウルズに「俺の名前を使って出せばいいよ」と買って出たそうです。
「性格が悪い」と言われたゲッツもいいところがあるようです(笑)

不二家 憩希

2016/01/02 URL 編集返信

No title
不二家さん、今年もよろしくお願いします。
いやあ…そうですか。そういうエピソードがあると、ゲッツも救われますね。
そういえばジミー・ロウルズ、アルバムでは比較的知られていない曲を取り上げていた覚えがあります。1954年録音のRare But Well Doneもそうですね。私の好きなレッド・ミッチェルと共演しているすてきなアルバムです。

yositaka

2016/01/02 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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