マゼール、情感に満ちたブルックナー

2015/01/30         

DECCA《ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団エディション》をきく⑬【CD34】ブルックナー:交響曲第5番ロリン・マゼール(指揮) [録音:1974年] 交響曲第5番は、ブルックナーの交響曲の中で、最も厳しい音楽だ。全4楽章、歩行のリズムで淡々と始まり、そこに厳粛を漂わせる楽想が次々に折り重なっていき、やがて巨大な音のカテドラルを築き上げていく。この曲は聴く者の襟を正させる。それだけに、ほっと息の付ける箇...

マリーの頭の中は花でいっぱい

2015/01/28         

庭師の娘原題:Marie Mit Dem Kopf Voller Blumen 作者:ジークリート・ラウベイラスト:中村悦子訳者:若松宣子出版社:岩波書店 2013・7・30小学6年・中学から定価(本体 1,900円 + 税)  メスメル博士のお屋敷に,庭師の父親と住むマリーは,修道院で勉強中です。だけど,マリーが考えているのは植物のことばかり。本当の望みは、庭師になること―。女の子が夢をかなえるのは難しかった時代、マリーは迷いながらも、...

どちらがモントゥー? どちらもモントゥー…

2015/01/24         

「音盤のある部屋」で、モントゥーの「田園」を取り上げた。これは「第1番」との組み合わせでボックスセット「ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団エディション」に含まれていた一枚。まずは、その内容を再掲載してみたい。ベートーヴェン:交響曲第1&6番~ピエール・モントゥー(指揮) [録音:1960&1958年]/ モントゥーのベートーヴェンは、中高音を中心に、音をたっぷりと鳴らしたスタイルだ。特にこのウィ...

唯一無二の響きの創造に賭けた「田園」

2015/01/24         

ヨス・ファン・インマゼール指揮アニ マ・エテルナ録音2006年11月13-16日仏Zig-zag Territoires(CD)古楽器による演奏である。 ピッチのことはよくわからないが、解説によると現代とほぼ同じとのこと。その点での抵抗感は確かにない。これは良いと思う。演奏はヴィヴラートを抑制し、メンバーを少なめにした、ピリオド・スタイルの典型という感じ。ネコパパのあまり好まない演奏スタイルだが、音色には独特の良さがある。 ...

シノダ!⑧ 都ギツネの宝

2015/01/23         

シノダ!⑧ 都ギツネの宝富安陽子絵:大庭賢哉偕成社 2014年 10月定価: \1,404 「シノダ」シリーズ8作目。今回はおなじみの三人が、時の重なる都、京都を舞台に「都ギツネの宝」をめぐって大冒険をします。事件の引き金をひいたのは、自称トレジャー・ハンターの夜叉丸おじさん。彼の正体はキツネ。冒険家気取りでインディー・ジョーンズを思わせるファッションに身を包み、事件や騒動の裏にはいつも彼の失敗が…...

落語調の時代劇ファンタジー

2015/01/18         

鈴狐騒動変化城(すずぎつねそうどうへんげのしろ)田中 哲弥 (著)伊野 孝行 (イラスト)福音館創作童話シリーズ2014/10/9¥ 1,404 ライトノベル出身の作家による時代劇ファンタジーです。 遠い昔。海辺の美しい城下町。茶碗屋の娘お鈴は、器量も気立てもよく、町中の人気者。その評判を聞きつけた悪逆非道のお城の殿様が、呉服屋に嫁ぐことの決まったお鈴を、城へよこせとの無理難題。町中が暗く重く沈むなか、...

カール・ベーム、圧巻のブルックナー

2015/01/16         

DECCA《ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団エディション》をきく⑫【CD32】ブルックナー:交響曲第3番(ノヴァークⅢ版)~カール・ベーム(指揮) [録音:1970年]/「第3番」は作曲者が敬愛するワーグナーに捧げた曲で、初期の稿でワーグナー楽曲の引用があることでも知られている。でも、それ以上に大切なことは、彼の作風を特徴付ける「荘厳さ」を基調とした、最初の交響曲であることだろう。この作風は「第5」「第...

感想は「困惑!」の一言

2015/01/12         

クラシックCDの名盤 大作曲家篇 宇野 功芳 (著), 福島 章恭 (著), 中野 雄 (著)文春新書2014/12/19シリーズ3冊目。改訂版も含めると5冊目になりますか。一冊目が出たのは1999年ですから、もう15年にもなるのですね。このブログには取り上げなかったけれど、出た時から熱心に読んでいます。基本的に、3人による立体批評による名盤ガイドなのですが、類書と大きく違うのは、著者同士ががお互いの意見の違いを強く意識...

音楽と演奏の幸福な一体感

2015/01/08         

DECCA《ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団エディション》をきく⑪ 【CD38】ブルックナー:交響曲第9番, リスト:前奏曲ズービン・メータ(指揮) [録音:1965&1966年] これは、メータの録音した初めてのブルックナーの交響曲である。冒頭は慌てず騒がすの堂々とした開始が巨匠的で、期待させるが、10分も過ぎると、淡々として平坦な音楽の連続に、次第に物足りなくなってくる。車にたとえると、オートマ車...

メータ、ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサート

2015/01/05         

生放送は一部、全曲は昨日録画で拝聴しました。今年の指揮者はズービン・メータ。メータといえば、思い出すことがあります。東日本大震災の時は、海外からの演奏家が来日を中止したり、公演を中断して帰国したり、という出来事が多かったのですが、メータの参加していたフィレンツェ歌劇場日本公演も、イタリア政府の帰国命令のため、中途で切り上げとなりました。しかし彼は単身で残留し、N響チャリティー公演の「第9」の指揮台...