• 女になった海賊と大人にならない子どもたち●ロビンソン変形譚のゆくえ
    本書のタイトルは「海賊」と「子ども」という、児童文学史の大きなキーワードに意外性のある修飾を付けたものになっている。どちらも逆説的であるとともに、人間に対する歪んだ価値観を付与する、刺激的な表現だ。この歪みが児童文学という特異なジャンルを世に生み出すきっかけになったというのが、筆者の考えの根幹にあると思われる。児童文学ファンの「動揺」を誘う一冊である。19世紀半ばから、20世紀初頭にかけて書き継がれた... 続きを読む
  • 名古屋老舗書店、ちくさ正文館が閉店に。
    ネコパパが小学生のころから通い詰めた正文館東片端本店につづいて、ちくさ正文館も閉店の報が。リアル書店が次々閉店する中、人文書の牙城として、「存在する」というだけで気持ちが安定する、そんな書店だったのです。ネコパパは、ここへは「たまに行く」程度だったのですが、近年は、古田店長ともお近づきになり、2階で開催されたK氏主宰蓄音機コンサートでコメンテーターをさせてもらった関係で、接点が増えてきたと思っていた... 続きを読む
  • メルヘンハウス創業者、三輪哲さんが逝去されました。
    日本初の子どもの本専門店を立ち上げた、メルヘンハウス元店主の三輪哲さんが亡くなられました。享年79歳。ネコパパにとっては、高校生以来通いつめ「児童文学散歩者」の礎となった大恩人です。心よりご冥福をお祈りいたします。昨夜、アヤママのLINEからの知らせでそのことを知り、一瞬頭が混乱して、しばらくは整理のつかない状況になりました。1時間後、幼少時から一緒にお店に出掛けて、顔を見るたびに「やあ、来たか、大きく... 続きを読む
  • 名古屋市民管弦楽団、流麗な『皇帝』爽快な『ブラ4』
    ネコパパは近頃どうかしている。このコンサートを聴きに行くつもりで、地下鉄に乗り、愛知芸術劇場コンサートホールに到着したのに、だれもいなかった。「コンサートは中止」の張り紙がしてあったが、それは名古屋市民管弦楽団のではなく、別の団体のものだった。ひとりの女性が「えー、中止?」と当惑していたが、ネコパパは素知らぬ顔で通り過ぎた。手帳に書き間違えたのだ。一度手帳に書いたのをカレンダーにも書いておくのだが... 続きを読む
  • 『レコード芸術』アーカイヴズ㉔昭和46年(1971)7月号
    昭和46年(1971)7月号表紙の新譜LPは、ビゼーの『カルメン』全曲。アンナ・モッフォ(ソプラノ)、フランコ・コレッリ(テノール)、ピエロ・カップチッリ(バリトン)、ヘレン・ドナート(ソプラノ)、アーリン・オジェー(ソプラノ)、ヨセ・ファン・ダム(バリトン)、 ロリン・マゼール指揮、ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団&合唱団 [録音:1970年]独オイロディスク原盤で、日コロムビアの優秀録音を厳選した「マスター・ソニック・... 続きを読む
  • よあけ
    この絵本も、うちにあるのはすっかりボロボロです。2冊あるんですが、どっちもです。子どもたちには、そんなに何度も読み合った記憶がないのに。図書文化部の顧問だったときも、お話会に持っていったことは、あんまり。そのかわり、小学校でも、中学校でも、クラスの子どもたち、生徒たちには、読みました。ネコパパが授業に行ったクラスには、必ず、ね。卒業式前、最後の授業のときに読んだことも何度かありました。パブロ・カザ... 続きを読む
  • タンゲくん
    表紙をみてびっくりするかもしれませんが、タンゲくんは、ごくふつうの、しまねこです。あるひ、わたしたちがごはんをたべていると、のっそりはいってきて、あたりまえのようにわたしのひざのうえに。おとうさんもおかあさんも、なにもいいません。そのまま、ねこはわたしのうちに…タンゲくんと名づけたのは、おとうさん。タンゲくんとのたのしい、まいにち。へんなむしをとってきたり、まんげつのよるはくるったように、はしりま... 続きを読む
  • なーちゃんとおおかみ
    この絵本は、画像修正しています。あまりに破損がひどいからです。今ではいい大人の娘、テンチョウと、息子・銀鼠に何度も読み聞かせて、そのあとは子どもたちが自分でさんざん見て、読んで、こんな状態になったのです。落書きまであって。これだけ「絵本」って愛読される。こうなったらもう、世界で一冊の本です。ネコパパは、とても捨てられません。さて、開いてみましょうか。どろんこになってかえってきたなーちゃんは、ひとり... 続きを読む
  • 『レコード芸術』アーカイヴズ㉓昭和46年(1971)3月号
    昭和46年(1971)3月号表紙の新譜はモーツァルト:ヴァイオリンと管弦楽のための作品全集ヘンリク・シェリング - Henryk Szeryng (ヴァイオリン) ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 - New Philharmonia Orchestra アレクサンダー・ギブソン - Alexander Gibson (指揮) 録音: 1966~1970, London, United KingdomPHILIPS 6707 011 https://ml.naxos.jp/album/00028948344864ヴァイオリン協奏曲5曲に加えて、偽作とされる K. 2... 続きを読む
  • アーサー・ビナード氏、大いに語る。「生き延びる道は、先人の英知の中に」
    アヤママと二人で、詩人、アーサー・ビナード氏の講演会に行きました。いつもながら溌溂と精力的に、時には舌鋒鋭く聴き手を唖然とさせ、一方で深く沈思させる語りで圧倒させながら、あっという間の3時間が過ぎる。本日の話は、開会前に会場で流れていたルイ・アームストロングの『この素晴らしき世界』から。「この歌は、1967年、僕の生まれた年の曲です。デトロイト暴動、人種対立の渦巻く中、いい歌とは思いながらも「きれいご... 続きを読む
  • 『サライ』2023年7月号 特集「円谷英二が拓いたニッポンの特撮」。
    6月号に続いて購入してしまった。今回もネコパパ心をくすぐる「ウルトラ怪獣カード」の付録付きだ。もっとも富裕層&高齢者向き?雑誌『サライ』だけに、高級感が違う。本誌でも取り上げられている村上裕二の手になる日本画の作品が使用されている。本文解説によると、村上氏は日本画家としての活動に行き詰まり、得度して山門で修業しつつ、2000枚の下絵を制作。そこから現れてきたのがウルトラマンの姿だったという。「ゴジラは... 続きを読む
  • 『東京人』2023年7月号、子ども雑誌特集。
    この雑誌『東京人』しか読むんじゃねえといった感じの空気感があるので、普段は避けているんだけれど、ときどき面白い特集をやってくれる。特集のページ数がとても多いのも、読みごたえがある。今月号は書店で見て、購入。目次はこれ。子どもの本研究第一人者の野上暁氏をはじめ信頼できる書き手を選んでいる。多様な観点で、特に昭和期の子ども雑誌の変遷が俯瞰できる重要文献だ。オカルト、怪獣、兵器大図解、付録、学年別学習誌... 続きを読む
  • 最後の『レコード芸術』予約しました。
    『レコード芸術』は6月20日発売号で休刊。先ごろ休刊を迎えた『週刊朝日』は、最後の号が増刷を重ね、既に4刷になったという。『レコード芸術』はさてどうか。休刊の発表が4月になされて、それから2号出たが、せめてはと思いつつどうも買う気にはなれなかった。でもほんとに最後となれば、重い腰も上げたくなり、といって書店になかったというのも癪だからネット予約にした。表紙と目次が掲載されていたので借用する。〔特集1〕 ... 続きを読む
  • ジャズ&タバコ
    愛煙家指揮者、アーベントロートの話にひっかけて、ジャズ・ジャケットにタバコの写真が多かったという話。シュレーゲル雨蛙さんの記事が本歌。https://sansuica3000.fc2.net/blog-entry-1215.htmlこの記事に出ているブルー・ミッチェルの「ブルース・ムーズ」は、もちろん素敵なレコードだ。粒立ちよくリズムを刻むウィントン・ケリーのピアノに乗って、メロディラインの美しいミッチェルのトランペットが渋く歌う。ネコパパの好... 続きを読む
  • 『レコード芸術』アーカイヴズ㉒昭和45年(1970)12月号-その2
    前回の続き。まずは1970年来日のオペラ劇団の一つ「ローマ室内歌劇団(ピッコロ・オペラ)伴奏を務めるのは、レコード・ファンには古くから馴染みだったレナート・ファザーノ指揮、ローマ合奏団。記事の筆者が誰なのかわかりにくい表記だが、各オペラの解説を黒田恭一、総論を海老沢敏が担当しているのだと思う。この中のパイジェルロ『セビリアの理髪師』がTV放送されたのをネコパパは見た。おそらくそれがオペラ全曲を通して鑑賞... 続きを読む

プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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