• お姫さまとゴブリンの物語—糸の結ぶ三層の世界。
    岩波書店 1985.8「むかしむかし、あるところに小さなお姫様が住んでいました」と、昔話調で始まるのに、360ページの厚みでじっくりと書き込まれていくストーリーはまさに小説です。お姫様は8歳、名前はアイリーン。目は青い青い夜の空を切り取ってきたように美しく、その空を懐かしがっているように空を見上げるのが癖でした。ところがこの姫、この年まで夜の星を見ないで、宮殿を離れた山の古城で、乳母に育てられたのです。それ... 続きを読む
  • 『音楽と文学・ヘルマン・ヘッセ』覚書 その2
    音楽のないわれらの人生など、考えられるだろうか。ヘルマン・ヘッセイローナ・ドゥリゴに(詩)…あなたが巨匠たちの見事な調べを温かく、胸より溢れいずる如く歌うときこの儚い瞬間にあなたは与えるまことの輝きを。(1977『詩集』)Ilona Durigo (13 May 1881 – 25 December 1943)■モラリストとして聴くことについて私の立場は決して批評家でも美学者でもなく、モラリストなのです。…何を尊重し愛するのか、それは客観的な基準によっ... 続きを読む
  • 斎藤淳夫氏の語る『子どもの本と音楽』
    2006年夏、小樽絵本・児童文学研究センターの理事・名誉会長を務めていた河合隼雄が病で倒れ、同センター主催で行われていた「児童文学ファンタジー大賞」「文化セミナー」の開催は難航した。話し合いの結果、2006年11月19日、大賞審査員によるリレー講演が行われることになる。本書はそのセミナーの内容を書籍化。発行前の2007年7月19日に河合隼雄、逝去。期せずして追悼の書となった。 以下は、その講演の一つとして斎藤淳夫の... 続きを読む
  • 井上道義氏、飯守泰次郎氏を悼む。
    2023.8.27 朝日新聞指揮者・井上道義氏の飯守泰次郎氏への追悼文が掲載。いろいろと考えさせる内容を含んでいる。現在も活躍する秋山和慶氏とともに、初見でスコアを弾きこなせるほどのピアノの名手だったこと。当時世界に注目された、斎藤秀雄考案による指揮法への反発、そして、バイロイトの修業時代のこと。特に、斎藤秀雄の「職人仕事」としての指揮法に「音楽」を感じ取ることができず、反りが合わなかったとの証言は重要だ... 続きを読む
  • ネコパパ、「本棚劇場」へ行く。
    8月24日から3日間、埼玉の娘夫婦一家の家に滞在してきました。アヤママと二人で新東名を使って車を走らせたんですが、その域帰りがひどい悪天候で、行きは豪雨で前方が真っ白、先を走る車のテールランプを頼りに走行という、初体験の白い恐怖を味わいました。まあ、ちょっとばかり面白かったけれどね。というか、面白がるより仕方ないというか。帰りは帰りで、雨の方はそれほどひどくはなかったものの、雷がひどい。「雷鳴と電光」... 続きを読む
  • ジェインのもうふ
    赤ちゃんだったジェインを包んでいた、ピンクの毛布。ジェインはこの毛布が大好きで、どんなにないていても、これがあればピタッと泣き止む子どもでした。 そんなジェインの成長ぶりが、細やかにえがかれていきます。 練達のタッチで、さらりと描いたような、アル・パーカーの挿絵がまた、すばらしい。 やがて、ジェインは赤ちゃんのときを終えて、いろいろなことができるようになっていきます。 その、ひとつひとつの動作が... 続きを読む
  • 若杉弘のブルックナーを…
    あちこちでいい評判を聴いていて気になっていた若杉弘指揮による、ブルックナー交響曲全集。一度聴いてみたかったが、高価で、ちょっと手が出なかった。発売されて3年経ったが、やっぱり、まだ気になっている。試しに聴いてみようにも、NMLにはアップされていないし、YouTubeには1989.12.01の交響曲第9番の録画があるものの、このチクルスとは別の9年前の演奏である。たまたまHMVのサイトを覗いたら、この全集がセール品になってい... 続きを読む
  • 『音楽と文学・ヘルマン・ヘッセ』覚書、その1。
    Poesie ist ein Wort, das nicht zu Musik wurde, und Musik ist ein Gedicht, das nicht zu Worten wurde. 詩は音楽にならなかった言葉であり、音楽は言葉にならなかった詩である。ヘルマン・ヘッセ ヘッセは、1877年7月2日、ドイツ南部のヴュルテンベルク王国のカルフに生まれる。父はスイスの宣教師であり、ヘルマンは4人兄弟の2人目の子どもであった。 ヘルマンは14歳のときに難関とされる試験に合格し、マウルブロン神学校... 続きを読む
  • 「BRUTUS CASA」誌の子どもの本特集。
    2023.8.6 マガジンハウスファッション、デザインをメインにした生活情報誌とのことですが、こんな特集号を出しました。「デザイン」と謳っているだけあります。二つ折りでちょっと本文のページからずらした表紙からしてお洒落です。子どもの本に関心のある方は、ネットでなくぜひ書店の店頭で手に触れていただけると、その「いい感じ」がわかります。「ポチ」文化への抵抗を感じるなあ。目次。本誌の選ぶ子どもの本100のリスト。... 続きを読む
  • 今、この音楽を、という思いに満たされる演奏会。
    東海地区の15の大学オーケストラの精鋭を結集した演奏会。ということで、第1曲の「キャンディード」が終わると、全員退場。2曲目の『ラ・ヴァルス』は総入れ替えとなり、休憩挟んでの『レニングラード』交響曲はフルメンバーの大編成演奏に。それを、中村暢宏氏は一人で指揮するのだから大変だ。でも中村氏、絶好調ですっくと背を伸ばした姿勢で「やりたい音楽」が全身から、目に見えるように放射される、そんな俊敏でキメの細かい... 続きを読む
  • 追悼・指揮者、飯守泰次郎氏
    2023.8.17朝日2021年11月に愛知県芸オーケストラでワーグナーを拝聴したのが最後になってしまった。1974年にNHKFMで、彼の指揮するNHK交響楽団が演奏する『トリスタンとイゾルデ』前奏曲と愛の死が放送されたのが出会いで、それはとてもみずみずしく衝撃的なワーグナーだった。これが県芸オケのプログラムに含まれていたのは、偶然とはいえ、つくづく時の連環みたいなものが感じられる。心からご冥福をお祈りします。いま、東京シ... 続きを読む
  • 英語圏に生まれなかったからこそ「わかる」こと。
    翰林書房 2007本書巻末に収められた三宅興子(みやけ おきこ、1938年7月20日- 2022年10月21日)教授の梅花女子大学での最終講義『子どもの本との50年 2006.12.2)』についての覚書。文学史の常識への疑問から研究が始まった。実際にイギリスに出向き、多くの資料を自分の目で読むと、それは「文学史」に書かれている内容とは違っていた。そこに「常識」への疑問が生まれた。まずは18世紀後半から19世紀初頭に書かれた『教訓物語』... 続きを読む
  • 「音楽を楽しむ会」ブログ記事をアップしていただきました。
    長らくのブロ友、geezenstacさんが「音楽を楽しむ会」に足を運んでいただき、ネコパパとは別の視点でブログ記事をアップされています。先日8月12日の会の記事では、会場の「豊明市共生交流プラザ カラット」の様子もレポートされていて、大変すばらしい内容です。ありがとうございます!と、いうことで拙ブログの読者の皆様にもぜひ読んでいただきたく、ここにリンクさせていただきます。ぜひご覧ください。https://ameblo.jp/geez... 続きを読む
  • 『レコード芸術』アーカイヴズ㉛昭和54年(1979)8月号-その2
    後半は広告中心でご紹介。他の号よりも広告がたくさん残っている。そのまえに、桜井千里執筆のオペラ記事を。ジュリエッタ・シミオナートが主役をうたい、ヘルベルト・フォン・カラヤンがミラノ・スカラ座管弦楽団を指揮した盤が対象だ。これはヒストリカル盤で、1978年に米ターナバウトから3枚組で発売されたもの。所謂オーソライズド盤ではない。こういうものが堂々グラビアページを使って紹介される、おおらかな時代だった。ジ... 続きを読む
  • 『レコード芸術』アーカイヴズ㉚昭和54年(1979)8月号-その1
    昭和54年(1979)8月号表紙はピエール・ブーレーズ。1979年というと彼がバイロイトで『ニーペルングの指輪』を録音した年で、他にもベルクのオペラ『ルル』も収録していた。いずれもドイツ・グラモフォンからの発売で、現代音楽の鬼才からベテラン指揮者への道を歩み始めた時期で、注目度も高かったと思われる。表紙裏はソニーのスピーカーG4の広告。なんだろうね「勝利の判決」というのは。譜面台?書見台?の上に大きい本が置いて... 続きを読む

プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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