プレヴェール評伝

2012/02/26         

「週刊朝日」2012.3.2に書評が出ていた。柏倉康夫『思い出しておくれ、幸せだった日々を 評伝ジャック・プレヴェール』http://www.amazon.co.jp/gp/product/4903500322/シャンソン「枯葉」、映画「天井桟敷の人びと」。パリに生きるフランス庶民のエスプリと哀感を、心に残る幾多のことばを紡ぎ出した詩人プレヴェール。迫りくるファシズムの脅威、ナチスドイツのパリ侵攻、そして冷戦。シュルレアリスム運動への参加を皮切りに、...

広上淳一、またも名指揮!

2012/02/25         

最初の「ドン・ファン」から、感度豊かなフォルテが流れ出す。広上淳一の作り出す音楽は、期待通りの見事さだった。昨夜聴いた、京都市交響楽団の演奏会である。指揮台の真横、2階のバルコニー席に陣取って、指揮者と呼吸を合わせるようにして楽しんだコンサートになった。二曲目のホルン協奏曲では、名手バボラークが登場。このホルンが、口笛でも吹くかのように楽々と、雄弁にソロを奏でると指揮棒を持たない広上が全身を使って...

ジャニスとバッカウアー

2012/02/24         

マーキュリー・リヴィング・プレゼンス・シリーズを代表するピアニストといえば、この二人。アメリカ生まれのバイロン・ジャニス。ギリシャ生まれのジーナ・バッカウアー。 ジャニスのラフマニノフ。  これは嶋護氏が「史上最高のピアノ協奏曲の録音」と評価した「第3番」と有名曲「第2番」を組み合わせたもの。元々は別のLPとして出ていたらしい。ネコパパは、両曲とも大のお気に入り。特に近頃は「第3番」をよ...

境界線上のアリア

2012/02/23         

小倉千加子の「週刊朝日」連載コラム『お代は見てのお帰りに』2012.2.24日号掲載(198回)「松本人志の境界、木嶋佳苗の境界」が面白い。  前週掲載分では「漫画家60歳死亡説」を取り上げ、手塚治虫、石ノ森章太郎らの例を挙げて、漫画家の中には虫が住んでいて、内側から食い尽くしてしまうからだ…と結んでいた。「トキワ荘関係の漫画家たち」がそうだからといって、漫画家の誰もが60前後で死ぬわけじゃなし…相変わら...

ギーゼキングとシューリヒトのSACD

2012/02/22         

EMIから発売されたSACDの感想。カザルスのバッハ無伴奏チェロ組曲についてはすでに触れた。実在感のある瑞々しい音で、各曲が違うコンディションで収録されたことも良くわかる。ノイズもよく抑えられ、SP録音とは思えない静けさが感じられるのも従来盤との違いだ。 まずワルター・ギーゼキングのドビュッシーを聴く。 これは全集の第2集にあたるもので「ベルガマスク組曲」「子どもの領分」それに「夢」「アラベスク」な...

縞模様のパジャマの少年

2012/02/20         

縞模様のパジャマの少年 ■ジョン・ボイン■千葉茂樹 訳■岩波書店(2008/9/12)http://www.amazon.co.jp/dp/4001156237 9歳の少年ブルーノは軍高官である父親の仕事の都合で、突然見知らぬ土地へ引っ越してきた。家は瀟洒なベルリンの自宅とは違い、古びて暗い場所だった。自室の窓から見下ろす光景は異様だった。フェンスの向こうの広い施設には、全員パジャマらしい縞模様の服を着た人々が数多く住んでいるらしい。ブルー...

フェスタ・音の冒険②

2012/02/17         

講演会場の様子。  講師の三浦孝仁氏。  講演は機器の聴き比べだけではなく、音楽ソフト、ディスクについても言及。  「値打ちは価格ではないといいながら、10数万円の英デッカ・オリジナル盤も購入してしまうので、人のことは言えません。」とおっしゃるところからも、そうとうなコレクターだとお見受けした。 この日に出たソフト関係の話題を、順不同で…  アナログの盛り返しにつ...

フェスタ・音の冒険①

2012/02/13         

オーディオフェスタ・イン・ナゴヤ2012を覗いてきた。  名古屋国際会議場の一棟を1階から3階まで使うという大規模なもの。土曜日の午後の会場、人出はまずまず、メーカー販売店のブースはプロモーション中は、ほぼ座席が埋まるものの、どこに入ってもゆったりと音楽が聞ける状態だ。ネコパパのような冷やかし客にはうってつけながら、主催者、企業側にしてみれば物足りなかったかも。それにしても、こんな催しが成立する...

マイマイ新子と千年の魔法

2012/02/11         

昭和30年の山口県防府。そしてその千年前の、周防と呼ばれた同じ土地。主人公の小学3年生、マイマイ新子、こと青木新子の野放図な想像力が二つの時空を結ぶ。つい先日読んだ『ボグ・チャイルド』を思わせる、大地に蓄積された「時の記憶」をときあかしていくタイム・ファンタジー。上映前に、片淵須直監督のトークが1時間ほどあり昭和30年代当時撮影された、周防の航空写真から得た印象を出発点に、実在の一つの場所をじっくりと調...

ワルターEMIボックスの音質

2012/02/09         

注文してあった『ブルーノ・ワルターEMIボックス』が到着。ブックレットには、これまであいまいだったプロテューサー、エンジニア、録音場所のデータが明記され、さすがは制作会社だけあるな…と感心した。 たとえばカスリーン・フェリアーと共演したマーラーの『亡き子を忍ぶ歌』1949年、戦後初のウィーン・フィルとのセッション録音なので、ウィーンでの録音と思っていたが、実際はロンドンのキングズウェイ・ホールでの...