オスカー・シュムスキーの録音集

オスカー・シュムスキーの芸術(16CD)



 
HMVのサイトで廉価で出ていたので、つい注文してしまった。
どうやら少量の在庫整理だったらしく、二日後にはもう消えていた。見る人は見ている。

オスカー・シュムスキーは1917年生まれのアメリカのヴァイオリニスト。生涯の大半を教育活動と室内楽に捧げ、教育を退いた60歳以降からソリストに専念…という、ユニークな経歴の持ち主だ。録音は70年代後半から10年間、マイナー・レーベルだけに行った。
クラシック・ファンには隠れた名手として徐々に注目されていくが、
気づいたときにはレーベルは活動停止、あるいは倒産。
アメリカの通販会社MUSICAL HERITAGE SOCIETY(MHS)の録音したバッハの無伴奏ソナタの2枚組CDは、一時期アマゾンで25万円くらいの価格で取引されていたそうだ。
それを含むこのBOX、16枚組で、価格はそれよりゼロふたつ少ない


注文の翌日には、もう到着。思ったより大部である。さっそく試し聴きしてみようと思い、一枚目のバッハをトレイに乗せてみたら…

これが、素晴らしい。
75分があっという間に過ぎてしまった。

ヴァイオリンの音色には雑身があり、高音ががさつく。1975年の録音にしては、必ずしも心地よい音ではない。
テンポや、禁欲的な音楽のつかみは、ヘンリク・シェリングに近いと思う。
しかし、できる限り自我を抑制し、楽器特有の音を消そうとするシェリングとは違って、シュムスキーの、ひと弓、ひと弓に込められた共感音圧の強さと気迫は、ちょっと尋常ではない。
「位を正し、この音楽を聴け!」と熱く迫ってくる。ちょっと息苦しいくらい

ヴィヴラートも適度に付けたモダン奏法なのもいい。「バロック時代(ピリオド)のバッハの音楽」ではなくて「ひとつの感動的な音楽」が響いてくる。
いい音楽にはピリオドなんてないのである(偏見)
 
サイトの評価を見ると、このバッハ以外では、より穏やかな演奏になっていて、高齢ゆえの技術の問題もあるとのことだが、
まずは年末年始、じっくり時間をかけて拝聴したい…
 
バッハ
無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ
オスカー・シュムスキー(ヴァイオリン)
 
バッハ
ヴァイオリン協奏曲第1番
オーボエとヴァイオリンのための協奏曲 BWV1060
ヴァイオリン協奏曲第2番
2つのヴァイオリンのための協奏曲
オスカー・シュムスキー(ヴァイオリン),
ロビン・ミラー(オーボエ),
ジョン・タンネル指揮,スコットランド室内管 <1984.1>
 
モーツァルト
ヴァイオリン・ソナタ第25~29番
「羊飼いの娘セリメーヌ」による12の変奏曲 K359
ヴァイオリン・ソナタ第24番
ヴァイオリン・ソナタ第32番
ヴァイオリン・ソナタ第30番
ヴァイオリン・ソナタ第33番
ヴァイオリン・ソナタ第34~36番
ヴァイオリン・ソナタ第40番
「泉のほとりで」の主題による6つの変奏曲 K360
ヴァイオリン・ソナタ第41~43番
ヴァイオリン・ソナタ第31番
オスカー・シュムスキー(ヴァイオリン),
アルトゥール・バルサム(ピアノ)
 
モーツァルト
ヴァイオリン協奏曲第4~5番
オスカー・シュムスキー(ヴァイオリン),
ヤン・パスカル・トルトゥリエ指揮,スコットランド室内管 <1983.4>
 
ブラームス
ヴァイオリン・ソナタ第1~3番
オスカー・シュムスキー(ヴァイオリン),
レオニード・ハンブロ(ピアノ)
ブラームス
ヴィオラ・ソナタ第1,2番
オスカー・シュムスキー(ヴィオラ),
レオニード・ハンブロ(ピアノ)
 
ブラームス(ヨアヒム編曲)
ハンガリー舞曲集(21曲)
オスカー・シュムスキー(ヴァイオリン),
フランク・マウス(ピアノ)
 
イザイ
無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1~6番
オスカー・シュムスキー(ヴァイオリン) <1982.10.16-18>
 
クライスラー
作品全集
オスカー・シュムスキー(ヴァイオリン),
ミルトン・ケイ(ピアノ)
ウィリアム・ウォルフラム(ピアノ)
 
NIMBUS CSM 1033 (16CD)
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コメント

コメント(5)
No title
シュムスキーというヴァイオリニストは、その存在すら知りませんでした。
どうしても同時代の、それも来日公演で実際の音色を聞いた人たち中心に聞いてしまう傾向があるみたいです。
イザイが入っているあたりが、少し前の方らしいところですね。

gustav_xxx_2003

2015/12/18 URL 編集返信

No title
グスタフさん、私も、1980年頃にクラウンレコードから出ていたバッハの無伴奏ソナタの広告を見ていたくらいです。
それが好事家に珍重されていたことは最近になって知りました。好事家界隈では、若き日に活躍してすぐ教職やコンマスになった人が珍重の対象になりますが、シュムスキーはその逆なのが面白いところです。なかなかいいです。

yositaka

2015/12/19 URL 編集返信

No title
は~~~
こんなBOXが出ていたとは知りませんでした。ぼくはバッハの協奏曲、モーツァルトの協奏曲、それとクライスラーの4枚組を単売で買いました。溜め息が出ます。。。
しかしNIMBUSは残響が気になります。それで他に手を出すのを躊躇していたのでした。ASVからも同一録音(?)が出ていますが、それは中古CD店で“万”の値が付いています
このBOXにはローデのカプリース(1987年録音)が含まれていないようですね。あと、若い頃の放送録音がBiddulphやVestigeから出ています。でも実は、シュムスキーの最もよく聴かれている録音はキリル・コンドラシン指揮RCAヴィクター交響楽団のハチャトゥリヤン「仮面舞踏会」(1958年録音)ではないかと思います。この組曲の第2楽章でシュムスキーが悶絶するほど素晴らしいソロを披露しています(以前ご紹介されていたRCAのBOXにも含まれています!)

Loree

2015/12/19 URL 編集返信

No title
ロレーさん、各種情報から判断すると、英ASVは、米MUSICAL HERITAGE SOCIETYから一時的に発売権を買って販売していたもののようです。のちにNIMBUSが権利を得たようで、MHS音源についての音質差は皆無とのことです。記事の中で録音年代の書いていないものはMHS音源です。
おお、あのコンドラシンの「仮面舞踏会」のソロはシュムスキーでしたか。RCAヴィクター交響楽団はNYPOのはずですが、同オケとも関係があったのでしょうかね。
ロレーさんはシュムスキーに強い関心を持っておられるようですね。ぜひブログにも書いてください。

yositaka

2015/12/19 URL 編集返信

No title
バッハに続いてモーツァルトのソナタを一枚聞きました。ヴァイオリンもピアノも辛口で、流麗さや迸る音色美はありません。バルサムのピアノも麻袋の手触りといいましょうか、乾いた、さくさくとした音です。ところがこれがモーツァルトの音楽の魅力をストレートに耳に届けてくれる。それを可能にするのは共感音圧の高さです。ベームのモーツァルトをそのまま室内楽に置き換えたような。これは好みです。

yositaka

2015/12/22 URL 編集返信

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プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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