• ネット読書会・手塚治虫『アドルフに告ぐ』
    文藝春秋 1985.5■主人公を描く冷酷な筆致手塚治虫晩年の大作。ヒットラー出生の秘密を記した機密文書をめぐって、アドルフ・ヒットラー、アドルフ・カウフマン、アドルフ・カミルという3人のアドルフと、事件に巻き込まれつつ事実を記録する新聞記者・峠草平の人生が交錯。日本とドイツを主な舞台として、1936年から1945年という激動の時代に展開する、「壮絶さと痛快さ」の入り混じった群像劇だ。オリジナルは1983年から1985年ま... 続きを読む
  • カザルスの幻の映像が到着。
    今朝、到着した未開封のDVD。タイトルはPABLO CASALS The Prade Festival 1950。PCで再生してみると、はじめに出るのは「日本フルトヴェングラー協会」のクレジット。トラック分けは全くなく、いきなりシューマンのアダージョとアレグロがはじまる。画面は暗く、ロングでとらえられたカザルスの姿はかすんでいて判然としない。音は高音がひどく歪んでふるえていて、何とも聞きづらいサウンドだ。ピアノの方が多少はましに聴こえる... 続きを読む
  • ピアノを「奏でる」三人の名手
    最近立て続けに「凄いピアニスト」の演奏に出会った。ひとりは、オリ・ムストネン。1967年生まれのフィンランドの指揮者、ピアニスト、作曲家で、ヘルベルト・ブロムシュテットが指揮をした、2022年9月に行われたNHK交響楽団第1967回定期公演でグリーグのピアノ協奏曲のソリストを務めた人だ。例によって「らじれこ」で録音しておいたエアチェックを車中で聴いたのだが、これには心底驚かされた。冒頭から、アルペッジョ気味に音を... 続きを読む
  • ネコパパ、カザルスの幻の映像を発掘?
    1977年8月24日、名古屋市納谷橋のヤマハビルで、カザルスのレコードの試聴会が開催された。当時エンジェル・レーベルとしてEMI音源を発売していた東芝EMIとの共催だったと記憶している。しばらく中断していた、同社のSP録音の復刻盤「GRシリーズ」の発売が久しぶりに再開されたのを記念して行われたイベントで、その第1弾がGR2301「カザルス・チェロ小品集」だった。GRシリーズで最も人気のあるカザルスの初復刻を目玉にして、売り... 続きを読む
  • 熱血を秘めた爽快さ―クレツキの第九
    スイスの指揮者、パウル・クレツキの「第9」のLPを聴いているところ。相当以前に、今はない柳橋バナナレコード本店の安売箱から掘り出した一枚で、盤の状態はあまりよくなくノイジーだが、演奏は面白く、繰り返し聴いても飽きない。クリスマスはこれにしよう。日本コロムビアの初出国内盤WX15-15-2だ。1968年11月発売とある。ライナーノーツには、クレツキによるベートーヴェン交響曲全集が進行中で、これは「田園」に続く第2弾と... 続きを読む
  • 「小澤征爾 悲願のタクト〜北京に流れたブラームス〜」
    こんな番組がアナザーストーリーという枠で放送された。小澤征爾とその一家と中国と関係、中国中央楽団とのコンサート、そしてこの歴史的な出会いに影響を受けて、中国から国際的な音楽家として活躍を始めた人々の足跡を描いたドキュメントである。NHKプラスで配信されているほか、再放送もあるそうだ。https://www.nhk.jp/p/anotherstories/ts/VWRZ1WWNYP/初回放送日: 2022年12月16日 1978年、世界の小澤が中国の中央楽... 続きを読む
  • からすのパンやさん
    1973.9 偕成社長く親しまれ、子どもたちの大好きな絵本です。「おいしそうなパンがたくさん出てくる絵本」という印象が強いのですが、あらためて読んで見ると、かこさとしの思いは、別のところにもあったのではないかと思えてきます。からすのまち、いずみがもり。ここには大きな木が二百本、ちゅうくらいの木が四百本、小さな木が八百本あったというから広大なものです。その一角にからすのパン屋さんのお店があってあるひ、四羽... 続きを読む
  • 僕は特急の機関士で(ベートーヴェンの巻)
    先週の「音楽を楽しむ会」で久々にバーンスタインのベートーヴェン第9交響曲を聴いて、当たり前だけれどやっぱりこれは凄い曲だと思った。それと、ネコパパはどうしてもテンポの遅い演奏でないと、本当には共感できないことも改めてわかった。それで今週は、ベームの交響曲全集を聴き直したりしているのだが、おそらくシュレーゲル雨蛙さんの言葉に触発されたんだろう。ショルティってどうだったかなと思ったのだ。ショルティの盤... 続きを読む
  • 名曲カフェ・エグモント『第2回・蓄音機を楽しむ夕べ』を開催。
    12月10日、名曲カフェ・エグモントで第2回の蓄音機コンサートを開催しました。蓄音機の調子は第1回に比べると非常に好調で、ともに製造されて90年を経た老体ながら、この居心地のいい空間に馴染んできたようです。お集まりいただいた皆様の反応も、前回よりもストレートで、アンティークなアナログサウンドが琴線に触れていく様子が伝わってきました。さて今回は、昭和歌謡から2曲、ジャズ・スタンダードを2曲プログラムに加え、IK... 続きを読む
  • ネット読書会/周東美材『「未熟さ」の系譜』
    2022.5.25 新潮社■聖なる未熟、あるいは文化は童心の授かりもの『童謡の近代』(2015岩波書店)が大変面白かった周東美材氏の新著が、猫町読書会で取り上げられました。ネコパパは本書の出版を知らなかったので、これは大変と、書店三軒をまわってようやく入手できました。前著は童謡のことを調べているときに読んだのでしたが、そんな目的など忘れて読み耽ってしまった。童謡のみでなく、日本の音楽産業の発展の裏にあった「子ども... 続きを読む
  • 音楽を楽しむ会・ゆく年を送る音楽2022
    2022年第12月10日(土)午前10時~12時 (毎月第2土曜日開催) 今月のテーマ ゆく年を送る音楽 みなさん、おはようございます。今年最後の回です。1年のスピードって、ますます速くなりますね。なんだか怖ろしい気がします。さて、今回は恒例の第9と、日本の唱歌・童謡・抒情歌を組み合わせたプログラムです。後半ご視聴いただくバーンスタイン指揮の「第9」が、テンポが遅い堂々たる演奏なので、前半はさらっと気持ちよく。演奏... 続きを読む
  • ネット読書会『ムーミン谷の仲間たち』より「もみの木」
    ■クリスマスを知らないムーミンたちからの「本物のプレゼント」年の暮れのムーミン谷。冬眠して3か月になるムーミン一家を無理やり起こしに来たのはヘムレンさんでした。みんなに頼まれたというのですが、みんなって誰なんでしょう?ムーミン谷は何かの準備に大忙しでした。まるでみんな怖いことが起きたように走り回っています。クリスマスとかいうものが始まるというのです。「噴火か、洪水か」と心配するムーミントロールですが... 続きを読む
  • 小澤征爾、3年ぶりにサイトウ・キネン・オーケストラを指揮。
    3年間中止されていたセイジ・オザワ松本フェスティヴァルが2022年は開催され、シャルル・デュトワの指揮するオーケストラ・コンサートには、総監督の小澤征爾もステージに姿を見せた。ステージに上がった小澤さんの姿を会場で、あるいはTVで見たファンの心中はいかなるものだったか。車いすに乗ったまま、ほとんど微動だにせず、声も発しない老指揮者の姿に聴衆は大きな拍手を送り、とても嬉しそうだった。でもでも、ネコパパには... 続きを読む
  • 2023年VPOニューイヤーコンサートの曲目。
    待望のプログラムです。2023年はいいことあるぞ。あったらいいな。どうかあってほしい。ネコパパの嗜好をご存知の方なら、即座に納得していただけるだろう。以下はTowerからのコピぺ。https://tower.jp/article/feature_item/2022/12/01/1110毎年1月1日に行なわれるウィーン・フィルのニューイヤー・コンサート。クラシック音楽の中でも最も有名で、ウィーンの誇る黄金のムジークフェラインザールからTVとラジオを通じて世界90カ国... 続きを読む
  • カール・ベームのブラームス交響曲全集を入手。
    栄の中古店でこんなセット物を見つけ、ついつい買ってしまった。カール・ベーム指揮ウィーン・フィルのブラームス交響曲全集(LP)である。1975年のセッション録音で、この年はベームがウィーン・フィルと初の来日公演を行った、その直後の録音だったから、よく覚えている。中学生のころからベームのファンで、来日公演の時はFMの生中継やTV放送に、ネコパパはもう、夢中だった。ではあるけれど、お金のないネコパパには、次々と出る... 続きを読む

プロフィール

yositaka

Author:yositaka
子どもの本と、古めの音盤(LP・CD)に埋もれた「ネコパパ庵」庵主。
娘・息子は独立して孫4人。連れ合いのアヤママと二人暮らし。

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